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目指すは深層、まずは腹ごしらえから! 〜現代知識と【拠点創造】で始める、前人未到の大迷宮スロー攻略記〜  作者: 盆ちゃん


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第151話:使い回しの夢の国(テーマパークVer.2)と、迷宮からの『増設』の催促

### 第151話:使い回しの夢の国(テーマパークVer.2)と、迷宮からの『増設』の催促

『悠久の大迷宮』第75階層――『複合アスレチック要塞』。

チキュウの理不尽ギミック全部乗せという狂気の試練を乗り越え、中ボスを瞬殺したトウヤたちは、クリアボーナスとして『迎賓館の遊技場増設キット』を手に入れた。

今や次元の交差点である迎賓館は、サバゲー、フィットネスジム、ダンスゲームが入り乱れる超カオスな娯楽施設(兼・配達部隊の地獄の教習所)と化している。

そして今日。

迎賓館での宴会と遊びを満喫した『悠久の踏破者』の六人と三匹は、いよいよ70階層台の後半戦となる、第76階層の黒曜石の大扉の前に立っていた。

「さーて! いよいよ深層も大詰めに入ってくる頃合いだ。次はどんな理不尽が来るかな!」

トウヤが、ワクワクした顔で『天啓の美食羅針盤』を取り出した。

魔力を流し込むと、盤面には無数の『黄金色』の光が灯った。

だが、環境ギミックを示す『青い矢印』の動きを見た瞬間、トウヤはピタリと動きを止めた。

「んん? この矢印の動き……」

矢印は、盤面の中で「ゆっくりと観覧車のように回転する」「猛スピードで乱高下する」といった、複数の異なる軌道を同時に繰り返している。

「トウヤ、どうした? また複合ギミックか?」

ガレスが尋ねると、トウヤは首を捻った。

「いや……これ、第69階層の時と【全く同じ動き】だぞ。チキュウの『ユーエンチ(テーマパーク)』の階層と」

「えっ? 使い回しですの?」

エリスが目を丸くする。

「いや、階層が深くなってるんだから、敵は確実に強くなってるはずだ。だが、環境自体が同じってのはなんか腑に落ちねえな……」

警戒しつつも、トウヤたちは隊列を組んで大扉を押し開けた。

ギギギギギギ……ッ!!

扉が開いた瞬間、彼らを包み込んだのは、ファンファーレのような底抜けに明るいブラスバンドの音楽と、甘いポップコーンの香りであった。

「ピィィッ!(兄貴、またキラキラしたお城があるよ!)」

クーの言う通り、そこには巨大な『夢と狂気の遊戯園Ver.2(テーマパーク)』が広がっていた。

「おっ! 確かにユーエンチだが、前と少しアトラクションが変わってるぞ!」

ジンが、周囲を見渡して声を上げる。

前回はジェットコースターやメリーゴーランドだったが、今回は丸太のボートに乗って急流を下る『スプラッシュ(水飛沫)の滝』や、真っ暗な宇宙空間を模した屋内を猛スピードで駆け抜ける『スター・マウンテン』、そして光線銃で的を撃つ『シューティング・ライド』など、明らかにバージョンアップしたアトラクションが立ち並んでいる。

「(敵の質も上がってるな……!)」

トウヤの神眼が解析を行う。

急流下りの滝壺に潜む『スプラッシュ・クラーケン(極上イカ)』、宇宙のコースターを飛ぶ『スペース・ターキー(神話級七面鳥)』など、プラチナに近い黄金食材がウジャウジャいる。

「ルールは前回と同じだ! 【最後尾から並んで順番を待つ】【安全バーから手を離さない】! いいな!」

トウヤが指示を出し、一行は早速アトラクションの列に並び始めた。

しかし、並びながら羅針盤をもう一度確認したトウヤは、ある異変に気づいた。

「……おい。盤面の奥の方に、微かに『プラチナ色』が明滅してるぞ。隠しボスだ」

「隠しボス? でも、前回はアトラクションに乗ってる魔物が全部プラチナ食材だったじゃないか」

ジンが首を傾げる。

トウヤは、羅針盤の光と、この『使い回しの階層』の意図を考え……ハッと気づいた。

「(……まさか、迷宮のシステム(意志)、俺たちが前回の『迎賓館増設キット』ではしゃいでるのを見て、味を占めたんじゃないか?)」

トウヤの脳内に、一つの推測が浮かび上がった。

「お前ら! この階層、絶対に【遊園地の増設セット】を出したがってるぞ!! 迷宮のシステムが『お前らこういう施設好きだろ? 隠しボスを瞬殺したら、迎賓館に遊園地も作れるキットをやるぞ』って暗に催促してきてるんだ!!」

「な、なんですってェェェッ!?」

エリスの顔がパァッと輝いた。

「迎賓館に、このユーエンチが増設される……! 列に並ばなくても、絶叫マシンが無限に乗り放題になるということですわね!?」

「そういうことだ!!」

トウヤの推測に、美食家たちのテンションは一気に最高潮(限界突破)に達した。

「隠しボスを探せ! 夜のパレードだ!!」

トウヤたちは、アトラクションをマナー良く(かつ超絶スピードで)制覇しながら、隠しボスが出現するポイントを特定した。

パァァァァッ!!

