霞姫、奪還作戦
黒木は改めて決意した、アオハルに協力して正義を倒すと、だが、その前にしなければいけない事がある。
「塚原君、霞姫様をあの城から奪還するに、あたって、しなければいけない事がある、門番だ」
「それよ、前は、強行突破で行ったバッテン、すぐに応援呼ばれて、十二の角とも一戦交えることになったんよ、我ながら、向こう見ずというか…だけど、あちらの戦力もある程度分かったタイ」
「うむ、流石に無謀過ぎるな、アオハル君のやり方は…そこで私に妙案があるんだが、聞いてくれないか? 」
紀数が、提案したのは城に定期的に献上する荷物に、紛れて潜入するという、古典的なやり方だ。
城に潜入するのは、アオハル、黒木、紅葉の三人に、城に荷物を献上する為に、紀数が先導して奉公人を二十人程、連れて行くという。
荷物の中身は、金銀、焼物、ゴ服を贈ると言う。
これも、紀数が公儀御用商人より上の特級御用商人と言う、立場であったからだ。
バクフには、普通は各地のハンと呼ばれるダイミョウ達が、献上品を贈る為、商人の立場の者がバクフに直接、献上品を贈る事は出来ないという。
「アオハル君、黒木殿、紅葉君、君達には、ゴ服の荷物に紛れて潜入してもらう、奉公人が荷物を城の中にに運ぶから、人がいない時を見計らって、荷物から出て、霞姫様を奪還するんだ」
「紀数さん、帰りはどうするんですか? また、荷物に紛れて帰るとかは、時間的に無理だと思うんですが…」
紅葉が言う事は妥当だ、荷物を運んだら、紀数達は油を売る前に、さっさと城を出なければいけない。
霞姫を連れて城を出るには、無理がある。
そこで、紀数は、献残屋を使うと言う。
「献残屋とは何ですか? 」
アオハルが疑問を投げつけると、紀数が答える。
献上品や贈答品を買い取り、市場に転売する商人と言う。
然し、バクフである城に入れるのは、紀数が特例の為、そうではない、献残屋が入れる余地はあるのかと、アオハルが言うと、それに紀数が言った。
「その献残屋も私が請け負うよ、最初は私が入り、後から番頭が献残屋として城に入るのさ、辰の時(七時〜九時)に私が入るから、番頭には午の時に(十一時〜十三時)献残屋として入ってもらう、君達には、その間に霞姫様を見つけ、奪還するんだ」
「紀数の旦那さん、実はもう一人、連れ出したい人がいるんだ…」
「誰だい」
「名を菊と言う、その…ある遊女の妹でな、歳は十、髪が真っ白の子で三尺六寸四分ぐらいの子だそうだ、笑うと可愛いらしいが…多分、大奥にいると思う」
「それは、わたしが請け負いましょう、女であるわたしの方が探しやすいでしょう…」
「おお、そうだな、紅葉殿には…大奥に行って、って霞姫様も同じ所にいるのではないか、これは…俺や塚原君は、いない方が…」
「貴様らは、おめでたいな…」
鯰が、また、会話に割ってくる。
「いいか…城内は、十二の角の一人、猿の呪術師が作った結界が張られている、城内に不審者がいれば、たちまちに結界が侵入者の報せを城内中に鳴らすぞ」
「そうなのか!?」
「そうだ、鬼殺しよ、お前は前に侵入者した時は、強行突破だったから、さほど、気にしていなかっただろうが、今回のような企みを正義様だって想定済みよ、残念だったな…アッハハハハ」
屋形船の中には、鯰の嘲り笑う声がこだまする。




