第442話 【超特大トンネル開通・マウンテン・イーター】その1:双璧のドリル、雷鳴を噛み砕く剛腕と金閃
第442話 【超特大トンネル開通・マウンテン・イーター】その1:双璧のドリル、雷鳴を噛み砕く剛腕と金閃
『星海雷鳴と磁場の超鉱山』――。
見上げる視界のすべてを狂わせるように、天の果てまで垂直にそびえ立つ紫金色の超巨大岩山。その山肌は、何万年もの間、天空から降り注ぐ大容量の落雷を吸い込み続けた『生きた磁気鉱脈』であり、凄まじいスパイスの香気と共にバチバチと激しい電弧を散らしていた。
その絶望的なまでの「壁」に向かって、時速500キロという狂気的な質量兵器と化した移動料亭要塞『星海大宴殿』が、一直線に正面衝突の突撃を敢行していた。
「激突まで、残り5秒……4、3……! 全員、衝撃に備えよ!!」
ブリッジから響くサイラスの絶叫。
普通であれば、数百万トンの質量がこれほどの速度で岩山に激突すれば、要塞はおろか周囲の空間ごと粉々に圧潰する。しかし、大宴殿の『舳先(最先端デッキ)』に立つ二人のバケモノには、恐怖などという感情は微塵も存在しなかった。
「カッカッカ!! 最高の『スパイス岩』じゃねぇか! 昨日のひつまぶしのパワーが、今まさに全身の筋肉で火を噴きたがってるぜぇ!!」
ねじり鉢巻を額に締め直したガレスが、丸太のような両腕の筋肉をミキシミキシと鋼鉄以上に膨張させ、愛用の超重量戦斧を天高く構え直した。
「ああ! 登るのが駄目なら、喰い破るだけだ! ガレス、俺たちの『食欲』がこの山より軽いわけがねぇよな! 最初のひとかじり、ドカンといくぞォォォッ!!」
トウヤの全身から、太陽をも凝縮したような黄金色の闘気が爆発的に噴出し、手にした大剣が十数メートルもの巨大な光の刃へと変貌を遂げた。
激突の瞬間、すなわち、カウントゼロ。
彼らは要塞の舳先から、迫り来る紫金の岩盤へ向かって同時に跳躍した。
第一フェーズ:剛腕の一撃、【剛腕絶技・超雷岩盤粉砕】
『ゴガァァァァァァァァァァァァンッッ!!!!』
激突の瞬間、大砂漠の全域にまで響き渡るほどの、世界の終わりを告げるような破壊音が轟いた。
しかし、砕け散ったのは要塞の装甲ではない。ガレスが真下に向けて全力で振り下ろした超重量戦斧の『峰(ハンマー部分)』が、時速500キロの突撃エネルギーをすべてその一点に集約し、山の中心核(地殻)へ向けてダイレクトに炸裂したのだ。
【剛腕絶技・超雷岩盤大唐揚げ粉砕】!!!
ガレスの放った一撃は、超硬度の磁気岩盤をただ割ったのではなかった。毎日1500トンの鉄棒を挙げて鍛え上げた背筋と、昨夜貪り食った『神藍覇竜のトロ脂』の核融合バフが合わさり、衝撃波が岩石の分子構造の隙間を完璧に浸透。
数十メートル四方の岩壁が一瞬にして「サラサラの粗挽き粒」へと完全粉砕されたのである。
さらに、岩盤に蓄積されていた何万ボルトもの高圧電流がガレスの斧を通じて逆流してきたが、ガレスはそれを「うん、いい電気アンマじゃねぇか!」と笑い飛ばし、肉体のエネルギーへと逆に吸収してしまった。
『ギヂヂヂヂヂッ!!!』
粉砕された岩肌の奥から、強烈な摩擦熱と電気の火花によって、この世のものとは思えない芳醇な香りが爆発的に立ち昇った。
「カッカッカ! 匂いだけで鼻血が出そうだぜトウヤ! こいつ、最高級の黒胡椒と山椒を混ぜて、雷で一瞬にして『焙煎』したような究極のスパイス岩だぞ!!」
「最高じゃねぇか! 削りカスは全部サイラスのパイプに吸い込ませる! ガレス、休むな、そのまま連撃だ!」
第二フェーズ:勇者の神速開通、【絶技・神星山脈縦一文字】
ガレスが最初の一撃で岩山に「巨大なヒビ(突破口)」を入れたその刹那、トウヤの黄金の大剣が閃光となった。
「山ごと俺たちの胃袋の通り道になれ!! 【絶技・神星山脈縦一文字・大トンネル彫り(マウンテン・スライサー)】ォォォォッ!!」
ズバァァァァァァァァァァァァンッッ!!!!!
