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目指すは深層、まずは腹ごしらえから! 〜現代知識と【拠点創造】で始める、前人未到の大迷宮スロー攻略記〜  作者: 盆ちゃん


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第204話:【閑話】神のホログラムと、美味なる隠しフラグの種明かし

### 第204話:【閑話】神のホログラムと、美味なる隠しフラグの種明かし

神聖魔導帝国エルドリアの第100階層規模・新迷宮『白銀の魔導廟』。

古代の殺戮兵器たちを次々と「最新鋭のシステムキッチン」へとクラスチェンジさせ、わずか数日で完全踏破を成し遂げたトウヤたち『悠久の踏破者』は、アルカディア王国の『星繋ぎの迎賓館』へと帰還していた。

その夜、迎賓館の最上階にある円卓会議室では、エルドリア遠征の報告会を兼ねた盛大な大宴会が開かれていた。

「(……信じられん。古代魔導文明の遺構に鎮座する『機神竜』が、まさかこんな姿になって皿に乗るとは……)」

エルドリアの若き皇帝が、自身の国にできた迷宮のラスボスの成れの果て――極限までスライスされた『超熟成・古代竜の極上ロースト肉』を見つめて震えていた。

「(まあまあ陛下! ロマンより食い気ですよ! トウヤ殿が『無限の魔導炉心』の遠赤外線効果で完璧に火を通したこの肉……カイト殿の特製オニオン醤油ソースをかけると、もう絶品ですぞ!)」

ガルド宰相が、すでに三皿目を平らげながら鼻息を荒くする。

「(うめぇぇぇっ!! 何千年も熟成された肉の旨味が、噛むたびに脳天をぶん殴ってくるぜ!!)」

「(このスモーキーな香りが、ビールの消費を加速させおるわい! ガッハッハ!)」

ミリオタのケンタや魔王ゼノン(太一)、ガレスたちが、古代の叡智が詰まった極上ロースト肉を次々とブラックホールのような胃袋へ収めていく。

「さてと……みんな、肉を食いながらでいいから聞いてくれ」

宴会が中盤に差し掛かった頃。トウヤは立ち上がり、円卓の中央に「二つのアイテム」をコトリと置いた。

淡く黄金色に発光する【奇妙な植物の種】と、東の果てを指し示す【古ぼけた石版ナビゲーション・プレート】である。

「(なんだトウヤ、それは? 新しい調味料の種か?)」

ゼノンがジョッキを片手に首を傾げる。

「(エルドリアの迷宮の100階層、ラスボスの宝箱から出たんだ。このプレートの針は『和の国ミズホのさらに奥……海を越えた未踏の領域』を指してる。そしてこの種からは、全宇宙の果実の旨味を凝縮したようなヤバい匂いがする)」

トウヤが腕を組み、ニヤリと笑った。

「(俺の予想だと、神様が『次はミズホの先へ行け』って道標をくれたんだと思う。この黄金の種を育てるための特別な環境が、未踏の大陸にあるんじゃないかってな)」

「(未踏の大陸に、未知の極上食材……!!)」

「(ヒャッハー! そりゃあ行くしかねえぜ!!)」

仲間たちが目を輝かせた、その時だった。

『ピーンポーンパーンポーン♪』

突如として、円卓会議室の空間に【間抜けなチャイムの音】が鳴り響いた。

直後、円卓の中央上空の空間がぐにゃりと歪み、そこから青白い光を放つ【半透明のホログラム】が顕現した。

「やっほー! みんな、エルドリアの古代オーブン(ラスボス)のお味はどうだったかな!?」

現れたのは、キャラメルポップコーンのバケツを小脇に抱え、ジュースのストローを咥えた美しき中性的な青年――この世界を創りし【迷宮神】であった。

「「「か、神様ァァァッ!!?」」」

ヴィルヘルム国王やエルドリア皇帝、ガルド宰相たちが慌てて椅子から転げ落ち、平伏しようとする。

「あ、いいよいいよ、そのまま肉食べてて! 今日はちょっとホログラム通信で顔を出しただけだからさ!」

神は、宙に浮いたままパタパタと手を振り、トウヤの置いた『黄金の種』と『プレート』を指差した。

「トウヤ君、大正解! それはまさに、次なるステージ……『未踏の大陸』と、その先にある【神界の食卓】へ至るためのフラグアイテムだよ」

「(やっぱりそうか。……でも神様、なんでエルドリアの迷宮にミズホの先のルートの鍵があったんだ?)」

トウヤが、少し不思議そうに尋ねる。

「ふふっ、そこがこのシステムの面白いところさ」

神は、ポップコーンを一つ空中に放り投げ、口でパクッと受け止めた。

「実はね、あの宝箱のドロップ……【ただ力任せに最速で探索して、ボスを倒しただけじゃ絶対に出ない『隠しアイテム』】なんだよ」

「「「えっ?」」」

「あのね、エルドリアの迷宮は古代魔導兵器の巣窟だ。普通に魔法や物理で破壊しながら進めば、ただの『鉄クズ』と『通常のクリア報酬』しか出ないように設定してあったの。……でも」

