人外の生贄参
ヨシワラ遊郭、金と性の欲望渦巻く、この歓楽街に、塚原アオハルと黒木貞治は訪れていた。
人はさっきいた場所より、遥かに多い。
「人が沢山いるなぁ…」
アオハルはポツリと呟くと、黒木はそれを呆れた風に
「当たり前だ、塚原君、ここは、欲望渦巻く、ヨシワラだぞ、女だけじゃない、男もここで体一つで商売しているんだ」
「女も男もですか…それは凄いですね、それは同性もですか?」
「まあ、色んな嗜好が世の中にはあるんだよ」
「ワシはこの刀で生きてきた身、正直、別の世界に来たみたいで、見てるだけで面白かデス」
「塚原君、ここに俺が案内したのはいいが…一体何を考えてるんだ、もしかして…君はこの歓楽街の住人の誰かが、俺の不祥事を密告したと踏んでいると思っていないかい?」
「えっ、違うんですか、うーん、多分なんですけど、ここって、黒木さんぐらいの方が遊びに来てるなら、他のバクフの人間も来ていても不自然じゃなか」
アオハルは顎に手をやり、考えているようだが、黒木はその様子に、頭を抱え込む。
「そりゃ、そうかも知れないがね、俺の不祥事を密告するなら、ソイツはたんまり報酬を貰ってここからトンズラしているよ」
「いや、それは多分ないと思うとデス」
「何故だ?」
「人間、生活習慣あると思うんです、この華やか町に生活してて、地方や地元に戻っても、そう簡単に今までの生活を辞めれるとは、ちょっと考えずらかと」
「ソイツが他人から強烈な恨みを持たれる事であってもか?」
アオハルの顔を至近距離で覗き込む、黒木には怨念の気が漂っている。
「仮にそのぐらいの配慮なり思考があるならば、バクフの偉い方の不祥事をあの正義に密告なんてせんバイ」
「……分かったよ、探してみよう」
「あと、黒木さん、これを頭に頬かぶりするタイ」
アオハルは懐からを豆絞りの柄の布を取り出し、黒木の頭に被せた。
もっと早く、渡してくれよと愚痴を言われ苦笑するアオハルだが、黒木は彼には何か特別の思いを感じ、それ以上、言わなかった。
そして、アオハルは黒木が遊んだという、遊郭に着くと、丁度、先に派手に遊んだ団体の客と鉢合わせになり、その客がアオハルの顔を見て、唖然とした。
「ちょっと君、顔を見せてくれないか?」
それにアオハルが腰を低くして、顔を俯きに
「いやぁ、ご立派な旦那様達、ワシみたいな田舎侍の相手なんて、時間の無駄ですタイ、まだまだ、遊び足りないと違いますか?」
相手の仲間内からも、酒が入ってるんだろう、もう一軒行くぞーっと、こんな奴に構うなと、声が上がる。
「そ、そうだな、俺の勘違いだな、まさか、二年前、あの正義公に反逆しに行った伝説の鬼殺しな訳ないか…」
その集団はそのまま、別の店に向かったようだ。
さっきの男の言葉に黒木は、聞き覚えがあった。
二年前、正義の城内に侵入し正義に手痛い傷を負わせた、伝説の剣豪、まさか…
「いやー、まいったバイ、何か勘違いされたようですタイ」
アオハルの様子を見て、まさかな…と思い、それ以上詮索をするのはやめた。
最底辺の僕です。
いかがでしょうか、気にいった方は是非、ポイントをください。




