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目指すは深層、まずは腹ごしらえから! 〜現代知識と【拠点創造】で始める、前人未到の大迷宮スロー攻略記〜  作者: 盆ちゃん


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第171話:【閑話】神の運び屋による一方的蹂躙と、絶対同盟の『完全封鎖宣言』

### 第171話:【閑話】神の運び屋による一方的蹂躙と、絶対同盟の『完全封鎖宣言』

地上の西方。反絶対同盟の筆頭である聖ヴァリス神聖国と、アルカディア王国の国境地帯に広がる荒野。

そこは今、この世の終わりのような光景に包まれていた。

「行けェェェッ!! 食い尽くせ! 腐らせろ! アルカディアの兵士どもを毒の沼に沈めてやれ!!」

第六の転生者シオンが、空を覆い尽くすほどのドス黒い『腐敗の毒霧』を展開し、狂気の哄笑を上げていた。

彼の足元からは、毒によって凶暴化し、痛覚を失った『腐敗のキメラ軍団』数万匹が、地響きを立てて国境線へと殺到している。

通常の軍隊であれば、毒霧に触れた瞬間に陣形が崩壊し、数万の魔獣の波に飲み込まれて一方的に蹂躙されるであろう、まさに絶望の軍勢。

しかし、その絶望の波を迎え撃つべく国境線に立っていたのは――アルカディアの正規軍でも、魔王軍の精鋭でもなかった。

「(総員、状況を確認せよ。前方に『視界不良を伴う悪天候(毒霧)』、および『大量の動く障害物キメラ』が発生している)」

背中に四角い特製ウー〇ーバッグを背負った、数十人の男たち。

サイラスとファルコン率いる『世界食糧保全機構(配達部隊)』の幹部陣である。

「(我々の背中には今、野営地で待機する正規軍へのおやつ……カイト殿特製の【極上スフレ・チーズケーキ】が入っている。目標は、この悪路を走破し、スフレの気泡を一つも潰さずに配達を完了することだ)」

「(ハッ!!)」

シオンが放つ致死の毒霧が、配達部隊の数十名をすっぽりと飲み込んだ。

「ギャハハハハッ! 終わりだ! 息を吸っただけで肺がドロドロに溶ける俺の毒で――」

シオンが勝ち誇った次の瞬間。

「(……なんだこの霧は。生ゴミの匂いがするな。ケーキに匂いが移らないよう、完全真空バリアの出力を上げろ)」

「(了解しました。呼吸は……まあ、この程度の距離なら息を止めたまま走り抜ければ問題ありませんね)」

シュゥゥゥゥッ……!

毒霧の中を、サイラスたちが【無傷】で、しかも涼しい顔で歩みを進めてきた。

彼らの肉体は、91階層の『生物を即死させる超高濃度瘴気』に順応しており、シオンの毒など自動展開される魔力バリアによって完全に無効化されていたのである。

「な、なんだとォォッ!? なんで俺の毒が効かねえんだ!!」

シオンが驚愕に目を剥く中、数万のキメラ軍団が配達部隊へと襲い掛かった。

「(行くぞ。忍法・絶対ジャイロ・超広範囲障害物デリバリー演習!!)」

シュバァァァァァッ!!

数十人の暗殺者たちの姿が、毒霧の中で完全にブレて消失した。

彼らは、88階層の【玉乗りボウリング】と、89階層の【超次元ローラースケート】で培った極限の歩法を解放した。

襲い掛かるキメラの頭や背中を「ちょっと動く足場」として蹴り渡りながら、背中のケーキを絶対的な水平に保ち続ける。

そして、すれ違いざまに、キメラたちの関節の繋ぎ目へ【無振動の解体手刀】を流し込んでいく。

スプンッ……! ボトボトボトォォッ!!

悲鳴すら上がらなかった。

数万のキメラ軍団は、配達部隊がその横を通り過ぎた瞬間に、全ての関節を外されて完全に無力化され、ただの肉のブロックと化して地面に崩れ落ちていった。

「ひ、ヒィィィィッ!!? バ、バケモノ……!! なんだこいつら!!」

後方で見ていたシオンは、自らの最強の軍団が「歩くついで」に解体されていく様を見て、腰を抜かした。

「(よし。障害物の排除完了だ)」

サイラスが、全く息を乱すことなくシオンの目の前に着地した。

「て、てめえ……! 近寄るな! 俺に触れれば、猛毒で腐り果てるぞ!!」

シオンがヤケクソで毒の魔力をサイラスに放つ。

しかし、サイラスは無表情のまま、シオンの首筋にスッと手刀を落とした。

「(我々は『神域のプラチナ食材』を素手で捌くための毒抜き技術も習得している。貴様程度の腐敗毒、触れる価値もない)」

ドゴォッ!!

