第21話 アスラブしようぜ!!
活動報告にキャラクターヴィジュアルイメージを掲載し始めました。最近ハマってる流行りのAI生成イラストです。作風コロコロ変わると思います。都度更新予定です、もしよければご覧下さい。
車の中でアスファン公式の夏休みアップデート情報を見た俺は、隣に座る愛芽莉たんと一緒に固まっていた。
スマホの画面に表示された文字を、何度も見返してしまう。見間違いじゃないかと思ってスクロールして、また戻って、それでもやっぱり同じ文言がそこにあった。
ま、マジで……!?今来るぅ……!?
一年前から要望が殺到していて、運営からいずれ実装すると明言されていた新システム。多くのプレイヤーが待ち焦がれたそれが、まさかの今、このタイミングで実装されることになった。こんな時に投下されるなんて思わんわ。
それは、ラヴァーズシステム……!
これはゲーム内プレイヤーの男女が、恋人になれるシステムなのだ。
【この夏、アスラブしようぜ!!】
その告知のキャッチコピーがとデカデカ書かれてた。おいこら、煽り性能が高すぎるだろ運営。
恋人になった二人がパーティを組むと能力値にボーナスが付いたり、専用スキルが解放されたりと戦闘面でも恩恵があるらしい。だがそれは常識内、問題はそこじゃない。
これでもかと恋人らしいラブラブ要素がてんこもりなのだ!
二人だけの家具を置いたりのハウジングが出来るラブラブな家造りに、クエストにダンジョン、デートスポットに二人乗りのラブラブな乗り物、ペアルックの可愛い衣装。そして恋人にだけできるラブラブモーション等。
ラブラブモーションとは恋人だけにできる、手を握ったりキッスや抱擁やボイスなど、恋人のようにイチャイチャできる機能だ。そんな痛いくらい直球ど真ん中のラブラブが沢山追加されるらしい。
「うわぁ……」
思わず声が漏れる。
ラブラブファンタジー、こた……!!
かつての俺は「そんなんアップデート来られても相手いねーよ!」で、友人の孤児たちと一緒にやさぐれて嗤ってた。
だが、今は違う。
身の程知らずもいいとこだが、心当たりのある女性がいるのだ……アスファンをいつも一緒に遊んでいる、天使が……!
そしてそんなご本人様が、隣に座っていてスマホの画面をキラキラの瞳で凝視しながら固まってた。
こ、これ、愛芽利たん、どういう反応するの……?
興味あり?興味なし?どっち……?
俺はどうすりゃええの……?
何とも言えない無言の空気が車内に満ちる。それに耐えきれなくなった俺は、口を開いて乾いた声で無理やり笑顔を作って話しかけた。
「あ、あはは、こんな機能が追加されるみたいだよ」
「……みたい、だね」
天使は照れたように長い髪を耳元に何度も掛ける仕草を繰り返していた。その指先が少し震えているようにも見える。
「奏多君、ラヴァーズシステムだって」
「う、うん」
彼女は顔をほんのり赤くし蕩けた表情で俺を上目遣いで見て、もじもじし始めた。
「ゲームの中で……ラブラブしたりするのかな……?」
「み、みたいだよ?」
「ど、どういう感じに、なるんだろうね……っ」
……アカン。
アカンこれぇ、絶対に興味津々な方や!
