第165話:大台の超次元遊戯竜と、究極リゾートを駆ける神の運び屋
### 第165話:大台の超次元遊戯竜と、究極リゾートを駆ける神の運び屋
『悠久の大迷宮』第89階層――『ファンタジー魔導・超次元複合スポーツ空間』。
隕石を打ち返し、空間の歪むピンポンを制し、上下逆転のローラースケートを極めた『悠久の踏破者』の六人と三匹。
80階層台後半に連続した「チキュウのアミューズメント施設・異世界魔改造版」を圧倒的な身体能力と食欲で踏破した一行は、ついに迷宮の最深部へと足を踏み入れる大台……第90階層の巨大な黒曜石の大扉の前に到達していた。
「さーて! いよいよ90階層、80階層台の総決算たる大ボス部屋だ!」
トウヤが、大扉を見上げてニヤリと不敵な笑みを浮かべる。
80階層の時は「カラオケ(歌唱)」のトラウマで絶望のどん底にいた彼だが、今回は違う。ここまでの魔改造施設は全て「純粋な物理と反射神経の遊び」であったため、一切の不安はなかった。
「86階層のテーマパーク、87階層の星海アクアリウム、88階層のメテオ・ボウリング、そして89階層の超次元スポ〇チャ。……これまでの法則からして、今回はこれら【後半戦の魔改造ギミック全部乗せ】の超ド級カオス空間が待ち構えているはずだぜ!」
ジンが、双短剣をシャキッと鳴らして闘志を燃やす。
「ええ! つまり、空飛ぶ次元の海にジェットコースターのレールが敷かれ、そこを隕石が転がってくるようなアリーナですわね! 想像しただけで血が騒ぎますの!」
エリスが大剣を軽々と肩に担ぎ、極上の笑顔を見せる。
「ああ、その通りだ。迷宮のシステムが全力で俺たちを楽しませ(殺しに)来てる。だが、どんなスケールの魔改造だろうと、俺たちの目的は一つ!」
トウヤが『天啓の美食羅針盤』を取り出す。盤面の中央には、これまでで最大・最強の『プラチナ色』が、まるで超新星爆発のように眩く輝いていた。
「あの中にいる【全部乗せの極上プラチナ食材】を、最高に美味い状態で狩り尽くすことだ! 行くぞ!!」
「「「了解ッッ!!!!」」」
バンッ!!
トウヤが気合と共に大扉を力強く押し開けた。
ギギギギギギ……ッ!!
扉の先に広がっていたのは、彼らの予想をさらに上回る、筆舌に尽くしがたい『美しき狂気』の空間であった。
宇宙空間のような暗闇の中。
透き通る『次元の海(水流)』がジェットコースターのレールのように複雑なメビウスの輪を描いて空中に張り巡らされ、その周囲を無数の『光の惑星(ビリヤードの球)』や『燃え盛る隕石(ボウリングの球)』が飛び交っている。
まさに、異世界の魔法技術とチキュウの娯楽が極限まで融合した、神々の遊技場。
第90階層――『ファンタジー魔導・超次元リゾート・グランドアリーナ』。
『ギュオォォォォォォォォォォォッッ!!!!』
次元の海の大渦の中から、凄まじい水飛沫(星屑)を上げて、超巨大な魔竜が顕現した。
第90階層大ボス――『グランドフィナーレ・アストラル・リヴァイアサン(超次元遊戯の終焉神竜)』。
水竜のしなやかな体躯を持ちながら、その背にはテーマパークの城のような堅牢な魔力結晶の装甲(重力制御機構)を背負い、周囲には無数のメテオを従えている。
「(来たぞ! プラチナ反応のど真ん中だ!! 全ギミックを相殺して、あいつの懐に飛び込むぞ!!)」
トウヤの号令と共に、異世界最強の美食家たちが一斉に三次元空間へと跳躍した。
「(まずは隕石の弾幕ですわね! 【渾身撃・流星打ち返し】!!)」
