第16話 秘密の日課
活動報告にキャラクターヴィジュアルイメージを掲載し始めました。最近ハマってる流行りのAI生成イラストです。作風コロコロ変わると思います。都度更新予定です、もしよければご覧下さい。
「おやすみ~また明日~」
「おやすみ~」
そんな軽いやり取りを最後に、ボイスチャットが切れ、アスファンのログアウト画面が静かに表示された。そんな深夜一時前。
さっきまで賑やかだった部屋が急に静かになり、ヘッドセットを外した瞬間、さっきまで一緒に遊んでいた時間が夢みたいに感じてしまう。
そして、秘めたる日課に取り掛かる。俺はゆっくりとパソコンのブラウザを開き、とあるWEBサイトを表示した。そこは小説投稿サイト。
俺が今見ているページは――ティーンズラブ作家、“甘美りめあ”先生の作品ページ。
「…………」
画面を見つめながら、あの日記帳を拾った日を思い出す。そして俺は日記帳の中身を見てしまった。俺が見たことは――愛芽莉たんは知っている。
だけど多分、俺が彼女の裏の顔である、”甘美りめあ”まで辿り着いてるとは気づいてないと思う。
そして俺は気づいていることを言えずにいる。言わない方が彼女は幸せだ……なんて、心の中で言い訳しながら。
でも真面目な話、エッチなWEB小説を書いてる事を俺が知ってると気付いたら――小説を書くことを、作家を辞めちゃうだろう。
自分が書いてるエッチな小説を読まれてたなんて知ったら、普通に考えて絶対恥ずかしいに決まってるもんね?
「うん、無理だろ。言えねーわ」
思わず独り言が漏れた。
一日二話更新することも珍しくなかった甘美りめあ先生のWEB小説は、日記帳を拾ったあの日から、ぴたりと更新が止まっている。
毎日アスファンで遊んでいるし、そもそも書いてる時間なんて無いとは思うけど。
でも――もし。
もし、俺が甘美りめあに辿り着いたことに気付いて、小説を書くことを、作家を、辞めたのだとしたら?
俺は作家活動を辞めてほしくない、どうにかして説得したい。ファンとしてもこれからも続けてほしい……いやまあ、その、内容は色々と刺激が強いんだけど。
だから俺は、この甘美りめあ先生の作品ページを、毎日確認している。
逆に更新があれば、俺に知られたことに気づいてないてなく、作家活動は今後も継続するってことだ。これまで通り、書き続けてくれるはず。ひとまず安心が出来る。
そう考えて、毎日確認している。
……決して。
決してエッチな小説を見返すためじゃないのだ。断じて違う。
これは――天使を守るための正義の行動なのだ。
うん、よし。完璧な理屈。
………。
「……いやごめん嘘です」
俺の男心が叫んでいる、見たいと!!!
だって仕方ないだろ!このエッチな小説を、あの白凰の天使が書いてると思うと!ついさっきまで一緒にゲームとボイチャしていた可愛い声の美少女が書いていると思うと!
どうしようもないほど、堪らなく興奮するのだ!!
妙な背徳感とドキドキが混ざって、脳が変な方向に活性化するんだよ!!!
そんなことを考えながら罪深きミジンコが彼女のえっちなWEB小説を読んでいた、その時だ。画面の右上に小さな通知が表示された。
【最新話が更新されました】
「…………えっ?」
数秒、思考が止まった。
「………!?な、なんだと……!?」
こ、更新……!?
思わず椅子から身を乗り出す。落ち着け俺よ………深く深呼吸をする。
更新したと言うことは、やっぱり彼女は俺に知られたことを気づいていないということ。
黙ってる事への罪悪感はあるけど、何の気遅れなく彼女はこれからもティーンズラブな作家を続けていけるだろう。
「ほ、本当に、良かった……!」
安堵の息が漏れた。少なくとも彼女の創作意欲は止まっていない。
……良かった、うん。
……うん。
俺の視線は、画面の中央に表示されているリンクから離れない。
【最新話】
…………。
超見たぁい、見てもいいよねぇ?
ここまで来たらファンとしての義務だし責任では?
うん、そうだよね!
読者として応援しないとね!!
「よし」
俺は小さく咳払いをし、とりあえず手を合わせる。罪深きミジンコは何かに祈りを捧げたあと、震える手で最新話をクリックした。
――――彼は部屋に来るなり私を抱き、戸惑う私の服をそのままほどいてゆく。
抗う間もなく、重ねていたものがひとつ、またひとつと解かれ、私の身体を覆っていた境界が静かに消えていった。
服の下まで透かすように鋭く見つめる視線に、じんわりと私は熱を帯びていく。求められた身体が歓喜に震えて、力無く抵抗するふりをするだけ。
気づけば、最後の一枚までほどかれてた。じっくりと射貫く視線がどこまでも余すことなく捉えてくる。羞恥に身を隠そうとしても、彼はそれを許さない。
彼の指先が這い回り、私の身体を蹂躙し始めた。
「ほら……ここだろう?」
あぁっ………!
「少し……右上の、ここ。お前はここが好きだよな?」
や、やぁっ………!
無慈悲に私を弄る指先が、右上の敏感なそこを執拗に責め立てる。とめどなく零れた熱が内腿を伝い垂れてゆく。
彼はそれを拭い舐めながら、可笑しそうに耳元で囁いた。
「ほら、そこを開いて?」
胸が高鳴る。恥じらいながらも彼を迎え入れるように、身体は素直に従っちゃう。
そしてゆっくりと……彼が深く潜り込んできて……私の奥に……右上のところに……甘く触れてきた……。
「あがぁああ!!?」
み、み、右上……!?開いて……!?これぇ、まさかぁぁ!!?
アスファンを初めてプレイした日の、全裸事件の事!?完全に別の甘いシーンに変換されてるんですけど!?お、俺、そんなえっちな意味で言ってねええ!!
あのとき天使は、こんなこと考えてたの!!?
脳内で変な妄想が膨らんでいく。さっきまでボイチャしていた楽しそうに笑っていた声が、それが全部この文章と結びついてしまい、俺の想像力が暴走していく。
身体の奥から妙な熱が込み上げてきて、俺は慌てて椅子を蹴るように立ち上がった。
「ムリムリムリィ!!!」
もうダメや!あかん!!!
俺は叫ぶ息子を押さえながら、勢いよくベッドへダイブした。心臓がバクバクと音を立てている。
甘美りめあ先生ェ、攻撃力が高すぎまぁす!!!
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