「一緒にお家作ったり、料理出来たりするんだって!凄く楽しそう!」
「うんうん」
「恋人召喚でいつでも相手を呼び出せるみたい!ラブラブだね!」
「えっ、マジで?便利すぎない?」
愛芽莉たんは少しづつテンションが上がってキャッキャし始めた。その言葉の端々に「アスラブしたい!」が含まれてる気がした。
でも俺は、そんな彼女を捌きながらどうしたもんかと冷や汗垂らしながら悩んでる。だって昨日告白しちゃったばかりだぞ?どんな状況に自分が居るのかさっぱり分かってないし、彼女が告白をどう思ってるかも分からない。
告白が無かったとしても、そもそもゲームとは言え白鳳の天使に「アスラブしようぜ!」なんて恐れ多く、おいそれと言えるわけないわ。
愛芽莉たんがピンク色のハートを振りまき、俺は黒い陰のオーラを立ち昇らせてると、気付けば車は学校に到着していた。
「奏多様、くれぐれもお嬢様の事を、宜しくお願いします」
「はい!」
「くれぐれもお嬢様の事を、本当に宜しくお願いします」
「は、はい……」
車から降りた際、使用人の美咲さんに強く思い語調で二度言われた。……なんだか、美咲さんはちょっと疲れてそうな気がする。
◇
「はい、あ〜ん♡」
「ピィピィ♡」
昨日の事は何もなかったようにいつものように誘われて、お昼休みには天使の餌付けが始まった。多少は慣れ始めた俺は満面の笑みを浮かべ蕩けながら成すがままだ。
「ねぇねぇ、奏多君」
「ん〜♡」
「アスラブ、楽しみだね?どんな感じなんだろうね?」
「ふんぐっ!」
やっぱり話は続くよねぇ!?
「ゲームの中だけど、こ、恋人みたいな関係になるんじゃないかな?」
「へ、へぇ〜、素敵ねっ、面白そう!」
愛芽莉たんは顔を染めながら、サラサラの髪を指でくるくる巻いて、目を泳がせながらモジモジし始めた。完全にアスラブを意識してる様子だ。
こ、これぇ!?もう、行けって事だよな!言って欲しいんだよな!?
いや、ゲームだとしてもあり得ねえって!現実を見ろ!
だってよ!なんかめちゃくちゃ興味ありそうだぞ!
仮にそうだとしても、相手が俺の訳ねーだろ!自惚れんな!
またまた俺の脳内で激論が交わされる中、引くほど愛芽莉たんが次々とその内心を語り始めて止まんない。
「あのペアルックの衣装、可愛いよね〜?」
「お姫様抱っこまであるんだって〜!ちょっと憧れる!されたい!」
「風船が持ち上げる二人乗りのブランコとか、ファンタジーよね!」
「あのピンクでハートの多い部屋は、ちょっと照れちゃうけどハウジングしたいな!」
「恋人専用のクエストにダンジョンも出来るみたいだよ!楽しそうだよね!」
一つ一つ言うたびに、様子を伺うようにちらっと俺を見る愛芽莉たん。
あぁ、これはきっと、やらんといかんヤツや……。
俺自身の意思云々の前に、誰が見ても愛芽莉たんは興味津々だ。
チラチラと期待を込めるような瞳で、可愛い挙動で俺を見る天使。もうね、距離が近過ぎて可愛すぎるの。惚れちゃうの、ダメなの、クラクラする。
只でさえカンストした攻撃力に、頬を染めデレデレというバフまでつき、至近距離でそれを真正面に食らい、しかも天使の餌付けもセットという、尊死間際まで追い込まれる俺。
でも、追い込まれることで逆に吹っ切れた。
俺は正面の愛芽莉たんを真剣な表情で見つめた。すると、彼女は一瞬びくっと体が揺れる。
本当にいいのね?俺言っちゃうよ?
「愛芽莉たん、俺の恋人になって下さい」
「……!!」
その瞬間、彼女の顔がボォンと一気に真っ赤になった。目がぐるぐる回ってフラフラし始める。なお、俺もこの状況にフラフラしてる。
暫くしてから、彼女は小さく息を吸って恥ずかしそうに呟いた。
「はい、喜んで……!」
「……!!!」
すごく嬉しそうに、天使が微笑んだ。
今度は俺がボォンと熱を吐いて顔が爆発した。
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◆あとがき
霞灯里です。第1章が完結し夏休み突入する所になりますが、キリが良い所ですので奏多と愛芽莉の物語は筆を置かせて頂きます。再開は未定ですが、皆様の評価を参考に決めたいと思います。今後とも宜しくお願いします!
この物語を読んで頂き有難うございます。
もし宜しければ、ブックマーク・評価を頂けると励みになり有難いです。
また、評価いただいた方、有難うございました!
今後ともよろしくお願いします。




