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目指すは深層、まずは腹ごしらえから! 〜現代知識と【拠点創造】で始める、前人未到の大迷宮スロー攻略記〜  作者: 盆ちゃん


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第148話:ネオン煌めく狂乱の舞踏盤(リズムゲーム)と、配達部隊の地獄の合同

### 第148話:ネオン煌めく狂乱の舞踏盤リズムゲームと、配達部隊の地獄の合同合宿

『悠久の大迷宮』第73階層――『無限負荷の筋肉神殿フィットネス・ジム』。

過酷なマッスルキャンプを乗り越え、神話級のプロテインで筋肉の超回復を果たしたトウヤたち『悠久の踏破者』の六人と三匹。

フィジカル(基礎筋力)という最強の土台を手に入れた彼らは、次なる未知の領域、第74階層の黒曜石の大扉の前に立っていた。

「さーて! 筋肉も仕上がったことだし、次はどんな美味い食材が待ってるかな!」

トウヤが、パンプアップした胸筋を軽く叩きながら『天啓の美食羅針盤』を取り出す。

魔力を流し込むと……盤面には、またしても『食材反応(光)ゼロ』の暗闇が広がった。

「おや、またハズレ(修練)階層ですの?」

エリスが首を傾げる。

「ああ。だが、青い矢印の動きが今までで一番イカれてるぞ」

トウヤの言う通り、環境ギミックを示す矢印は、盤面の上で【上・下・左・右】へと、目にも留まらぬ速さでカクカクとリズミカルに点滅と明滅を繰り返していた。

「なんだこの矢印? 一定のテンポで、四方向に飛び跳ねてるみたいだぞ」

ジンが双短剣の柄を握り直す。

「……テンポ、だと?」

トウヤの脳裏に、地球のゲームセンターに置かれていた『ある筐体』の記憶がフラッシュバックした。

「まさか……いや、サバゲーの次はアレかよ!?」

トウヤが嫌な予感を抱えながら大扉を押し開けると。

――ズン・チャッ! ズン・チャッ! ピロリロリンッ!!

強烈なユーロビートの電子音楽と共に、目に飛び込んできたのは、薄暗い空間の床一面に敷き詰められた『赤・青・黄・緑に発光する巨大なパネル』であった。

第74階層――『狂乱のネオン舞踏盤アーケード・リズムゲーム』。

「な、なんだここは!? 足元がチカチカ光って、やたらと陽気な音楽が鳴り響いているぞ!」

ガレスが大盾を構えて周囲を警戒する。

その時、彼らの足元にあるパネルに向かって、空間の奥から【光の矢印ノーツ】が猛スピードで流れてきた。

「お前ら! 足元の光るパネルを見ろ!!」

トウヤが、血相を変えて叫ぶ。

「ここはチキュウの遊技場に存在する【リズム・ゲーム】の階層だ! 音楽のテンポに合わせて流れてくる『矢印』の通りに、足元のパネルを正確なタイミングで踏み抜け! タイミングを外したり、間違ったパネルを踏めば、ペナルティの雷撃が落ちてくるぞ!!」

「な、なんだとォォォッ!?」

ドドドドドッ!!

説明もそこそこに、BGMのテンポが急加速し、無数の光の矢印が足元に殺到してきた。

「(音楽に合わせて、足場を正確に踏み込む……! これぞ究極の『歩法』と『タイミング』の修練!!)」

ジンが、持ち前の超絶スピードと反射神経を活かし、ブレイクダンスのようなステップで【上・右・下・左】と完璧なテンポでパネルを踏み抜いていく。

『PERFECT!!』という空中のネオン文字が弾ける。

「(ワルツのステップと同じですわね! 優雅に、かつ正確に!)」

エリスも、重剣を背負ったまま、社交ダンスで鍛えた流麗なステップで難なくリズムに乗る。

ガレス、ルミナ、マリアも、これまでの修練で培った体幹と動体視力により、初見ながらも「魔物の攻撃を見切る要領」で次々とパネルを踏み抜いていった。

異世界最強の美食家たちにとって、この程度のステップ修練など、もはや造作もないことであった。

――ただ一人、トウヤを除いて。

「ああっ! 違う、右! いや左!? うわああああっ!!」

ビリビリビリビリーーーッ!!

