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白鳳の天使は恋を自覚しない ー完璧美少女が俺の聖域を侵略中ー  作者: 霞灯里
第1章 白鳳の天使

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第7話 俺なんてどうせミジンコ以下だ

天使を再び怒らせてしまったその夜、俺は布団の中で何度も寝返りを打ちながら、ガタガタ震えながら悶々と苦しんでた。


覗くわ怒らすわ、何や俺ェ!二回目やぞ!

何でこんなに女子を怒らせられるんや、俺ェ!!


目を閉じても、あの時の天宮さんの怒りを湛えた瞳が浮かんでは消え、消えてはまた浮かび、まるで走馬灯みたいに何度も再生されるものだから、眠気どころか心拍数ばかりが上がっていく。


天宮さん、めちゃくちゃ怒ってたよな……。


しかも日記帳を見てしまった時よりも明らかに激怒してた………危険な領域に達していた。思い出すだけでぶるぶると体が粟立つ。


でも、性癖教えてって言われてたんだしぃ……マジどうすればよかったんや……。


エリシアたんの話をするまでは、すごくいい感じだった。もしかしたら「許されるぅ?」と淡い期待が胸の奥で膨らみかけてた。激怒したのはエリシアたんの話をしてからだ。あれ、まずたん???


女心なんてこの陰キャ兼ボッチの俺が分かるはずもねえぇ!うおーん!


情けない言い訳を心の中で並べても、現実は変わらない。枕に顔を押しつけながら悶え、「分っかんねえ……」と何度もイジイジ声に出してしまう始末。断罪が終わったのかどうかも分からんし、バッドエンドが終わったのかも分っかんねえ。


何ひとつ明確ではないまま、天使な天宮さんを激怒させた事が重くのしかかる。とにかく誠意をもって謝るしかない。


……あ、あと、何だか彼女が普通の女の子ではないことは、よぉく分かりました……。




結局、二日連続でほとんど眠れないまま朝を迎えふらふらの状態で登校した俺は、教室の扉を開けた瞬間、思わず息を呑んだ。


そこにはいつものように、朝の光を受けてより清楚で静謐な空気を纏う天宮さんが座っていて、何事もなかったかのように教科書を開いている。昨日のあの怒りは幻だったのかと錯覚するほど可愛らしく整った横顔は、やはり天使だ。


……そして、俺の罪悪感を何倍にも膨らませる。


当然ながら、秘密を覗き、地雷を踏み抜き、怒らせた病原菌である俺が、もう盗み見なんてできない。そもそもバレてるし。できる限り気配を消して自席に座り、窓の外を眺める。罪人は謝罪の機会を待つしかないのだ。


俺なんてどうせミジンコ以下だ。いやミジンコに失礼か、あいつらはちゃんと生態系の役に立っている。


意味不明な自己卑下まで始める始末で、睡眠不足も相まって思考はぐちゃぐちゃだった。




授業が始まり、板書の音が淡々と教室に響く中、俺は必死に睡魔と戦いながら、なるべく天宮さんを見ないように意識をして、窓から外を見て気を紛らせてるようにした。


すると、不意に天宮さんがこちらをチラっと振り返った。ほんの一瞬、瞳が合う。


えっ!?……何!?


すぐに彼女は前を向いたものの、その短い接触だけで胸がドキッと跳ね、眠気が跡形もなく消え去った。


めちゃくちゃ可愛かった……!一瞬で眠気吹き飛んだわ!胸がトキメいて堪らんわ!!


突然の天使の魅了にデレデレしちゃう俺、完全に目が覚める。脳内で何度も再生しながら外を見ていた。




一限目が終わり、二限目三限目と授業は続く中、天使の異常が強くなっていった。


授業を聞きながら外を見て気を紛らわせてる俺を、彼女は何度も何度も振り返って見つめてきた。最初は控えめにチラチラッと様子を窺うように。やがてそれはどんどん露骨になって、じぃーっと見つめる時間が長くなってきた。


な、何!?俺、どうすればいいの!!?


