第451話 紅蓮結晶の爆走乱獲と、三ツ星を穿つ『シャッフル・ディバイド』作戦
## 第451話 紅蓮結晶の爆走乱獲と、三ツ星を穿つ『シャッフル・ディバイド』作戦
天空群島での一週間にわたる「超重力・全自動ブラックホール乱獲」を完遂し、氷室を超圧縮パッキングでスッカラカンに整理した移動料亭要塞『星海大宴殿』。
地上への極悪な飯テロデリバリーを済ませ、心身ともに(そして胃袋のキャパシティも)万全の態勢を整えた彼らは、反重力フロートの出力を下げ、再び大地へとその数百万トンの巨体を下ろした。
重力ソールが大地をガッチリと掴み、推進炉が蒼いフレアを吹き出す。
ズゴォォォォォォォォォォンッ!!!!!
『星海焦熱の紅蓮結晶地帯』。
そこは、見渡す限り燃え盛るような赤と深い紫の結晶が、巨大なトゲのように大地から突き出している過酷なる焦熱のフロンティアであった。地面にはドロドロと煮えたぎるマグマの川が網の目のように流れ、強烈な硫黄と、何やらスパイシーで香ばしい匂いが熱風と共に吹き荒れている。
「ハッハッハ! 久々の地面だぜ! やっぱり陸上をキャタピラと重力ソールでゴリゴリ踏み荒らして進むのは、腹の底からテンションが上がるな!」
最先端デッキに立つトウヤが、熱風を正面から浴びながら黄金の大剣を肩に担ぐ。
要塞は時速500キロの【陸上爆走モード】に切り替わり、目の前に立ち塞がる家屋サイズの紅蓮結晶を、バンパーで文字通り「粉砕・粉末化」しながら一直線に突き進んでいた。
「カッカッカ! 氷室が空っぽだから、どんなにデカい獲物を狩っても余裕で吸い込めるぜ! おいサイラス、バキュームの出力は最大にしておけよ!」
ガレスが戦斧を振り回し、マグマの川から飛び出してきた巨大な影を空中で真っ二つに叩き割る。
『ブギョェェェェェッ!?』
「こいつは『星海焦熱の灼熱ナマズ』だ! マグマの中で育った泥臭さゼロの極上白身! 蒲焼の次はフライか天ぷらだな!」
ズゴォォォォォォォッ!!
ガレスが叩き割った全長十メートルの灼熱ナマズは、サイラスが操作する魔導アームによって一瞬で空中回収され、要塞の解体ラインへと吸い込まれていく。
「岩肌に生えているあの真っ赤なキノコ……! 『紅蓮結晶のハバネロダケ』ですわね! かじるだけで口から火を吹く激辛スパイスですが、熱を加えると信じられないほどの甘みと旨味が出ますのよ!」
エリスがレイピアの真空刃を放ち、すれ違いざまに結晶の根元から激辛キノコを美しく刈り取る。
「……マグマに擬態している『溶岩ヤドカリ』。殻の中に詰まったミソは、濃厚なウニの味がするはずだ」
ジンが影から短剣を投げ放ち、ヤドカリの神経を無音で切断する。
天空の島々を「待ち」の姿勢で吸い込んでいた一週間から一転。
自らの足(要塞)で大地を蹴り、目の前の障害物と魔獣を次々と物理で粉砕しながら進む、圧倒的スピードの『陸上爆走乱獲』。久しぶりの感覚に、開拓者たちのテンションは早くも最高潮に達し、氷室には次々と激辛&熱々の極上食材が山積みされていった。
### マグマの源流と、左右に広がる『違和感』
数時間ほど紅蓮の大地を時速500キロで蹂躙し続けた頃。
大宴殿の進行ルートが、なだらかな登り坂へと差し掛かった。
そして、視界を遮っていた巨大な結晶の森を突き抜けた瞬間、彼らの眼前に、このエリアの「全貌」とも呼べる壮大なパノラマが広がった。
「……おいおい、こいつはとんでもねぇ景色だな」
トウヤが感嘆の声を漏らす。
