4話 独房の中で
「フィーラ‼︎ 返事をしろ‼︎」
フィーラ? フィーラって誰のことだろう?
「フィーラ‼︎ お前のことだよ‼︎ お前の‼︎」
声のバカデカい看守は私を指さして怒鳴ってきた。
「私のことですか? 私の名前はケフですよ。フィーラではありません‼︎」
「いいや、お前は今日からフィーラだ‼︎ 我々の神『ケフ ミヤコ』を冒涜したものが神と同じ名であるケフを名乗らせるわけにはいかない‼︎ だからお前の名前は今日からフィーラだ‼︎」
あぁ、なるほどここの世界では私の姿は知られていないけど、名前は知れ渡っているんだ。だから神を冒涜した者が神と同じ名前だったから改名させられたんだ。
ていうか神と同じ名前だから改名されたけど、結局中身は私。意味ないよね。
でも私、”けふ” っていう名前気に入ってるんだよね。だから勝手に名前を変えられたのだけは許せない……
これは最神様とお父様、お母様が一生懸命考えてくれた大切な、大切な名前なのに、これだけは譲れない‼︎
だからあんまりこういうことはしたくなかったけど、ちょっと思考に介入させてね。
そうして指を鳴らすと、看守がポカンとしたと思ったら
「ケフ‼︎ 早く返事をしないか‼︎」
「はい」
「よし、ではこれが今日の飯だ。これは神からの情けの品だ。お前のような奴にもここの世界の神は情けをかけてくれる。感謝して食べるように」
そういうと看守は檻の前にご飯をおいて階段を上がっていった。
あー、ここまでくると私が神だと証明してないのも悪いかもしれないけど、人々の勘違いも面白くなってきた。
だってあれだよ。ご飯食べられるのは神の情けのためだっていうけど、それ私だし、食べるために自分自身に感謝を伝えないといけないしで、色々面白くなってきた。
ああ、そうだここから出れたらまたいつか、この姿のままこの世界の色んなとこに行ってみて、どんな反応されるか確かめてみよう。
そして私はどんな反応をされそうか、考えながらご飯を食べた。
ちなみにご飯は一口食べて、だいぶ不味かったのでそこは神の力でめちゃくちゃ美味しくしてから食べた。
ところでこれは後から分かったことなのだけど、あの時周りの人のご飯まで魔法の影響があったらしくて、この日の食事は『めちゃくちゃ美味しい派』と『普段より不味い派』に分かれた。
ご飯を食べ終わると、消灯になった。
廊下の灯りは消え、牢屋の中は薄暗く、湿った石の匂いが鼻をつく。寝床のわらの感触も固い。
私は別に寝なくても生きていけるのだが、起きていても仕方がないので寝ることにした。
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