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目指すは深層、まずは腹ごしらえから! 〜現代知識と【拠点創造】で始める、前人未到の大迷宮スロー攻略記〜  作者: 盆ちゃん


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第174話:【閑話】神域の小休止(インベントリ整理)と、愚かなる非加盟国の完全崩壊

### 第174話:【閑話】神域の小休止(インベントリ整理)と、愚かなる非加盟国の完全崩壊

『悠久の大迷宮』第92階層――『神域・黄金の豊穣平原』。

見渡す限りのプラチナ食材による羅針盤のバグ(フラッシュアウト)を解消するため、トウヤが発案した【単独乱獲ソロ・ハンティング作戦】。

それぞれが散開し、自らの食欲の赴くままに神話級の魔物を狩りまくるという狂気の作戦は、開始から丸三日が経過していた。

「……ハァ、ハァ……。おかしい。狩っても狩っても、黄金の草むらから次々と極上の霜降り肉(魔物)が湧いてきやがる……!」

平原の中央に設営したテントの前で、トウヤが滝のような汗を拭いながら天を仰いでいた。

いくら彼らが一騎当千のバケモノ揃いとはいえ、92階層の広大さと食材の密度は異常であった。三日三晩、文字通りの『乱獲』を続けているにもかかわらず、羅針盤のプラチナの光は一向に収まる気配がない。

「ト、トウヤ様……。大変ですわ……」

そこへ、エリスがフラフラとした足取りで帰還した。彼女の背後には、気絶した『プラチナ・マッスル・ミノタウロス』が数十頭、ロープで数珠繋ぎにされている。

「私の……【神話級・無限アイテムボックス(大容量)】が……ついに容量限界フルに達してしまいましたの……!」

「なっ!? マジかよ! エリスのボックスが一杯になるなんて、今まで一度もなかったぞ!?」

「ヒャッハー……俺もだぜトウヤ……」

反対側から、ジンが大量の『プラチナ・コカトリス』の肉塊を抱えて戻ってくる。

「もう一羽も入らねえ。ガレスのオッサンも、亀の肉と甲羅でボックスがパンパンになって動けなくなってるぜ……」

クー、クロ、リルの三匹も、「もうお腹いっぱいで食べられないし持てないよぉ」と、地面にひっくり返って腹を出している。

トウヤは、山のように積まれた極上肉の山と、一向に晴れない羅針盤を見比べ、大きく息を吐いた。

「……よし! 一旦ストップだ! このままじゃアイテムボックスが破裂するか、肉が腐っちまう(※時間停止機能があるので腐らないが気分的に)。気晴らしも兼ねて、一度【迎賓館】に戻るぞ! 絶対同盟の皆に、この神域の極上肉をおすそ分けして、インベントリを空にするんだ!」

「おおっ! 賛成ですわ!!」

かくして、終わりの見えない乱獲作業に(物理的な容量の限界で)一旦の区切りをつけた一行は、転移結晶を用いて『星繋ぎの迎賓館』へと帰還することにした。

**【星繋ぎの迎賓館アストラル・ゲストハウス】**

大迷宮の底、次元の交差点。

トウヤたちが迎賓館の巨大な宴会場に姿を現すと、そこでは絶対同盟の首脳陣たちが『超次元スポ〇チャ』で汗を流し、温泉に浸かってくつろいでいた。

「おおっ! トウヤ殿! 皆の衆! 90階層台の攻略から戻られたか!」

バスローブ姿のヴィルヘルム国王が、満面の笑みで出迎える。

「おう、みんな元気にしてたか? いやー、92階層が広すぎて、しかも全部プラチナ食材だから、アイテムボックスがパンパンになっちまってな。今日はインベントリ整理を兼ねて、神域の肉のおすそ分けパーティーだ!」

トウヤの言葉と共に、エリスやジンたちがアイテムボックスを解放する。

ゴロゴロゴロォォォォッ!!!