遥か彼方、地平線の先には、天を突くほど巨大な『超巨大火山脈』がそびえ立っていた。そこがこのエリアのマグマの出処(源流)であり、火口からはドロドロの黄金色の溶岩が絶え間なく溢れ出している。
しかし、トウヤの【鑑定】と直感が捉えたのは、正面の火山脈だけではなかった。
「……なぁ、みんな。左右の景色を見てみろ。なんか『不思議な雰囲気(匂い)』がしねぇか?」
トウヤの言葉に、全員がデッキから左右を見渡す。
「ワォォォォンッ!!(トウヤ! 右の方から、すっげぇ甘酸っぱい匂いがするぞ!)」
クロが鼻をヒクつかせて右を向く。
右側の地帯は、赤い結晶が少なくなり、代わりに「深いアメジスト色の紫水晶」が森のように密生していた。そこからは、マグマの熱気とは違う、芳醇に熟成されたワインやバルサミコ酢のような、鼻腔をくすぐる高雅な香りが漂ってきている。
「……左側も異常ですわ。赤い大地なのに、あの一帯だけ青白い霧が立ち込めていますわよ」
マリアが左側を指差す。
左側の地帯は、マグマの川が突然「青白い炎」へと変色し、周囲の結晶が氷のように冷たい光を放っている。灼熱のエリアの中にポツンと存在する、極寒と超高温が混じり合った『異常冷却地帯』であった。
「中央の『超巨大火山脈(超火力・主菜)』。右の『紫水晶の森(熟成・酸味)』。そして左の『青炎の極寒地帯(冷感・未知の刺激)』……」
トウヤが腕を組み、ニヤリと極悪な笑みを浮かべた。
「全部、全く違う種類の『極上食材』が眠ってる匂いがプンプンしやがる!!」
「カッカッカ! 違いねぇ! だがトウヤ、要塞は一つだ。どれから食いに行く? やっぱり正面のデカい火山か?」
ガレスが戦斧を肩に担いで尋ねる。
「バカ言えガレス! 俺たちの氷室は今、昨日のお片付けのおかげで『空き容量90%以上』のガラ空き状態だぞ!」
トウヤが黄金の大剣を引き抜き、天高く突き上げた。
「正面も右も左も、一つだって見逃すわけがねぇ! **3方向、全部同時に喰い尽くす『シャッフル・ディバイド作戦』だァァァッ!!**」
### 狂気の3部隊同時進行:『シャッフル・ディバイド』編成
「3方向同時……! つまり、部隊を3つに分けるということですわね!」
エリスが嬉しそうにレイピアを鳴らす。
「ああ! 俺たち『悠久の踏破者(6人と3匹)』、ゼノスの『魔王軍』、そしてサイラスとファルコンの『インフラ&配達部隊』! いつも同じメンツじゃ面白くねぇからな、全員の戦力を完全にシャッフルして、最高にイカれた3チームを作るぞ!」
トウヤの提案に、全員の目がギラリと輝いた。
「フッ……魔王の軍勢を分割し、各個に配備するか。良かろう、どのルートに行こうと、私の美学がすべてを蹂躙してみせよう」
ゼノスがマントを翻す。
『要塞の本体は中央の火山脈へ向かわせる。左右のルートには、私の魔導ファクトリーから「中型ホバー採取艇」を射出し、ペガサス隊と魔王軍の空間転移でカバーすれば、完全な同時進行が可能だ!』
サイラスもブリッジから即座にシステムを構築する。
「よし! それじゃあチーム分けを発表するぞ!」
トウヤがホログラムマップに、3つの進軍ルートとメンバーのアイコンをスワイプして割り当てていく。
#### 【チームA:中央・超巨大火山脈ルート(要塞本隊)】
**メンバー:トウヤ、マリア、リル、サイラス(ブリッジ制御)**
「大宴殿の本体ごと正面の火山脈に突っ込む『ド真ん中・超火力突破チーム』だ! 想像を絶する熱量とデカいバケモノが相手になる! 俺の剣で切り開き、マリアの絶対防御結界で熱を遮断し、リルのクッションで衝撃を吸収する! サイラス、要塞のフルスロットル操縦は任せたぞ!」