エリスが、空中の足場を蹴って飛来する巨大な燃える隕石群に肉薄し、大剣の腹をバット代わりにして次々と神竜へと打ち返していく。
「(ならワシは、この光の惑星を沈めてやろう! 【流転の盾・超重力ビリヤード】!!)」
ガレスが大盾で惑星(球)を弾き、次元の海を泳ぐ神竜の死角へとビリヤードの要領で反射攻撃を仕掛ける。
「(ルミナ、マリア! レールの軌道を固定しろ!)」
「(【絶対零度・次元水流氷結】!)」
後衛の魔術師二人が、暴れ狂う次元の水流コースターの一部を瞬間凍結させ、トウヤとジンのための【絶対安全な滑走路】を空中に創り出す。
「(行くぜトウヤ! ローラースケートの要領だ!!)」
「(おうっ! 決めるぞ!!)」
トウヤとジンが、凍りついた空中の次元レールの上を、一切の摩擦を感じさせない神速の滑走で駆け抜ける。
神竜が最後の足掻きとばかりに放った「次元を歪める咆哮」すらも、スポ〇チャで鍛え上げた超次元ステップで難なく回避。
「(肉の旨味は……一滴も逃さねえ!! 【渾身撃・無振動アストラル・グランドフィナーレ】!!!)」
トウヤの剣とジンの双短剣が交差し、極限まで圧縮された無振動の斬撃波動が、神竜の装甲の隙間(星のコア)を完璧に貫き通した。
ズバァァァァァァァァッッ!!!!!
超次元遊戯の終焉神竜は、痛みすら認識する間もなく光の粒子へと還り、圧倒的な質量を誇る『神話級・超次元サーフ&ターフ(大トロとシャトーブリアンの究極融合肉)』となって、アイテムボックスへと収納された。
カッ――――!!!!
【第90階層クリア。マナー遵守・全アトラクション制覇ボーナス獲得】
けたたましいファンファーレと共に、これまでにないほど巨大で豪華な宝箱が空間の中央に現れた。
その中に入っていたのは。
『神話級・アミューズメント増設キット(超次元リゾート・スパ&ラウンジ究極完全版)』であった。
「ガッハッハ! やったぜ! 大台突破だ!!」
「しかも今回は『スパ(温泉)』の文字がありますわよ! 最高の打ち上げになりますわ!」
トウヤたちは、大量の極上肉と最強のリラクゼーション施設を抱え、意気揚々と拠点へと帰還していった。
***
【同日夜――星繋ぎの迎賓館】
大迷宮の底、地上の王城、地底魔国、ミズホの国を繋ぐ次元の交差点。
今夜の迎賓館は、増設されたばかりの『超次元リゾート・スパ』の癒やしのオーラと、90階層大ボスの究極肉が焼ける暴力的な匂いに包まれていた。
「さあ! 90階層突破記念! 『超次元神竜の究極サーフ&ターフ・メガロースト』だ!!」
トウヤとレオが、円卓のど真ん中に、巨大な黄金の皿をドンッと置く。
そこに乗っているのは、牛肉の最高峰たるシャトーブリアンの濃厚な赤身と、海鮮の最高峰たる大トロの脂が、まるで大理石の模様のように完全に融合した、物理法則を無視した奇跡の肉の塊であった。
カイト特製の『黄金醤油・ガーリックステーキソース』が、ジュワァァァッと音を立てて香りを弾けさせている。
「「「いただきますッッ!!!!」」」
ヴィルヘルム国王が、分厚い一切れを口に放り込む。
「――――ッッ!! ぬおおおおおぉぉぉぉぉッッ!!!!」
国王の目から、光の涙(物理)が噴き出した。
「噛んだ瞬間、究極の牛肉の旨味が爆発したかと思えば、喉を通り過ぎる頃には極上の大トロの甘みが波のように押し寄せてくる!! 陸の王者と海の覇者が、余の胃袋の中で完璧なワルツを踊っておるわ!!」
「うめぇぇぇぇっ!! この添え物の『次元玉ねぎの丸焼き』もヤバい!!」
