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目指すは深層、まずは腹ごしらえから! 〜現代知識と【拠点創造】で始める、前人未到の大迷宮スロー攻略記〜  作者: 盆ちゃん


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第162話:天を流れる星海(アクアリウム)と、次元を越える大トロの宴

### 第162話:天を流れる星海アクアリウムと、次元を越える大トロの宴

『悠久の大迷宮』第86階層――『ファンタジー魔導・幻惑の絶叫テーマパーク』。

ワームホールを突き抜けるコースターやマグマの急流下りなど、チキュウの遊園地が次元と魔法で魔改造された狂気のアトラクションを楽しみ尽くし、隠しボスを瞬殺した『悠久の踏破者』の六人と三匹。

迎賓館に新たな絶叫施設を増設し、極上の幻影とろける肉寿司で至福の夢を見た彼らは、次なる未知の領域、第87階層の黒曜石の大扉の前に立っていた。

「さーて! 86階層がテーマパークの魔改造だったってことは、順当にいけば今回は77階層……つまり『水族館アクアリウム』の魔改造版が来るはずだ!」

トウヤが、大扉を見上げながら期待に満ちた声を上げる。

「水族館! ガラスの向こうに美しいお魚(極上食材)たちが泳ぐ、あの素晴らしい癒やしの空間ですわね!」

エリスが、ヨダレを拭いながら目を輝かせる。

「ああ。だが今回は異世界ファンタジーの魔改造入りだ。ただの水槽が並んでいるだけじゃないだろうな」

トウヤが『天啓の美食羅針盤』を取り出し、魔力を流し込む。

盤面には無数の黄金色の光と、奥深くに輝くプラチナ反応。そして環境ギミックを示す『青い矢印』は、盤面の中で「空中に浮かび上がり、ゆったりとした螺旋を描きながら、まるで川のように流れる」という、これまた摩訶不思議な軌道を描いていた。

「(……なるほど。空飛ぶ水族館か、宇宙の水族館か……いずれにせよ、鑑賞マナーが第一なのは変わらないはずだ)」

トウヤは羅針盤を懐にしまい、仲間たちを振り返った。

「みんな! どんなに環境が魔改造されていても、水族館の基本ルールは同じだ! 『結界(水槽)を叩かない』『フラッシュ(発光魔法)禁止』『順路を守って静かに鑑賞』! いいな?」

「「「了解イエッサーッッ!!!!」」」

全員がマナーを心に刻んだことを確認し、トウヤは重厚な大扉を両手で押し開けた。

ギギギギギギ……ッ!!

扉が開いた瞬間、彼らの視界を覆い尽くしたのは、息を呑むような【星空と蒼の絶景】であった。

「な、なんだここは……!? 空を……海が流れているぞ!!」

ジンが、頭上を見上げて驚愕の声を上げる。

そこは、果てしなく広がる宇宙のような暗闇の空間。

しかし、その空間の至る所に、巨大な『大河』や『球体』の形をした【透き通る蒼い水】が、重力を完全に無視して空中に浮遊し、あるいは複雑に交差しながら流れていた。

水を隔てているのはガラスではなく、薄く虹色に光る『次元の魔力結界』。

その結界の中(空中水流)を、星屑のように輝く鱗を持った極上の魔物(魚)たちが、優雅に泳ぎ回っているのだ。

第87階層――『ファンタジー魔導・星海アクアリウム(次元水族館)』。

「(……すげえ。チキュウのアクアチューブ(水中トンネル)を、異世界の魔法で極限までスケールアップさせやがった……!)」

トウヤは、そのあまりにも幻想的で美しい光景に、心の中で迷宮のセンスを大絶賛した。

「ピィィッ!(兄貴、お魚さんが空を飛んでるみたいだよ!)」

クーが、空中の水流に沿って飛び回りながらはしゃぐ。

「(よし、マナーを守って進むぞ! 極上の海鮮を品定めしながらな!)」

一行は、足元に展開された星屑の道を歩きながら、空中の水流を鑑賞し始めた。

『ギャラクシー・クラゲ』が七色の光を放ちながら球体水槽の中を漂い、『コメット・マンタ(極上エイ)』が巨大な水の大河を羽ばたくように泳ぎ去っていく。

どれもこれも、一口食べれば寿命が延びそうなほどの神話級食材ばかりである。

「(トウヤ様……あちらの『アストラル・タラバガニ』、結界越しでも濃厚な旨味が伝わってきますわ……!)」

「(エリス、ヨダレを拭け。後で獲ってやるから)」

静かに、しかし凄まじい食欲を胸に秘めながら順路を最後まで進みきると、そこには空間の中央に鎮座する、ひときわ巨大な【星海の超特大球体水槽】が現れた。

そして、全ての水槽をマナー良く鑑賞し終えたという『隠しボスの出現条件』が満たされた瞬間。

巨大球体水槽の底(中心)から、プラチナの光を放つ超巨大な影が悠然と浮上してきた。

第87階層隠しボス――『アストラル・コスモ・リヴァイアサン(星海水竜・極上大トロ&エンガワ)』。

全身が宇宙の星雲のような輝きを放ち、その肉には次元を超越した脂が乗っているという、海鮮系キメラの頂点である。

「(来たぞ! 隠しボスだ! 水流の結界を破らず、水飛沫すら上げずに一瞬で仕留めるぞ!!)」

トウヤの無音の指示に、仲間たちが瞬時に呼応する。

「(【幻影歩法・次元潜り】!!)」

ジンが、空間の歪みを利用して結界の内部へと音もなく侵入し、リヴァイアサンの意識を引く。

「(行きますわ! 【渾身撃・無振動の星断ち】!!)」

エリスが、結界の外から大剣を振り抜き、結界そのものを『透過』する極限の波動斬りを放つ。

そして、トウヤが完全に虚を突かれた水竜の急所(星のコア)へ、無音の刺突を突き入れた。

スプッ……!!