神は、腹を抱えて思い出し笑いを始めた。

「君たち、『メカミノタウロス』をホットプレートにしてお肉焼いたでしょ!? 『ブリザード・ゴーレム』をかき氷機にして、『レーザーマンティス』で炙りチキン作ったでしょ!? 挙句の果てには、ラスボスの『インフィニティ・ウロボロス』の魔導炉心と熟成肉を、コンマ一秒の目押しで一切傷つけずに解体(オーブン化)した!!」

神は、ビシッとトウヤを指差した。

「君たちが『古代兵器を壊さず、マナー良く完璧に調理器具として活用した(ギミックの特殊解除条件を満たした)』からこそ! システムが【こいつらには次の極上食材への挑戦権を与える資格がある】と判断して、隠しフラグが解放されたんだよ!!」

「(……マジか。俺たち、ただ『美味しく食べるために丁寧に捌いただけ』なんだけどな)」

トウヤが頭を掻きながら苦笑いする。

「(ガッハッハ! ワシらの食い意地が、神のシステムの裏をかいたというわけじゃな!)」

「その通り! だからこそ面白いんだよ!」

神のホログラムが、ウインクをして見せる。

「補足しておくね。その『黄金の種』は、神々が食べる【神界の果実アムリタ・フルーツ】の欠片。どんな魔法を使っても普通の土じゃ育たない。……和の国ミズホの迷宮の底からゲートを通って『未踏の大陸』へ渡り、そこにある【星の源泉】の泥と水を使わなきゃ発芽しないんだ」

「(神界の果実……!!)」

カイトやエリスが、ゴクリと喉を鳴らす。

「そしてそのプレートは、未踏の大陸のさらに奥……私が住む【神界】へと続く『裏口バックドア』のナビゲーションさ。未踏の大陸には、まだ君たちの知らない『海鮮の王』や『究極の出汁の素材』が山のように眠ってる。……それを全部かき集めて、最高のフルコースを作って、私に【出前】を届けに来てほしいんだ!」

神の言葉に、円卓を囲む最強の美食家たちの瞳が、かつてないほどの熱を帯びた。

「(なるほどな。神様からの直々の『出前の注文』ってわけだ)」

トウヤは、黄金の種をそっとアイテムボックスに仕舞い、ニカッと不敵な笑みを浮かべた。

「(神界の果実に、未踏の大陸の極上海鮮。……燃えてきたぜ。俺の料理の腕と、こいつらの胃袋の全力を懸けて、神様がひっくり返るような『究極の出前』を作って届けてやるよ!!)」

「「「ウオォォォォォォォォォォッッ!!!!」」」

悠久の踏破者たち、そして転生者や国王たちの熱気と歓声が、円卓会議室を揺るがした。

「あはは! 言ったねトウヤ君! 楽しみに待ってるからね! じゃあ、今日の報告会はこれでおしまい! みんな、冷めないうちにお肉食べてねー!」

『ピーンポーンパーンポーン♪』

間抜けなチャイムの音と共に、神のホログラムはパッと光の粒子となって消え去った。

神が去った後の宴会場には、静寂……ではなく、さらなる爆発的な食欲と活気が満ち溢れていた。

「(さあ! 神様のお墨付きも出たことだし、遠慮はいらねえ! この古代竜のロースト肉を食い尽くして、明日の朝から【和の国ミズホ】へ出発だ!!)」

「(ヒャッハー! ミズホの迷宮なんて、ウォーミングアップで駆け抜けてやるぜ!!)」

「(究極の出汁……海鮮……お腹が鳴りますわァァッ!!)」

ただの迷宮探索から始まった物語は、今や「神への出前」という宇宙規模のクエストへと進化を遂げた。

黄金の種と未知なるナビゲーションを握りしめ、世界最強の美食ファミリーは、次なる舞台『和の国ミズホ』と『未踏の大陸』へ向けて、その歩みを決して止めることなく進んでいくのであった。


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