「女神の御名において! どんなマグマも、私の聖光で快適な温泉に変えてみせますわ!」
「プルルンッ!(おっきいお肉、全部飲み込むー!)」
『フフフ……要塞の主砲、限界まで温めておこう』
#### 【チームB:右・紫水晶の森ルート(熟成と酸味の探索)】
**メンバー:エリス、ジン、クー、ゼノス(魔王軍空間部隊)**
「紫水晶の森に潜む、繊細で高貴な食材を狙う『エレガント・暗殺チーム』だ! ゼノスの空間転移で森の中を縦横無尽に飛び回り、クーの重力操作で死角を潰す! エリスの剣技とジンの暗殺術で、食材にストレスを一切与えずに美しく刈り取れ!」
「……お任せくださいませ。紫の森の奥深くに眠る極上のワイン(果汁)、一滴もこぼさずグラスに注いでみせますわ」
「……音も、匂いも残さない。完全なる収穫を見せよう」
「キュィィッ!(全部引っ張り出す!)」
「カッカッカ! 魔王と貴族と暗殺者のピクニックとは、最高に優雅な死地になりそうだな」
#### 【チームC:左・青炎の極寒地帯ルート(異常環境・物理粉砕)】
**メンバー:ガレス、ルミナ、クロ、ファルコン(ペガサス隊)**
「熱いのか冷たいのか分からねぇ異常地帯を、力技で制圧する『剛腕&暴風・大暴れチーム』だ! ファルコンのペガサス隊で空から強襲し、ルミナの精霊魔法で青炎を吹き飛ばす! そしてガレスとクロの物理(筋肉と牙)で、そこにいるバケモノを全部ぶっ叩いて持ってこい!」
「ガッハッハ!! 俺に小細工は必要ねぇ! 凍ってようが燃えてようが、全部この斧でミンチにしてやるぜぇぇ!!」
「風と水の精霊たち、最高の暴風雨の準備はできていますわよ!」
「ワォォォォンッ!!(美味そうな匂いのするヤツから順番に噛み砕くぞ!!)」
「おうさ! ペガサス隊の機動力、存分に味わわせてやるぜ!」
### 三ツ星を穿つ開拓者たち、出陣!
「よし、シャッフル編成は完璧だ!」
トウヤが、それぞれのルートへ向けて出撃準備を整えた仲間たちを見渡す。
「これより俺たちは3方向に分かれ、この『紅蓮結晶地帯』の端から端まで、すべての大地を同時にしゃぶり尽くす! 氷室の空き容量はたっぷりある! 遠慮はいらねぇ、見つけた美味いもんは全部狩ってこい!」
「「「オオォォォォォォォォォォォォォッッ!!!!」」」
要塞の左右のハッチが開き、チームBを乗せたゼノスの漆黒の転移球と、チームCを乗せたサイラス特製の「中型ホバー採取艇(ペガサス隊護衛付き)」が、猛烈な速度で左右の未知のルートへと射出されていく。
そして、トウヤとマリアを乗せた大宴殿の本体も、正面の超巨大火山脈へ向けて、さらなる推進フレアを吹き出して爆走を再開した。
規格外の開拓者たちが、その戦力を3つに分割し、三面同時展開の「超・広域乱獲」を開始する。
赤の火山、紫の森、青の極寒。三つの異なる異常環境に潜む神話級の美味たちが、今、逃げ場のない完璧な包囲網の前に、その極上の姿を晒そうとしていた。
ここまでお読みいただきありがとうございます!少しでも面白いと感じたら、画面下から【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】の評価をいただけると、執筆の大きなモチベーションになります!尚、こちらの新作「異世界・天下布武 〜魔族を従えた織田信長は、今度こそ本能寺を回避する〜」不定期執筆になりますがよろしく
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