一滴の水も揺れることなく、星海水竜は絶命。

即座にルミナとマリアの『絶対零度パッケージング』が発動し、超巨大な水竜はプラチナ級の極上大トロとエンガワのブロック肉へと変換され、アイテムボックスに吸い込まれた。

カッ――――!!!!

【隠しボス討伐完了。マナー遵守・完全無音ボーナス獲得】

幻想的な光の粒と共に現れた宝箱の中身は。

『神話級・アミューズメント増設キット(星海魔導アクアリウム・バージョン)』であった。

「ガッハッハ! 今回も完璧な一本釣りだったな! さあ、帰ってこの星空の大トロを味わい尽くすぞ!!」

***

【同日夜――星繋ぎの迎賓館アストラル・ゲストハウス

大迷宮の底、地上の王城、地底魔国、ミズホの国を繋ぐ次元の交差点。

今夜の迎賓館は、増設された『星海魔導アクアリウム』の幻想的な蒼い光と、トウヤたちが振る舞う極上海鮮の香りに包まれていた。

宴会場の天井や空中には、迷宮からそのまま持ってきたかのような『巨大な水流(次元の海)』が流れ、その中を美しい魚たちが優雅に泳ぎ回っている。

「さあ! 87階層突破記念! 『コスモ・リヴァイアサンの極上星空大トロ刺身』と、『神話級エンガワの炙り寿司・マヨネーズ乗せ』だ!!」

トウヤとレオが、巨大な氷の器に乗せられた刺身と寿司を円卓に並べる。

大トロの断面は、まるで本物の星空のように細かなサシがキラキラと輝いていた。

「「「いただきますッッ!!!!」」」

ヴィルヘルム国王が、大トロの刺身にミズホのショウユを少しだけつけ、口に運ぶ。

「――――ッッ!! な、なんだこれは!!」

国王が、あまりの衝撃に立ち上がった。

「舌の上に乗せた瞬間、肉が星屑のように溶けて消えた! そして、圧倒的な脂の甘みと旨味が、脳の髄まで染み渡っていく……!! まるで宇宙の神秘そのものを食べているようだ!!」

「うめぇぇぇぇっ!! このエンガワの炙りもヤバすぎる!!」

魔王ゼノン(田中太一)が、炙り寿司を次々と放り込みながら絶叫する。

「炙った香ばしさと、溢れ出す濃厚な脂! そこにカイトのマヨネーズの酸味が加わって、完璧な味の宇宙が完成してやがる!! ビールが、無限ドリンクバーのビールが蒸発していくぞォォォッ!!」

「トウヤさん! 頭上の空飛ぶ海を見ながら食う海鮮、ロケーションとして最高すぎますよ!」

ケンタが、ミリタリージョッキを片手に、空中の水流を泳ぐ魚たちを見上げて満面の笑みを浮かべる。

「いやー、チキュウのスイゾクカンを異世界風にすると、ここまで凄まじい芸術になるんですな。心が洗われますぞ」

ガルド宰相も、日々の激務を忘れ、美しい蒼の空間に酔いしれている。

しかし、そんな癒やしと美食の空間において。

やはりというか何というか、全く別のベクトルで「水族館の魔改造」を活用している集団がいた。

サイラスとファルコン率いる『世界食糧保全機構(配達部隊)』の精鋭たちである。

「(総員、空中の次元水流に注目しろ!!)」

サイラスが、背中に特製ウー〇ーバッグ(中身は熱々の茶碗蒸し)を背負い、部下たちに熱弁を振るう。

「(あの空中を流れる水は、魔力結界によって『摩擦ゼロの流体軌道』を形成している! つまり、あの水流の結界表面に魔力を同調させれば、我々は空中の川を【超高速のハイウェイ】として滑走できるということだ!!)」

「(な、なるほど……! 水の抵抗を受けず、水流の推進力だけを得る究極のデリバリー・ルート!!)」

ファルコンが戦慄し、深く頷く。

「(行くぞ!! 忍法・絶対ジャイロ・星海ウォーター・スライダー出前!!)」

シュバァァァァァッ!!

宴会場の空中に張り巡らされた巨大な水流。その結界の表面を、ミズホのシノビとアルカディアの暗殺者たちが、背中の出前箱の中身を1ミリも揺らすことなく、サーフィンのように超高速で滑り抜けていく。

彼らは魚たちと並走しながら、一切の音も振動も立てずに空間を飛び交っていた。

「(素晴らしいぞ皆の者!! これで、たとえ王都が空中の浮遊島に移転しようとも、我々は最短ルートで完璧な茶碗蒸しをお届けできる!!)」

「(ウオォォォォォッ!! 星海を駆ける出前至上主義!!)」

「…………あいつら、ついに空中を川下り(?)しながら出前し始めやがった」

トウヤは、頭上を猛スピードで滑空していく暗殺者たちを見上げながら、炙りエンガワを口に放り込んだ。

もはや迷宮の魔改造すらも彼らの狂気(出前の探求)には追いつけない。

極上の星空大トロと、頭上を流れる蒼い次元の海、そして空を駆ける配達員たち。

迎賓館の規格外の宴は、次なる80階層台の終盤に向けて、止まることなく幻想的に、そしてカオスに更けていくのであった。


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