「あべばッ!?」

シオンは白目を剥いてその場に崩れ落ちた。

「(このゴミ(シオン)は、後ほどトウヤ殿たちへお出しするデザートだ。『鮮度保持パッケージ』で厳重に梱包し、迎賓館の地下牢へ配送しろ)」

「(ハッ! お届け先、地下牢。直ちに出前いたします!)」

かくして。

反絶対同盟が全てを賭けた数万の軍勢と猛毒は、数十人の「出前持ち」によって、配達時間わずか5分で完全制圧されたのであった。

**【聖ヴァリス神聖国――地下大聖堂】**

キメラ軍団出撃から数時間が経過した頃。

教皇とバルロア残党将軍、そして非加盟国の指導者たちは、勝利の報を今か今かと待ちわびていた。

「そろそろ、アルカディアの国境が毒に沈んだ頃合いだろうか……ククク」

教皇がワイングラスを揺らした、その時。

バチバチバチィィッ!!

大聖堂の中央に置かれていた巨大な通信用魔水晶が、外部からの凄まじい魔力干渉によって強制的にハッキングされ、眩い光を放ち始めた。

「な、なんだ!? 何が起きている!?」

空中に投影された巨大な魔力スクリーン。

そこに映し出されたのは、壮麗な円卓を囲む『絶対同盟』の首脳陣たちであった。

アルカディア国王ヴィルヘルム。

地底魔国の魔王ゼノン。

ミズホの賢者カイト。

そして、大商業国家のギルド総帥。

『――聞こえているか、聖ヴァリスの愚者ども』

ヴィルヘルム国王が、絶対的な王の威圧感を放ちながら、画面越しに見下ろしてくる。

「ヴィ、ヴィルヘルム……!! 貴様ら、なぜ我々の通信回路に……!! シオン殿の軍勢はどうした!!」

将軍が震える声で叫ぶと、魔王ゼノンが鼻で笑って指を鳴らした。

画面の端に、ぐるぐる巻きの鮮度保持ラップで梱包され、白目を剥いて気絶しているシオンの姿が映し出される。

「ヒィィッ!!?」

『貴様らが差し向けた数万の毒キメラは、我が国の【出前配達員・数十名】によって、わずか数分で全滅(解体)した。……我が同盟の極上飯を腐らせようとした罪、万死に値する』

ヴィルヘルムの声が、大聖堂を氷点下まで凍り付かせる。

『我ら絶対同盟は、貴様ら非加盟国同盟に対し、武力による侵攻は行わん。……だが、今日この瞬間をもって、貴様らを完全に【世界から孤立】させる』

各国の首脳が、次々と冷酷な宣言を下していく。

* **アルカディア王国:** 「我が国に通じる全ての陸路・海路を完全封鎖する。一滴の水、一粒の麦すら、貴様らの国には通さん」

* **地底魔国(魔王ゼノン):** 「ウチの国から輸出してる『魔力石』と『地下資源』、全部ストップだ。お前らの国の魔導具、明日から全部鉄くずになるぜ」

* **ミズホの国(賢者カイト):** 「我が国からの『米』『醤油』『味噌』をはじめとする一切の農作物および調味料の輸出を永久に停止する。……極上飯の価値も分からぬ者たちに、我々の味を共有する義理はない」

* **大商業国家:** 「商業ギルドは、聖ヴァリスおよび関連国との全取引を凍結。お前たちの通貨は、今日からただの紙切れと石ころだ」

「そ、そんな……!!」

教皇が、顔面を蒼白にして膝から崩れ落ちた。

軍事、資源、食糧、経済。

国家を成立させる全ての要素が、たった数分の通信で完全に息の根を止められたのである。

『……大人しく、自国の城の中で枯れ果てるがいい。第六の転生者は、迷宮を制覇した【最強の美食家たち】への供物として、こちらで処理させてもらう』

ブツンッ!!

一方的な宣言と共に、魔力スクリーンは完全に途切れた。

「お、終わった……。我々の国は……もう……」

大聖堂に響き渡るのは、指導者たちの絶望の嗚咽のみ。

極上飯の平和を脅かそうとした彼らの末路は、一滴の血も流されることなく、完全なる『干上がり』という最も惨めな形で確定したのであった。

全てを裏で片付けた絶対同盟の首脳陣は、通信を切った後、迎賓館で笑い合いながらカイト特製のスフレ・チーズケーキ(無振動で届けられた完璧な品)を堪能していた。

彼らの盤石すぎる(そして容赦のない)防衛網に守られ、大迷宮の最深部では、悠久の踏破者たちが今日も元気にプラチナ食材を乱獲し続けているのであった。


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