授業中にもかかわらず斜め後ろの俺を真っ直ぐ見据えるその瞳に、周囲の生徒まで異常に気付きだした。俺は意味も分からぬまま戸惑うのみ。それどころか天使の可愛らしさに顔を赤くし、だらしなく頬を緩めてしまってた。


エリシアたんがぼくをチラチラ見てりゅ!めっちゃカワイイ!!


思考が完全に溶けていく。だって、胸が高鳴ってしまうのだからどうしようもない。デレデレになっていると、彼女は今度はあからさまに頬をぷくーっと膨らませ、プンプンしてるような仕草を始めた。


なぁに!?可愛すぎるんですがアアア!!?


心の中で絶叫していると、しまいには頬をぷくーっと膨らませ、プンプンしてるような仕草をして、机をぺちぺちと叩き始めた。その様子があまりに可愛らしく、俺は彼女への罪を忘れて思考がトロトロに溶けていた。




昼休みのチャイムが鳴った時、この天国からようやく解放されると安堵しかけたが、次の瞬間にはその希望が粉々に砕け散った。天宮さんが、プクーと膨れた頬のまま俺の席へと歩み寄ってきたからだ。


あ、断罪や。


陽の光を浴びた天使の姿は近づくほどに美しさを増し、思考が奪われる。


「雪城くん?」

「な、なぁに?どうかしたのぉ??」


情けない声で返事をすると、彼女は俺の机に手をつき、前屈みになって顔を覗き込んできた。


ウッホオォオオ!!!


近い!近いってェ!!その距離の近さに頭が真っ白になる。


さらりと流れるサラサラの髪、真正面から射抜くヘーゼルの大きな瞳、そして視界の端にふと入る………ぼ、ボタン取れてりゅ!!?


胸元の大きく(はだ)けた制服の隙間から、大きなおっぱいの谷間、そして僅かに見える白いレース。制服の襟元からほんのわずかに覗くブラの縁が、柔らかな曲線を縁取り、見ちゃアカンと思っても無理な位置にある!


罪悪感でいっぱいだったはずの胸が、下心の早鐘に打たれて別の意味で死にそうになる。


「どうして、いつものように私を見ないの?」

「えっ?」

「今日、私のこと見てないでしょう?」


その問いは予想外すぎて、間抜けな声しか出なかった。昨日の事で怒られると身構えてたのに、彼女の不満はそこだった。理解が追いつかない。ジト目で見られながら更に顔を近づけられると、甘い香りが鼻をくすぐり、ふにゃぁりと顔が崩れながら弁明する俺。


「い、いやそれは、昨日、俺が悪いことして、その……!」

「ちゃんと私を見て」


囁くように甘く言われて、心臓が跳ねる。俺を惑わすおっぱいの谷間とレースの白がわざとかと思うほど目に入る位置にあり、視線を逸らそうとするほど逆にそこへと吸い寄せられてしまう。


「ちゃんと私を見て、分かったぁ?」

「はっ、はぁい!ずっと見てまぁす!!」


ガン見してる俺に少し甘えを含ませた声で重ねてきて、その響きが頭に反芻する。俺は反射的に頷くしかなかった。


「私だけを、ちゃんと見てねっ」


その言葉と同時に彼女はほんのり頬を染めながら、恥じらうように胸元を抑えながら身を引いて、小走りで教室を出て行った。




………………。


神様、何の御褒美でしょうか?俺は何か世の役に立ちましたか?




その後の授業では、俺はもう遠慮無しにギンギンに彼女を見つめ続けた。彼女は時折ピクンと体を震わせてた。そしてチラッと振り返ると、満足したように嬉しそうに微笑んでくれた。


アアアァー尊いィ!!!


その笑みは「ちゃんと見てるねっ」と伝えてくれてるようで、俺は彼女から目を逸らすことはできなかった。


罪が許されたわけじゃない。それでも彼女の可愛さにデレデレになる自分の単純さが絡まり合い、その日の教室はやけに甘い空気に満ちていた。

この物語を読んで頂き有難うございます。

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