↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
2/3

2 steel beam, esophagus

お久しぶりです。亜屍御羅です。

一ヶ月くらい間が空いてしまいほんっっっっっっっっっっっっっとうに申し訳ございません。本業がいきなり多忙になりまして……

また不定期になっていくとは思いますが、温かい目で見守っていただけると幸いです。

 一日目 / 第三魔発 / ソウ

 

 黒っぽい雲に覆われた空の下、コンクリート造りの高い建物——第三魔発がそびえ立っていた。

 爆発の影響か、あらゆるところがひび割れ変形し、蔦や苔が蔓延っているような有様だが、不思議と威圧感と神々しさを帯びていた。

 身長の何倍もある金属製の扉を、レオードの部下が開いた。

 ギィ、と金属が軋むような嫌な音と、鼻につくカビの匂いがする。

 恐る恐る、いや、大きな生物の口に入るように足を踏み入れた。


 外からではわからなかったが、内部は窓が全くないらしい。あるのは、ライトの光と、ひび割れた天井や出入り口から差し込む日の光だけ。

 こんなところにずっといたら昼夜感覚がなくなってしまいそうだ。

 しばらく進んでいくと、少し広い場所に出た。相変わらず朽ち果ててはいるが、真ん中に大きなバンが置いてある。

「ここが、第三魔発の中で唯一安全が確認されている場所であり、これからの活動の拠点となる場所だ。お前たちには、あのバンの中で生活してもらう。」

 バンの中に入ると、意外と広く、足を曲げずとも寝られるくらいのスペースはあるようだ。

 ……まあ、他人の近くで寝るというのは少し嫌だが……

 しかし、人がいた雰囲気が残っている。もしかしたら直属部隊が使っていたのかもしれない。

 フリゼンの話では、直属部隊は全滅したと言っていた。国から任務を任されるほど訓練された兵隊が全滅するなんて、一体何があったのだろう。

 

 中を観察していると、外からレオードの呼ぶ声が聞こえた。

 散らばっていた七人が中央に集まっていく。

「一通り見て分かったと思うが、この第三魔発は爆発でこのような有様だ。しかも、爆発の原因も直属部隊が全滅した理由もまだ解明できていない。……つまり、私たちも何が起こるのか全く予想がつかないのだ。」

 なるほどな。だから捨て駒を使うことになったのか。

 しかし、そうなるとレオードたちも捨て駒ということになるが……まぁ、深入りはやめておこう。

「とりあえずは自己紹介をしろ。これから共に生活する仲間なのだからな。」

 レオードがそう告げると、レオードとフリゼンを除く五人はお互いの顔を見合わせた。

 ……自己紹介と言われても、小学生でもないしな……

「……何をぐずぐずしている。お前、お前から時計回りに自己紹介しろ。」

「えー?俺ぇ?」

 レオードの指の先にいたのは、電車内で質問をしたあの四本腕の男。

「えーっと、ウィルマー・ファルターでーす。気軽にウィルって呼んでね。一応画家……というか芸術家なんですけどぉ……」

 ふわふわした口調に、にこやかな笑顔。……全く何を考えているのか読めない。

「俺なりの美……死体に宿る美しさをを追求したら捕まっちゃいましたぁ。」

 ……こいつはやばい。少なくとも俺よりはやばい。自分の美的センスのために人を殺したのか……?

「……そうか。まあいい、次。」

 次に指名されたのは、白衣を纏い、瓶底眼鏡を掛けた科学者らしき男。こいつも四本腕だ。

「兄貴変な流れ作るなよ……オーリス・ファルター。こいつの弟。」

 オーリスは不機嫌そうに横にいるウィルを指差した。兄弟揃って受刑とは……

「人が死ぬ時のロマン、そして苦痛に耐える肉体の儚さ美しさ……それを研究してたらクソ警察に捕まりました。」

 チッと、短く舌打ちをしてレオードの方を見ている。こいつら兄弟揃ってやばいやつだな。マッドサイエンティストか……

「はぁ……次。」

「……あたし?」

 その次に指名されたのは、一つ目の女。黒い髪をツインテールに結んでいて、フリフリとした服を着ている。これが俗にいう『地雷系』というものだろうか。

「……アイローゼ・ルべウス。大学生。」

 大学生か……おそらくこの中で最年少だろう。

「……彼ピが浮気してて、刺しちゃった。でもアイツが悪いの。あたしの気持ち全然わかってくれないから……」

 怒りで刺し殺すとは、なかなか獰猛だな……最年少の割に恐ろしい。

「……次。」

 また次に指名されたのは、修道服のような格好をしている女。いかにも信心深そうだ。

「……私はジュリーナ・マリアン。我が神の下へ、迷える子羊たちを導くのが仕事です。」

 ああ、我が神よ。と、うっとりした声で祈り続けている。

「ですが……何故でしょう。誰も彼も、神の救済を受け入れてくれないのです。神を受け入れるだけで、身も心も楽になるというのに……」

 表向きはただの信者だが、何かがおかしい。スカートの裾についた血痕が物語っている。

「……次。お前で最後だ。」

 レオードは俺を指差した。そんな大勢の前で言うことでもないが……

「ええと、ソウ……ソウェル・ガーナード。殺し屋……だ。普通にターゲット殺したら捕まった。」

 周りがぷっと吹き出す声が聞こえた。……何か面白いことでも言ったか……?

「そっかっ……っふ……ソウ君は普通に殺したんだねっ?」

 今にも腹を抱えて大笑いしそうなウィルが聞いてきた。

「……面白いね、君。」

「別に何も面白くない。」

「いいや、面白いね。俺が保証する。」

 なんなんだこいつは……

 

 そんな意味もない話をしていると、ジュリーナの顔が強張った。

「……! みなさん、今すぐここから出てください。」

「何を馬鹿なことを言っている。そんな嘘で逃げられると思うのか?」

 レオードは一瞬辺りを警戒するような仕草をしたが、すぐにジュリーナを睨みつけた。

「違います、本当です、警察官さん。出口に向かってください。お願いします……」

 必死にレオードに訴え続けているが、どうかしたのだろうか。

「……貴様、いい加減に……!」

 

 ————ガシャーン————

 轟音が響いて、出入り口のドアが閉まった。

 ……おびき寄せた獲物を、飲み込むように。

いかがでしたでしょうか。

ちなみに、タイトルは「鋼の梁、食道」という意味です。

それではまた、三話でお会いしましょう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。