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目指すは深層、まずは腹ごしらえから! 〜現代知識と【拠点創造】で始める、前人未到の大迷宮スロー攻略記〜  作者: 盆ちゃん


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第447話 天空群島の果てなき空と、食材を無駄にしないためのトウヤの『超効率・悪巧み』

第447話 天空群島の果てなき空と、食材を無駄にしないためのトウヤの『超効率・悪巧み』

ゼノスの空間魔術による絶対的な反重力フロートと、サイラスの操る星海重力推進炉の完璧な同期。

大地を走り、滝を登り、山を喰い破ってきた最強の移動料亭要塞『星海大宴殿』は、ついに重力の鎖を完全に断ち切り、数百万トンの巨体のまま『天空の城(巨大飛行船)』へと進化を遂げた。

果てしなく広がる青い虚空と、雲海。

その中を、大小無数の『岩と緑の浮遊島』がプカプカと浮かぶ次なるエリア――『星海浮遊の天空群島アストラル・フローティング・アーキペラゴ』。

「ハッハッハ! 飛んでるぜェェッ!! 空のドライブ最高だな!!」

大宴殿の最先端デッキで、トウヤが雲海の風を全身に浴びながら大笑いする。

「カッカッカ! 下を見ても地面がねぇってのは、背筋がゾクゾクしてたまんねぇな! おいファルコン、次の島への航路は任せたぞ!」

ガレスが甲板の縁から身を乗り出し、戦斧を肩に担いでニヤリと笑う。

上空では、ファルコン率いるペガサス隊と、神鷹クーが、大宴殿の周囲を飛び回りながら完璧な風のナビゲートを行っていた。

「おう! ちょうど正面に、美味そうな果樹がビッシリ生えた中規模の島があるぜ! そのまま直進だ!」

『了解した。推進ベクトル微調整、反重力フロート安定。……島へ接舷する』

ブリッジのサイラスがコンソールを操作すると、大宴殿は滑るように雲海を進み、ファルコンの指し示した浮遊島の「岸辺(空中に浮かぶ岩の縁)」へと、音もなくピタリと横付けされた。

第一フェーズ:天空の乱獲ショー、風船果実と飛翔牛

「よし、上陸だ! 島の美味いもんを根こそぎ刈り取るぞ!!」

トウヤの号令と共に、開拓者たちが甲板から浮遊島へと一斉に飛び移った。

島の上は、地上とは全く異なる生態系に満ちていた。

重力が弱いためか、樹木は天高く、というよりも「四方八方」へ向かって自由奔放に枝を伸ばしている。

「トウヤさん! 見てください、あの木に実っている果実! 風船のように膨らんで、枝から離れても空中に浮かんでいますわ!」

マリアが指差した先には、赤や黄色に色づいた、スイカほどの大きさの果実がフワフワと宙に浮いていた。天空の強烈な日差しを四方から浴びて育つ究極の完熟フルーツ――**『天空完熟の風船林檎バルーン・アップル』**である。

「おおっ! あれは中に果汁がタプタプに詰まってるから浮かぶんだ! エリス、ジン! 枝から切り離して、風で甲板へ送れ!」

「承知いたしましたわ! 【貴族剣技・空中果実摘み】!」

「……任せろ」

エリスのレイピアとジンの短剣が閃き、空中に浮かぶ風船林檎のツルだけを神速で切り離す。

「風の精霊たち、優しく運んで! リルちゃん、受け止めをお願いね!」

ルミナが風の魔法で果実を大宴殿の甲板へと送り込み、屋上でトランポリンと化したリルが「プルルンッ!」とポヨポヨ跳ね返しながらバキュームパイプへとホールインワンさせていく。