魔王ゼノン(田中太一)が、肉汁を限界まで吸い込んだ甘い玉ねぎを掻き込みながら絶叫する。
「これ一つで、魔界の高級レストランのフルコース全品を凌駕してやがる! ビール! ビールの大ジョッキ持ってこーい!!」
「トウヤさん! 飯の美味さも限界突破してますけど、あっちの施設もヤバいですよ!」
ケンタが、ミリタリー仕様のバスローブ(?)に身を包みながら、増設された新エリアを指差す。
そこには、既存の遊園地やスポーツ施設に加え、【超次元の海と星空を眺めながら入れる、魔導温泉】や、全自動で筋肉をほぐしてくれる【無重力マッサージ・ラウンジ】が完備された、究極の癒やし空間が広がっていた。
「ふはははっ! ジェットコースターで絶叫した後の温泉! これぞ王の贅沢!!」
「カイト殿、このマッサージチェア、重力が無くなるから腰への負担がゼロですぞ……おほぉ……」
ヴィルヘルム国王やガルド宰相が、完全に骨抜きになって温泉やマッサージを堪能している。
――しかし。
そんな至福のリラクゼーション空間の真横(超次元アトラクション・エリア)において。
やはりというか、絶対にブレない男たちがいた。
サイラスとファルコン率いる『世界食糧保全機構(配達部隊)』の精鋭たちである。
「(総員、聞け!! 我々は今宵、これまでの全特訓の集大成を披露する!!)」
サイラスが、背中に特製のウー〇ーバッグを背負い、鬼神の如き形相で部下たちに号令をかける。
彼らの出前箱の中に入っているのは、衝撃に極めて弱い【神話級・究極の特大スフレパンケーキ】である。
「(これより、我々は『次元水流ジェットコースター』に玉乗り状態で搭乗し、飛来する隕石を回避しながら、無重力と超重力の切り替えに耐え抜く!!)」
「(な、なんだと……!? つまり、これまで80階層台で培った全ての回避術を同時並行で行うというのか!!)」
ファルコンが、あまりの高難度に戦慄しながらも、その瞳に歓喜の涙を浮かべる。
「(左様!! これを為し得てこそ、真の『神の運び屋』!! 行くぞ!! 忍法・絶対ジャイロ・超次元グランドフィナーレ出前!!)」
ギュイィィィィィンッ!!
次元の海を猛スピードで駆け抜けるコースターの先頭車両。
その上で、ミズホのシノビとアルカディアの暗殺者たちは、玉乗りのバランスを取りながら、飛来するメテオをミリ単位のスウェーで躱し、無重力と超重力の乱高下を魔力制御で完全に相殺していた。
「(パンケーキの膨らみを1ミリも潰すな!! スフレの気泡一つすら守り抜け!!)」
「(ウオォォォォォッ!! 次元を越え、星を砕く出前至上主義!!)」
「…………あいつら、ついに休む(スパに入る)ことすら放棄して出前の極致に達しやがった」
トウヤは、温泉に浸かりながら、頭上の次元レールを無振動でカッ飛んでいく暗殺者たちを眺め、究極のサーフ&ターフ肉を口に放り込んだ。
もはや迷宮の最深部のギミックすらも、彼らの異常な向上心(出前への執念)の前には「ちょっと豪華なアスレチック」に過ぎない。
カロリーと癒やし、そして物理法則を置き去りにした暗殺者たちの狂宴。
いよいよ前人未踏の90階層台の深淵へと足を踏み入れた絶対同盟の面々は、極上の笑顔と共に、迷宮の底の底へと爆進していくのであった。
ドモドモ(・ω・影)ゞ影盆こと盆ちゃんです。いやぁ、ついに来ました。90階層台からの100階層目前僕の頭の中では2通り考えはあるのですが、( •ω•)ウーン・・どうしようと悩んでます( ´ ▽ ` )ハハッ♪
でわでわ、166話からもよろしく(∩´∀`@)⊃




