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女忍者紅葉

アオハルは刀の切っ先を鯰(シルルス)の拳士の喉元に向けて、下ろした。

だが…血は吹き出さなかった。

刀の切っ先は、喉を外し、真横に屋形船の屋根の地面に、刺さっていた。


「何故、殺さない?」


「きさんは、正義の城の内情を知っとうやろ、ワシが、強襲した二年前と内情も変わってる筈バイ…だけんさ、きさんには、それを吐いてもらう」


その様子を見ていた、毒蛇(ウィーペラ)の二刀使いが、二人に襲ってくる。

二人に目掛けて、二振りのシャムシールを投げてくる。


だが、キィィン…っと鈍い音共に、二本のシャムシールは、落とされた。


落としたのは、誰かとアオハルは、注視するが、それは見慣れていた、姿だ。


「紅葉か!」


軽装の柿色の袴に身を包み、黒髪を後ろに結んだ女だ。

手には小太刀を携え、毒蛇(ウィーペラ)のシャムシールを落としたのは、その得物だろう…小太刀を構えたまま、アオハルから紅葉と呼ばれた女は


「アオハル!その男をこれで縛って」


透き通った声だった。

懐から縄の束を投げ、アオハルは受け取り、鯰(シルルス)の拳士の腕を後ろにし、縄で縛った。


「ほお…黒鬼に仲間がいるとは、某も調査不足ですね、然し、貴方、美しいですね…正義様の配下になりませんよね?」


毒蛇(ウィーペラ)は嘗め回すように、紅葉を見ると、勧誘をすると紅葉は


「そんなの、受けないよ、貴方も分かってて言ってるでしょう」


紅葉は、素っ気なく言うと、くくくっと毒蛇(ウィーペラ)は、笑うと、アオハル達を一瞥すると


「鯰(シルルス)よ、貴方は、最早、正義様の配下としては、利用価値はありません、次、会う時は、黒鬼共に、始末されることでしょう…黒鬼よ、貴方の首は、某が頂く…では、これでお開きにします、皆さん、さようなら」


「逃がすと思う? 貴方は、ここで花のように散っていくのよ」


紅葉は手裏剣を投擲し、毒蛇(ウィーペラ)を仕留めようとした。


だが、無数に投げた手裏剣を毒蛇(ウィーペラ)は、難なく受け止めると


「ほお…トリカブトの毒を塗った手裏剣ですか…いいですね、その殺気とても良いですね、けど…」


毒蛇(ウィーペラ)は、煙幕玉を地面に叩きつけ、その場から、消え去った。


煙幕の煙が消えると、その場には静寂が戻った。


「アオハル!!」


「紅葉、何でここに?」


「霞姫様を助けるんでしょう、あんたったら…いつも一人で突っ走るんだから…あと、これを…」


紅葉が手渡したのは、手紙だ。

それを受け取り、中身を見るや、否や、アオハルの顔は、正に鬼のような憤怒の情を顔に出す。


「紅葉…」


「霞姫様の伝書鳩よ、あんたも知っているでしょ、わたしたち、御庭番が飼っている、わたしたちの仲間が、大奥に侵入し、彼女に贈った…十一羽の内のコの十番よ」


「今から、真正面からでも…正義を斬らねば…」


「落ち着けよ…アオハル、あんたが強いのは、わたしも知っている、けど、今から行っても二年前と同じ結果になるだけさ」


「糞が…ワシがもっと強ければ…」


「あんた、一人じゃないよ、反正義の慶信(よしのぶ)公のわたし達、御庭番も協力しているじゃない」


「正義は、反体制には敏感ジャ、ワシは、出来うる限り、少人数で事を進めてたかったが…」


「あんたは、不器用ね…」


アオハルは、鯰(シルルス)を抱え、屋形船の中へ、戻ると今後の方針を決める為、黒木と紀数、紅葉と会議する事にした。

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