『モォォォォォォォォッ!!』

果実の収穫音に驚き、島の奥の草原から、背中に真っ白な翼を生やした巨大な牛の群れが飛び立とうとした。

雲海の高山植物を食べて育った、筋肉質でありながら極上の霜降りを誇る魔獣――**『星海飛翔の天牛アストラル・ペガサス・ビーフ』**である。

「カッカッカ! 飛ぶ牛とは恐れ入ったぜ! だが、逃がすかよ! 俺の今日のメインディッシュだ!」

ガレスが跳躍し、飛び立とうとした天牛の群れの上空へと躍り出る。

「【剛腕絶技・空中脳天ハンマー】ォォッ!!」

戦斧の峰が天牛の頭蓋(急所)を正確に打ち抜き、気絶した巨大な牛の塊が次々と甲板へと落下していく。

トウヤも大剣を振るい、島の地中(浮遊岩の内部)に潜む極太の『星空人参スターキャロット』や、空を飛ぶ『風切り巨大雉キジ』を次々と仕留め、解体ファクトリーへと送り込んでいった。

ものの数十分。

一つの浮遊島に存在していた「極上食材」は、一滴の果汁、一欠片の肉も残されることなく完全に刈り尽くされ、島はただの「浮遊する緑の岩」へと成り果てた。

「よし! この島はお片付け完了だ! サイラス、次の島へ向かってくれ!」

トウヤが大宴殿へと跳び戻り、大剣を鞘に納める。

予想外の壁:広大すぎる空域と「時間」のジレンマ

大宴殿は再び雲海を進み、次の島、また次の島へと接舷し、上陸しては乱獲を繰り返していった。

空飛ぶ要塞という機動力と、彼らの圧倒的な武力・解体技術が組み合わされば、一つの島を平定するのに1時間もかからない。氷室には次々と天空の恵みが積み上がっていき、連日のように「天牛肉のステーキ」や「風船林檎の特製タルト」が供され、毎晩が狂熱の大宴会であった。

しかし、天空群島への突入から三日が経過した頃。

大宴殿のブリッジで、サイラスが深刻な表情でホログラムマップを睨んでいた。

「……トウヤ殿、少し良いか」

作戦会議室の円卓に、開拓者たちが集められる。

「どうしたサイラス? 推進炉の調子でも悪いのか?」

トウヤが不思議そうに首を傾げる。

『いや、インフラは全く問題ない。ゼノス殿の反重力フロートも完璧だ。問題は……この「天空群島エリア」の規模だ』

サイラスが、ホログラムマップの縮尺を操作して「広域表示」に切り替えた。

そこには、大宴殿のセンサーが捉えた範囲だけでも、何万、何十万という無数の浮遊島が、果てしない雲海の彼方まで連なっている絶望的な光景が映し出されていた。

『我々のペースで島を一つ一つ平定していった場合……このエリアを抜け切るまでに、少なく見積もっても**「数ヶ月」**はかかる』

「数ヶ月だと!?」

ガレスが目を剥く。

『ああ。空間が横だけでなく、上下にも広がっているからな。さらに……氷室のキャパシティの問題もある。いくら次元拡張を繰り返しているとはいえ、これほど無数の島の生態系をすべて飲み込むことは物理的に不可能だ。このまま乱獲を続ければ、あと一週間で確実に「容量限界オーバーフロー」を引き起こす』

「一週間でカンスト……。つまり、その後は獲物を狩っても保存できず、泣く泣く捨てるか、見逃して素通りするしかないということですわね……」

エリスが絶望したように両手で口元を覆った。

「食材を捨てる!? そんな真似、この魔王ゼノスの誇りにかけて断じて許されん!! 一度目を付けた美味は、最後の一滴までしゃぶり尽くすのが我らの美学であろう!」

ゼノスがマントを翻し、激しく憤る。

「……あんなに美味しそうなフルーツやお肉が、まだ何万個の島にもあるのに……見逃すなんて、お腹の虫が暴動を起こしてしまいますわ!」

マリアも杖を握り締め、ヨダレを拭いながら身震いした。

トウヤは腕を組み、ホログラムに映し出された無数の島々をじっと見つめていた。

時間をかけて一つ一つ回れば数ヶ月。しかし、氷室の容量は一週間で限界。素通りすれば食材が無駄になる。

開拓者にとって、特にトウヤにとって、「目の前にある極上食材を諦める」ことほど苦痛なことはない。

「……捨てるのは論外だ。かといって、何ヶ月もこの空で同じ肉や果物ばっかり食い続けるのも、正直飽きる」

トウヤがポツリと漏らす。

「なら、どうするんだトウヤ? 諦めて素通りするか?」

ガレスが尋ねる。

「いや、俺たちの辞書に『見逃す』なんて言葉はねぇ!!」

トウヤが顔を上げ、ニヤリと極悪な笑みを浮かべた。

「島を一つ一つ回って時間がかかるなら……、そして要塞に入りきらないなら……! 食材(島)の方から俺たちの目の前に集まってもらって、超圧縮して一気に吸い込めばいいんだよ!!」

