表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
56/64

プロローグ:もうなくしたくない

ぼくらは一つずつ覚えていく。もう、なくさないように。

「コキア、顔見せて」


 そう言われたとき、顔を見せたくなかった。

 いつだって、大丈夫と言ってきたのだから。今度も大丈夫だと思ってほしかったから。


 目から落ちていくものはなんなんだろう。邪魔だった。青藍せいらんが見えない。

 ふっと困ったように笑う声が聞こえる。困ったなあ、という時の青藍の笑い方。よく知ってる。


 行かないで、と言っても無駄なのはよく理解していた。それが施設ここの決まり事だから。決まり事から外れて生きていくことはできないから。

 でも、目からこぼれていくものを止めることが、深緋こきあにはできなかった。


「じゃあな」


 頭をぐしゃっと撫でた手は、最初に会った時と比べたらずいぶん大きくなっていて、ゴツゴツしていた。青藍は勝手に、先に大きくなっていた。同じ背丈だったのに。同じ、班だったのに。

 腹が立ってムカムカした。そして何より寂しかった。


    *


 朝の部屋は空気が冷たい。

 泣いた後の肩の傷だけが熱い。


 そう言えば、あの時もそうだったっけ。だからもうやめようと思ってたはずなのに、と思い出す。

 きちんと閉めたはずの思い出が、いくつも混ざって出てきて、もう一度止まったはずの涙が出てきた。


 やっぱり寂しい。ひとりぼっちは、好きじゃない。

 こういう気持ちが自分の中にあるなんて知らなかった。

 もう、なくしたくない。

ここまで読んでくださって、ありがとうございます。

続きも読んでみたいと思っていただけましたら、ブックマークや評価で応援していただけるとうれしいです。


毎日お昼12時過ぎに最新話を更新しています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