園内が暗くなり、電飾でピカピカに光り輝く巨大な山車フロートが音楽と共に現れる。

その最大のフロートの上に君臨していたのが、隠しボス――『エレクトリカル・プラチナ・ドラゴン(極上霜降りドラゴンテール)』であった。

「(来たぞ! パレードの進行を妨害するのはマナー違反だ! フロートが目の前を通過する『最高に盛り上がる瞬間』だけを狙え!)」

「(了解いただきますッッ!!!!)」

フロートがトウヤたちの目の前を通過した瞬間。

「(【幻影歩法・特等席からの神速抜き】!!)」

「(【渾身撃・無振動ペンライト一閃】!!)」

ジンとエリスが、パレードの観客席から一切立ち上がることなく、凄まじい斬撃の波動だけを正確に飛ばし、ドラゴンの極太の尻尾を無痛で切断した。

カッ――――!!!!

パレードの光に紛れ、神々しい純白の光の柱が打ち上がる。

【隠しボス討伐完了。マナー遵守ボーナス獲得】

ファンファーレと共に現れた宝箱の中には、トウヤの予想通り。

『神話級・アミューズメント増設キット(夢のテーマパーク・バージョン)』が燦然と輝いていた。

「ガッハッハ! やっぱりか! 迷宮の奴、完全に俺たちの好みを把握して接待してきてるぜ!!」

「最高ですわトウヤ様! すぐに迎賓館へ戻りましょう!!」

***

【同日夜――星繋ぎの迎賓館アストラル・ゲストハウス

大迷宮の底、地上の王城、地底魔国、ミズホの国を繋ぐ、次元を超えた大宴会場。

トウヤの【緊急招集】の報を受け、ヴィルヘルム国王、魔王ゼノン、カイト、そしてレオとケンタの転生者組が円卓に集結していた。

「皆! 待たせたな!」

トウヤが、巨大なトレイに山盛りにされた『スペース・ターキーの極大ロースト・レッグ』と『チュロス』、そして『スプラッシュ・イカのバター醤油焼き』をドンッと置く。

「うおおおおっ! なんだこの骨付き肉は! 漫画みたいにデカいぞ!!」

ケンタがターキーレッグに食らいつく。

「今日、76階層で手に入れた新アイテムがあるんだ」

トウヤが、ニヤリと笑って『テーマパーク増設キット』の模型をテーブルに置いた。

「迎賓館に、あの『ユーエンチ(某夢の国)』が完全な安全マージン付きで増設されるぞ!!」

「「「な、なんだとォォォォォッ!!?」」」

その瞬間、ゼノンとカイトが椅子を蹴り倒して絶叫した。

「某夢の国だと!? マジかよ兄弟! ビッグサンなんとかマウンテンとか、スプラッシュなんとかとか、全部あるのか!?」

「チュロス! だからチュロスがあるんですね! 最高だぁぁぁッ!!」

転生者たちが狂喜乱舞し、レオも「ポップコーン、キャラメル味も作りますよ!」とテンションを上げる。

ヴィルヘルム国王たちは、その異常なはしゃぎっぷりに息を呑んだ。

「あのチキュウの『恐怖と忍耐の拷問施設』が……この迎賓館に……!?」

「ええ。ですがトウヤ殿が『安全マージン付き』と仰っていました。つまり、我々も死の危険なく、チキュウの極限の恐怖を体験できるということですな!」

ガルド宰相が、眼鏡を光らせながらターキーレッグを頬張る。

「おい、サイラス、ファルコン!」

トウヤが、背後に控えていた暗部たちに声をかける。

「お前らも好きに使っていいぞ。急流下りとか、落下マシンとかあるからな」

「ッ!!」

サイラスとファルコンが、バチィッ!! と鼓膜が破れそうな音を立てて敬礼した。

「トウヤ殿! 感謝の極みに存じます!!」

ファルコンが、血走った目で部下たちを振り返る。

「聞いたか!! 急流下りと、フリーフォール(垂直落下)だ! これでついに、【無重力状態におけるスープの完全防衛】の修練ができるぞォォォッ!!」

「「「ウオォォォォォォォッ!! 出前至上主義!!」」」

(……本当にこいつら、遊ぶ気ゼロだな)とトウヤは心の中でツッコミを入れた。

その夜。

増設された迎賓館の『テーマパーク・エリア』は、光と音楽と狂乱の渦に包まれていた。

「ヒャッハー! ジェットコースター最高だぜ!!」

ジンが、最前列で両手を上げて絶叫する。

「あはははっ! 某夢の国、貸し切りとかヤバすぎる!」

ゼノンとカイトが、ネズミの耳(?)のカチューシャをつけてパレードにはしゃぎ回る。

そして、急流下りの『スプラッシュ・ボート』では。

「(落下します!! 総員、スープの水平を維持せよ!!)」

ザバァァァァァァッッ!!

水飛沫が舞い上がる中、サイラスたち配達部隊が、両手に熱々のどんぶりを持ったまま、完璧な体幹と魔力コントロールで『完全な無振動』を保ちながら滝壺へと落ちていくという、あまりにもシュールな光景が展開されていた。

「ガッハッハ! みんな楽しそうだな!」

トウヤは、レオの作ったキャラメル・ポップコーンを頬張りながら、花火が打ち上がる夜空を見上げた。

迷宮の理不尽なギミックすらも「接待」へと変え、娯楽と食欲を無限に拡張していく絶対同盟。

彼らの非常識な迷宮キャンプは、圧倒的なカロリーと笑顔を満載して、さらなる深層へと爆走していくのであった。


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