塚原アオハルの過去
塚原アオハルは、団子屋に通っていた。
「美味い、美味いバイ、お姉さんおかわりバイ!!」
「あいよ、お客様が団子を追加です!」
アオハルは団子屋の席に座り、団子を貪るように食べ、あっと言う間に食べ終わると追加の注文をしている。
その様子を黒木と紅葉が見ている。
「凄い食欲だな…」
「昔からですよ、あんたそんなに食べて飽きないわねぇ、ここの団子確かに美味しいけど、そんなに食べれないわ」
「昔からか…塚原君と紅葉君は何処で知り合ったんだい?」
「ああ…それは、十年前にコイツの道場で、最初は、偵察だったのよ、当時の慶信公の命令でね、正義が執着する程の者とはどんな人間なのかって、でね、正義に荒らされた道場で…コイツが泣いている所にわたしが来たわけです」
「悔しかったバイ、道場の仲間達はみんな殺された、姉上も正義の手中に堕ちるし、ワシ一人になってしもうた」
「当時のあんたじゃ、勝てないのは当たり前よ、道場の人達も正義に抵抗するにしても、唯一の希望である、あんたを矢面に立たせたくなかったんだろうね」
紅葉がぶっきらぼうに言うと、アオハルは…
「そんな事なか…ワシは怖かった…間近に見た正義の前に、ワシは何も考えられなかった…そんなワシを、あのバカ達はワシを庇って…」
アオハルは当時の事を思い出したのか…嗚咽する。
その様子を見た、紅葉が
「ちょっとちょっと、今泣いても、みんな帰って来ないよ、今は霞姫様を奪還する事に集中、集中」
「紅葉君、いいじゃないか…人間、泣きたい時は泣かないと、壊れるから…」
黒木が紅葉に言うと
「まあ、そうかもね」
と言う。
塚原アオハルは、亡き師である塚原一刀斎の言葉を思い出していた。
「感情の発露は悪い事ではない、だが…するべき時とするべき場所は選べ」
確かに、今はするべき時やするべき場所ではないと、アオハルは自分を戒める。
自分の頬を引っ叩き、無理矢理にでも涙をはらった。