夜明けの光の如き巨大な黄金の剣閃が、ガレスが砕いた岩肌の奥深くまで、一直線に空間を切り裂きながら貫通していった。
トウヤの放った剣技は、単なる破壊の斬撃ではない。要塞『星海大宴殿』の全幅と全高を完全に計算に入れ、1ミリの段差も崩落も許さない、完璧な『真円の円筒トンネル(直径百メートル)』を、岩山の内部に向かって垂直かつ水平に切り拓いていく神域の「拠点創造・解体」であった。
トウヤの大剣が触れた瞬間、硬い紫金の鉱脈は、まるで熱したナイフでバターをくり抜くかのように綺麗に円柱状に切断され、要塞が進むための『絶対の食道』がリアルタイムで形成されていく。
時速500キロの速度を一切緩めることなく、大宴殿の巨体は、トウヤとガレスがそのコンマ数秒前に物理でぶち開けた「出来立ての暗黒のトンネル」の中へと、滑り込むようにして猛烈な勢いでなだれ込んでいった。
「オラオラオラァッ!! 掘って掘って掘りまくれぇぇぇッ!!」
ガレスが空中で要塞の舳先に着地し、今度は左右の壁へ向かって戦斧の猛烈なラッシュを叩き込む。
「【剛腕・全自動シールド連撃】!」
ドゴドゴドゴドゴドゴォォォォンッ!!!
ガレスが壁を叩くたび、要塞の進行を阻む前方の岩盤が火花を散らして粉砕され、トウヤの大剣がそれを即座に美しいトンネルの形状へと切り揃えていく。
二人が見せるそのコンビネーションは、もはや人間の技ではなく、神界のいかなる超大型掘削機をも裸足で逃げ出させる、狂気的な『超高速・全自動人間ドリル』そのものであった。
疾風怒濤の掘削:降ってくる特級スパイスの嵐
「トウヤ! 砕いた岩の奥から、キラキラ輝く紫色の結晶がボトボト落ちてくるぞ! こいつがサイラス殿の言ってた『雷岩塩』だな!?」
ガレスが壁面をぶっ叩きながら叫ぶ。
「ああ! 噛むと口の中でバチバチ弾けて、肉の旨味を何十倍にも引き立てる神の塩だ! 一粒も無駄にするな、全部後ろに送るぞ!」
トウヤが剣を振るい、削り取られた大量の紫金のスパイス岩と、アメジストのように輝く雷岩塩の結晶を、要塞の前面に展開された魔導ファクトリーのバキューム口へと、風圧で一斉に押し込んでいく。
ズゴォォォォォォォォォォォォッッ!!!!!
大宴殿の喉元が、二人の生み出す最高の『削りカス(極上スパイス)』を、掃除機の如き圧倒的な吸引力でリアルタイムで吸い込み、中央のストレージへと格納していく。
時速500キロの暴走要塞の最先端。
降り注ぐ紫色の落雷と、跳ね返る金色の火花、そして空間を埋め尽くす強烈なブラックペッパーの香気の中で、トウヤとガレスは、狂ったように笑いながら山を喰らい破り続けていた。
「ハッハッハ! 次の階層へ行く頃には、大宴殿のスパイス倉庫は完全にカンストだな!」
「カッカッカ! 違ぇねぇ! この硬ぇ山を全部俺たちの『調味料』に変えてやるぜぇ!!」
最前線突破・ドリル部隊の圧倒的な破壊力により、巨大鉱山の内部には、完璧な一本の『美食のハイウェイ(トンネル)』が、凄まじいスピードで奥深くへと穿たれていく。
しかし、トンネル作戦はまだ始まったばかり。
二人が力ずくでこじ開けたトンネルの壁面には、この磁場と雷の環境でしか育たない、さらなる『未知の垂直食材』と『狂暴な雷獣』たちが、要塞の通過を阻むようにして、暗闇の中でその目をギラリと光らせ始めていた。
次なる第2フェーズ――ゼノスとサイラスによる、この削りカスの完璧な回収と崩落防止コーティングの時間が、すぐ後ろへと迫っていた。
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