「ぎゃあぁぁぁぁぁっ!!」

「トウヤ!? 大丈夫か!?」

ジンが華麗なステップを踏みながら心配そうに振り返る。

「お、俺……前世から音楽の成績2で、リズム感ゼロなんだよぉぉっ!!」

トウヤは、手足が完全にバラバラの「盆踊り」のようなステップを刻みながら、絶望的な顔で叫んだ。

前世のゲームセンターでも、恥ずかしくて一度も手を出せなかったダンスゲーム。それを異世界の迷宮の底で、命がけ(雷撃付き)でやらされる羽目になるとは。

「(トウヤ様! 左、右、同時ですわ!!)」

「(無理無理無理!! 足がもつれるぅぅぅッ!!)」

チキュウの知識を持つ本人が、チキュウのギミックに最も苦しめられ、黒焦げになりながら踊り狂うというシュールな地獄。

第74階層は、トウヤにとって迷宮探索史上、最も過酷で屈辱的な修練階層となったのであった。

【閑話:配達部隊の地獄の合同合宿】

トウヤが大迷宮の底でリズム感の無さを露呈し、雷撃に焼かれていた頃。

地上のアルカディア王国・王城裏手の広大な修練場では、異世界全土の暗部スパイたちが集結し、とんでもない熱気に包まれていた。

「――皆の者、聞け!!」

朝礼台の上に立つサイラスとファルコンが、眼下に並ぶ【3000人の合同配達部隊】に向かって声を張り上げた。

彼らの前には、アルカディアのスパイ、地底魔国の暗部、そして和国ミズホのシノビたちが、一糸乱れぬ隊列を組んでいる。

「先日、トウヤ殿とケンタ殿から、大迷宮第72階層および73階層の『環境データ(ギミック)』が共有された!」

サイラスが、一枚の羊皮紙(設計図)を掲げる。

「第72階層は【サバイバル・ゲーム】! 飛び交うペイント弾を一切被弾せずに立ち回る、究極の回避訓練場! そして第73階層は【フィットネス・ジム】! 己の筋肉を極限まで苛め抜く、無限負荷の修練施設である!!」

その言葉に、3000人の暗部たちが「おおおおっ……!」とどよめいた。

ファルコンが、ニヤリと凶悪な笑みを浮かべる。

「我々『深淵の配達部隊』の至上命題は何か! それは、トウヤ殿の作る神話級の極上飯スープやハンバーガーを、いかなる死地を越えてでも【一滴もこぼさず、完璧な温度と形状で地上へデリバリーする】ことだ!!」

「「「絶対死守!! 出前至上主義!!」」」

「ならば! これほどの修練場を利用しない手はない!! これより我々合同部隊は、数個大隊に分かれ、大迷宮の72階層と73階層へ赴き、【究極のデリバリー合同合宿】を敢行する!!」

「「「ウオォォォォォォォォッッ!!!!」」」

こうして、世界最強の武力(と食欲)を持つ暗殺者たちによる、迷宮のギミックを完全に無視した「出前のための狂気の合宿」が幕を開けた。

***

【第72階層:CQBフィールド(サバゲー会場)にて】

「左からペイント弾幕、来ます!!」

「怯むな!! 【出前箱(ウー〇ー・バッグ)】を死守しろ!!」

ミズホのシノビたちが、背中に巨大な四角い保温バッグ(中身は水の入ったコップ)を背負いながら、タクティカル・オークたちの猛烈なペイント弾の雨を、壁走りや空中殺法でスレスレで回避していく。

「甘いぞミズホのシノビども!!」

魔国の暗部が、影から影へと転移しながら彼らを追い抜く。

「もしその箱の中に、トウヤ殿の『特製カツサンド』が入っていたらどうする!? ペイント弾の着弾の衝撃(振動)で、カイト様の極上マヨネーズがパンからズレてしまうだろうが!!」

「な、なんだと……ッ!? 完璧な美しさを保ってこその出前……! 忍法・無振動絶対回避!!」

彼らは、ペイント弾を自らの体に当てる(自分がヒット判定になる)ことすら許さず、ただ背中の箱を守るためだけに、数ミリ単位の超絶ステップで弾幕をすり抜けるという、サバゲーのルールを根底から覆す「完全回避ノーダメージクリア」を競い合っていた。

***

【第73階層:フィットネス・ジムにて】

一方、筋肉の神殿では。

「ふんぬぅぅぅぅッ!! 1、2、3……!!」

アルカディアの超人スパイたちが、『ランニングマシン』の上を時速数十キロという猛スピードで走りながら、両手に持った【ラーメンのどんぶり(並々と水が入っている)】を微動だにさせず、完璧な水平を保ち続けていた。

「おい貴様! どんぶりの水面が1ミリ波立ったぞ!!」

サイラスが、鬼のような形相で怒鳴り散らす。

「もしそれがトウヤ殿の『黄金スッポン鍋』だったらどうするつもりだ!! 極上の出汁を一滴でも無駄にすれば、万死に値するぞ!!」

「も、申し訳ありませぬ!! 走りながらのサスペンション(膝のクッション)が甘かったです!!」

別のエリアでは、ベンチプレスで限界重量を上げる魔族の男の胸の上に、熱々のコーヒー(の入ったカップ)が置かれていた。

「胸筋の収縮時にも、コーヒーの液面を揺らすな! どんな体勢でも、料理の水平を保つのが超一流の配達員だ!!」

「(……あの人たち、狂ってるよ)」

拠点で新装備の開発をしていた第五の転生者ケンタは、モニター越しにその地獄の合宿風景を見て、恐怖に顔を引きつらせていた。

「俺の愛するサバゲーと、筋トレのマシンが……完全に『出前のおかもち(箱)をいかに揺らさずに運ぶか』っていう、意味不明な修行に使われてる……」

トウヤが編み出した「地球の知識」の階層は。

今や、絶対同盟の誇る3000人の暗殺者たちによって、「宇宙最強のウー〇ー配達員」を育成するための究極の教習所へと姿を変えていた。

「よし! この合宿を乗り越えれば、我々は『スープを一滴もこぼさずに大気圏を突破できる』ほどの配達力を得るぞ!!」

「全ては、極上飯を最速で食すために!!」

食欲という名の狂気は、世界の軍事力(暗部)の方向性を完全にバグらせながら、今日も大迷宮の底で凄まじい熱量を生み出し続けているのであった。


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