第20話 夏休みの予定
活動報告にキャラクターヴィジュアルイメージを掲載し始めました。最近ハマってる流行りのAI生成イラストです。作風コロコロ変わると思います。都度更新予定です、もしよければご覧下さい。
勢いのまま想いをぶつけた告白をした夜、毎日アスファンへとログインしていた愛芽莉たんはインしなかった。いつもは夜中に嬉しそうに鳴るスマホも沈黙し続けている。
俺は久々の夜の孤独の寂しさと不安に、苛まれていた。
「ああ、やっちまったなぁ……」
女の子を、好きな人を泣かせちゃった。俺の告白をどう思ったか分からない。返事を聞けるような、そんな状況でも勇気もなかった。
幸せな日々が終わっちゃうかもしれないと思うと、寂しすぎて胸にぽっかり風穴が空いた気分になる。でも、想いを伝えずにはいられなかった。
そしてあの現場を思い出す。
『こ、これって、奏多くん……興奮してるってことだよね……?』
そう呟きながら、テントを張った俺の息子を凝視し、そっと手を伸ばす愛芽莉たんの姿を――
「あ”あ”ああああーーーーー!!!」
愛芽莉たんが大事すぎて尊すぎて、肉欲のまま抱けるはずなんてない。俺は矜持を貫いた。
だがしかし!
ヤれたよねぇ!?
あれはどう考えても!間違いなくエッチする直前だった!!
凡人には巡って来る筈もない、天使との千載一遇の奇跡を俺は自ら手放したのだ!
俺は正しいことをしたんです。でも、逃した魚は余りにも大きすぎたんです。
そんな事実もまた、俺の精神を貪り始めていた。俺の中で真心と邪心が言い争いをしている。
ああ、俺は何て愚かで醜いのだ……。
枕を抱えベッドの中で転げ回り悶々と哲学してたら、連日の睡眠不足と疲労により流石に体は限界だったようで、意識を失い朝まで眠り込んでいた。
◇
そして朝――。
久々に爆睡できて体の調子は良かった、けれど気分は晴れない。心は重たいままだ。
どんな顔で愛芽莉たんに接すればいいのか分かんない。泣かせちゃったし、嫌われたかも。彼女が今、どんな想いを抱いてるか、さっぱり分かんない。
愛芽莉たんの様子を伺って、機会をみて謝ろう。……いや、ずっとそればっかりじゃんか俺。
「はぁ……」
大きく溜息をつきながら、自宅の扉を開いた。
「へっ?」
玄関を開けると、家の前に見たことのある黒い光沢の高級車が止まってた。昨日俺を家まで送ってくれた、天宮家の送迎車だ。そして直ぐに後ろのドアが静かに開いて、天使な美少女がこの地に舞い降りた。
「奏多く~ん!」
「あ、愛芽莉たん!?」
頬を赤く染めて控えめに手を振りながら、朝日を浴びて輝く天使が駆けて来る。朝っぱらから不意打ちの可愛らしさに悶絶して、思わず顔が崩れてしまう。
見惚れてると愛芽莉たんは目前まで近寄って来て、伏し目がちの恥ずかしそうな表情で、もじもじしながら澄んだ声色で話しかけてきた。
「おはよっ、もう体は大丈夫……?」
「お、お、おはよう! うん、沢山寝たからもう大丈夫だよ!」
「良かったぁ! じゃあ一緒に学校、行こっ?」
「えっ!?……う、うん!」
一緒に登校って、それっていいの!?
まさかの同伴登校に頭が追い付かず戸惑いながら、流れる手つきで愛芽莉たんに背中を押されながら車に乗り込んだ。運転席には昨日と同じ美人なメイドさんがいて、淡々と挨拶してきた。
「奏多様、おはようございます。私は美咲と言います」
「は、はい……おはようございます、よろしくお願いします……」
「学校へ向かいますね」
発進した車の振動を感じながらふと気付いた。俺は自宅の住所を天使に知られてしまったんだと。居場所を知られた事に、何となく危険を感じてしまった。
チラっと隣に座る愛芽莉たんを見ると、近くでもじもじしながら上目遣いで俺を見てる。気づけば俺のシャツをそっと摘んでた。
なっ、なあに!?これ、どんな感情!!?
そんな彼女にドギマギしちゃって、逃れるように話題を振った。
「そ、そういえば、今日アスファンの夏休みアップデートの内容が告知されるね!」
「あっ、うん、そういえばそうだったね」
「奏多君は、夏休み何か予定はあるの?」
「な、何も無いよ」
その瞬間、天使は惚気るように「えへへっ」と微笑んだ。ほんと、どういう感情か分かんない!
「じゃあ、じゃあ、毎日一緒にゲームしようねっ?」
「……!う、うん!」
俺の夏休みが決定した瞬間だった。でも天使は更に続けて、ふわふわとろんとした表情で呟いた。
「でもね、でもね……」
「う、うん?」
「テーマパークにも、行きたぁい! 観覧車に一緒に乗ろっ♡」
「えっ?ま、まさか俺と?俺なんかと!?」
「一人で乗せるの? ひどいー」
「ああ、いや!! 一緒に乗りますぅ!!」
頬をプクーと膨らませる彼女に焦っちゃう。
「あと、水族館も行きたぁい! イルカのショーが観たいの♡」
「行くよ!」
「あと、映画とショッピングも♡」
「お、俺で良けりゃ、愛芽莉たんの行きたい所、何時でもどこでも行くよ!」
「わあぁあい! じゃあね、それとね、それからね……」
「……!?」
ど、どうしたんだ愛芽莉たん……!?
子供のように大はしゃぎしながら、甘えきったふわふわの音色で次々とデートのお誘いをしてくる。そして堂々と彼女の手が俺の太ももに添えられ、指先が小さく円を描くようにそこを擦り始めた。
昨日の続きとばかりに、ぐいぐいと来る愛芽莉たんに焦り始める俺。
アカン、天使がより強く力を増しておる……!!
俺はこれまでの経験から、天使の人格を三つに分類してた。
①学校での、清楚で静謐などこか別世界に住んでそうな神聖な天使。
②怒った際の、狂ったような怒気を放つ憤怒の天使。
③普段俺と一緒に居る時の甘えんぼでちょっとエッチな妹天使。
この③妹天使がパワーアップして、五割増しの甘えんぼちゃんになってる感じがする!
ピロリン♪
もじもじしながらじっくりと見つめられ、興奮気味にじりじりと寄ってくる彼女に焦りまくってると、救いの手のようにスマホが鳴った。スマホの画面を見ると、予想通りやっぱりアスファンのアップデート内容の告知だ。
「おっ、愛芽莉たん、アスファンのアップデート情報が来たよ!」
「ほんとだぁ、どんな内容だろう?」
俺達はお互いスマホを開いてアスファンのアップデート情報を見た。見てしまった。
そしてピシリと凍り付いた。
色々と追加されるものがあるが、その中の一つの項目から目を離せなくなって、固まってしまった。
ま、マジで……!? 今来るぅ……!? まさかこんな時に、来ちゃうのぉ……!?
間近にいる天使をゆっくりとチラ見すると、瞳をキラキラ輝かせながら同じように固まってた。
まさか、こんな時に! アスファンから追撃食らうとは思わねえわ!!
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