宴会場の端に、山脈のような高さの『プラチナ食材の山』が出現した。

黄金の鶏肉、大理石のような霜降り牛肉、透き通るような亀肉。そのどれもが、世界に一つしかない国宝級の輝きと魔力を放っている。

「「「な、なんじゃこりゃぁぁぁっ!!?」」」

ガルド宰相やカイト、そして魔王ゼノンたちが、あまりの物量と質に目をひん剥いてひっくり返った。

「ガッハッハ! 驚くのは食ってからにしてくれ! 今すぐ最高のBBQにしてやるからな!」

トウヤは、91階層の宝箱で手に入れた【神話級・全自動魔導ロースター】を起動し、次々と極上肉を網に乗せていった。

ジュワァァァァァッ!!

神域の肉が焼ける、暴力的なまでに芳醇な香りが迎賓館を包み込む。

「さあ! 『プラチナ・コカトリスの究極唐揚げ(カイト特製ニンニク醤油仕立て)』と、『プラチナ・ミノタウロスの極厚レアステーキ』、そして『神話級シールド・タートルの濃厚コラーゲンスープ』だ!! 食ってくれ!!」

「「「いただきますッッ!!!!」」」

「――――ッッ!! ぬおおおおおぉぉぉッ!!」

ヴィルヘルム国王が、唐揚げを一口噛んだ瞬間に絶叫し、その場に崩れ落ちた。

「衣のサクッとした食感の直後、信じられないほどの肉汁がナイアガラの滝のように溢れ出してきおる!! 鶏肉の常識を覆す弾力と、ニンニク醤油の香ばしさ! これが神域の恵みか!!」

「うめぇぇぇぇっ!! このステーキ、歯がいらねえ!!」

魔王ゼノン(田中太一)が、極厚の霜降り肉を丸呑みしながら涙を流す。

「噛まなくても舌の上で溶けるのに、赤身の重厚な旨味が脳天を突き抜けてきやがる!! 無限コーラが……コーラの樽が一瞬で空になるぞ!!」

「トウヤさん! このスッポンスープ、ヤバいです! 一口飲んだだけで、徹夜の疲れが吹き飛んで、寿命が百年くらい延びた気がします!」

ケンタが、ミリタリー水筒に入れた黄金のスープを呷りながら歓喜に震えている。

絶対同盟の面々と、警備(出前待機)をしていた配達部隊の暗殺者たちが、神域の極上飯の前に次々と語彙力を失い、恍惚の表情を浮かべていく。

その様子を満足げに眺めながら、トウヤは自身の取り分(特大ステーキ)を切り分け、ヴィルヘルム国王とガルド宰相の隣に腰を下ろした。

「そういや王様。こっちが迷宮に潜ってる間、例の『非加盟国』……聖ヴァリスとかいう連中はどうなったんだ? サイラスから、迷宮に毒を撒くとかいうふざけた飯テロ計画を聞いてたんだけどよ」

トウヤが尋ねると、ヴィルヘルム国王は口の周りの肉汁を拭い、ニヤリと悪魔のような笑みを浮かべた。

「ああ、その件ならば完全に『処理おわ』っておるよ」

「終わった?」

「うむ。奴らが放った数万のキメラ軍団と猛毒の霧は……我が国の誇る最強の配達部隊(サイラスたち数十名)が、カイト殿の【スフレ・チーズケーキ】を前線に届ける『ついで』に、全滅(解体)させておいた」