トウヤの『超効率・悪巧み』

「……島を、集める? どういうことですの?」

ルミナが目をパチクリとさせる。

「サイラス、クー、ゼノス! お前らのチート級のインフラと魔法を使えば、トンデモねぇ『定置網』が作れるはずだ!」

トウヤがホログラムマップの「大宴殿」のアイコンを中心に、巨大な「渦」のような図形を描き込んだ。

「今までは要塞が島へ近づいていた。だがこれからは逆だ。ゼノスの空間魔術と、クーの『重力反転』、そしてサイラスのバキューム出力を最大に拡張させて、要塞の前方に『超巨大なブラックホール(吸引の渦)』を作り出すんだよ!」

「ブラックホール……! 要塞が周囲の島々を、重力と空間ごと吸い寄せるということか!?」

サイラスが驚愕に目を見開く。

「そうだ! 空に浮かぶ島なんて、重力の縛りが緩いんだから引っ張れば動くはずだ! 航路の周囲にある何千という島を、要塞の前に一箇所に引き寄せる!」

トウヤの瞳に、狂気的な発明家の光が宿る。

「だがトウヤ、島ごと引き寄せたら、岩や土砂まで一緒に氷室に入っちまうぞ?」

ガレスが首を傾げる。

「そこは俺とエリス、ジン、そしてガレスの出番だ! 引き寄せられた島々が要塞に激突する瞬間に、俺たちが空中で『超特大の全自動スライサー』となって、岩と土砂だけを粉砕して弾き飛ばし、食材(肉と果実)だけを綺麗により分けて氷室にブチ込む!!」

「要するに、何千という島の生態系を、一箇所に固めて空中で丸ごと『ミンチ&仕分け』にしてしまうというわけですね……!」

エリスが、そのあまりにも豪快すぎる、しかし究極に効率的な乱獲プランに、震えるような歓喜の笑みを浮かべた。

「フッ……ハッハッハ! 魔王の城が星を吸い込むブラックホールと化すか! まさに神界を震撼させる大魔術クッキングだな! 乗ったぞ、トウヤ殿!!」

ゼノスが杖を天高く掲げ、闇の魔力を爆発させる。

「キュィィィィィィッ!!(重力全部引っ張る!!)」

神鷹クーも、やる気に満ちて両翼を広げた。

「よし! そうと決まれば、インフラの再構築だ! サイラス、ゼノス、クー! 最強の『天空の定置網ブラックホール』の設定を急げ!」

トウヤが大剣を引き抜き、高らかに宣言する。

「ここからはチマチマした島巡りは終わりだ! 空域丸ごと、要塞の口の中に放り込んでやる! 【星海浮遊・全自動ブラックホール乱獲作戦】、準備開始だァァァッ!!」

「「「オオォォォォォォォォォォォォォッッ!!!!」」」

数ヶ月かかるはずだった広大な空域を、一週間で、しかも一滴の果汁も逃さずに喰らい尽くす。

常識を完全に破壊するトウヤの『超効率・悪巧み』により、最強の移動料亭要塞は、大空のすべてを飲み込む「美食の超重力特異点」へと、今まさにその姿を変えようとしていた。

ここまでお読みいただきありがとうございます!少しでも面白いと感じたら、画面下から【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】の評価をいただけると、執筆の大きなモチベーションになります!尚、こちらの新作「異世界・天下布武 〜魔族を従えた織田信長は、今度こそ本能寺を回避する〜」不定期執筆になりますがよろしく


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