「…………は?」

トウヤが、ステーキを咀嚼する口を止めた。

「数十人で、数万の軍勢と毒霧を? ケーキ運びながら?」

「(ハッ! 毒霧は無効化バリアで防ぎ、キメラは玉乗りの足場として活用しつつ関節を外しました。ケーキの気泡は一つも潰れておりません!)」

背後に控えていたサイラスが、誇らしげに(そして全くズレた報告を)胸を張る。

「(お前ら、マジで人間辞め始めてんな……)」

トウヤは、物理法則を冒涜する運び屋たちにドン引きしながらも、話を促した。

「それで、敵の軍勢が壊滅した後、我々『絶対同盟』の全国家で、聖ヴァリスおよび非加盟国に対する【完全なる経済・物流・資源の封鎖宣言】を行ったのだ」

ガルド宰相が、眼鏡を光らせながら淡々と語る。

「アルカディアからの陸海路の完全封鎖。地底魔国からの魔力石の輸出停止。ミズホからの米や醤油などの食糧輸出停止。そして大商業国家による全取引の永久凍結。……一滴の血も流さず、奴らの国家機能を物理的・経済的に完全に『干上がらせた』のだ」

「お、おう……。えげつねえな……」

トウヤが冷や汗を流す。

「当然の報いですな」

カイトが、唐揚げを優雅に口に運びながら微笑む。

「トウヤ殿たちの極上飯を腐らせようなどと……我々の至福の時間を奪おうとする者には、容赦という概念は存在しません」

「それで、その後の聖ヴァリスはどうなったんだ?」

「内部崩壊だよ」

魔王ゼノンが、ポテトを齧りながら笑い声を上げた。

「国境を封鎖されて食糧も資源も尽きた挙げ句、アルカディアの方からは毎日『極上飯の美味そうな匂い(出前の残り香)』が漂ってくるもんだからな。聖ヴァリスの国民も、兵士も、最後には神官たちまでが『もうあんな国捨てて、アルカディアに亡命して美味い飯食おうぜ!』って暴動を起こしたらしい」

ゼノンが肩をすくめる。

「結果、教皇や残党の将軍たちは自国民の手によって縛り上げられ、土下座で降伏してきた。……俺たちは指一本動かさずに、非加盟国は完全に地図から消滅したってわけだ」

「飯の恨み(執念)って怖いな……」

トウヤは、自らの料理が図らずも一国を滅ぼした(平和的に併合した)事実に、少しだけ遠い目をした。

「だが、一番の元凶……あの第六の転生者『シオン』はどうしたんだ? あいつが毒をばら撒いてたんだろ?」

トウヤが、少しだけ声を低くして尋ねた。

食材を粗末にする輩は、このトウヤが絶対に許さない。その怒りが再燃しかけた時。

「ああ、そのゴミ(シオン)なら、迎賓館の地下にある『極低温・鮮度保持牢獄パッケージルーム』に保管してあるぜ」

ケンタが、爽やかな笑顔で恐ろしいことを言った。

「サイラスさんたちが無傷で捕獲してくれたんでね。トウヤさんが100階層を踏破して帰ってきた時のための【極上のサンドバッグ(デザート)】として、一切腐らないように厳重にパッケージングしてありますよ」

「……よし。よくやったお前ら」

トウヤは、満面の笑みで親指を立てた。

「俺たちの飯を腐らせようとした罪……迷宮を完全制覇した暁には、あいつの精神を【無振動で三枚おろし】にしてやる」

非加盟国の無駄な足掻きは、絶対同盟の盤石すぎる(そして食欲に忠実すぎる)防衛網の前に、何一つ成すことなく完全崩壊していた。

「よし! インベントリも空になったし、腹も満たされた! 地上の憂いも完全に消え去ったことだし、気兼ねなく神域の乱獲に戻れるぜ!」

トウヤが立ち上がり、仲間たちに号令をかける。

「待ってろよ92階層! 次こそボスの矢印が出るまで、平原を丸裸にしてやる!!」

「「「オォォォォォォォッッ!!!!」」」

絶対同盟の面々からの熱い声援(もっと美味い肉をよろしくという期待)を背に受け、悠久の踏破者たちは再び、果てしなきプラチナ食材の待つ92階層の神域へと舞い戻っていくのであった。


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