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死にゲーに転生した僕、自分だけでも助かろうとしたらボスキャラたちに好かれた………いや、何で?  作者: オク
第二章

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第十三話 迷子のお知らせ

 人ごみから若干逸れた脇道、結局何も買えず手ぶらでその辺の段差に座り込んだ僕は、溜息しかでなかった。まさかこの年になって迷子になるなんて。いやまぁ、昔から方向音痴だったし、道覚えたりするの苦手だったし。


 中学一年生の時、中学校が分からずにいたら同じ制服を着た集団が歩いているのを見つけて、後ろからコッソリ着いていったら、その人達も道が分からずに、全員揃って遅刻しかけたのはいい思い出………ハァ。


 現実逃避するのは止めよう、どうにか皆と合流しないと。王都に住んでから数年たったのに、迷子になったなんて口が裂けても言えた事じゃないけど。背に腹は代えられない。この状況に陥った時、日本でも異世界でもやることはただ一つ―――!


「交番(騎士詰所)、行こ」


 お巡りさん(騎士)に頼るしかない!二十歳近い年齢とか関係ない、困った時は国家権力に縋るぞ僕は。幸いなことに交番の場所はある程度知ってるし、そもそもこの王都にはあちこちにある。


 適当に歩いても見つかるでしょ、うんうん………どういう訳か僕は嫌われてるけど、困った時は助け合いだよね。そうやって自分に言い聞かせながら角を曲がると―――。


「ふべッ!?」


「あいたっ!?」


 蛙を捻り潰したような苦悶の声が上がる………いや、蛙を捻り潰した声って何?怖いよ。どうやら誰かとぶつかってしまったらしい。曲がり角でぶつかるなんて、コレが恋愛物だったら運命の出会いとかだよ。まぁそんなこと起きようがないけど。


「ごめんなさい、立てますか」


 頭を抑えている女性に手を差し伸ばす。彼女の頭が僕の喉元に突き刺さるという奇妙な現象が起きてしまい、あの不細工な声が出てきたのか。どんな確率だよ、ホント。


「すみません、前見てなくて………ごめんなさい」


「あぁいえ、お気になさらず―――ッ」


 儚げな声、紫がかった銀髪、碧眼、如何にも駆け出し冒険者らしい風体。その姿を見て、僕の体固まった。


(何で―――)


 他人の空似の可能性もあるのか。いやそんな訳ない、この容姿をしているキャラはゲームの中で出てこなかった。


「………あの、お名前を聞いてもいいでしょうか?」


 余りの慌て具合に、前提の話とか全てすっ飛ばして名前を聞いてしまう。突然の失礼な問答にも気を悪くせず、不思議そうな顔をした少女は、おずおずと名前を告げてくる。


「アインス・ディエスと申します」


 空を仰ぐ。期待していた言葉ではあった。だが、同時にそうでなければと思っていた。「何かしてしまっただろうか」と戸惑った少女、アインスに弁明することも忘れて心の中で叫ぶ。


(どうして、ここにいるんだッ!―――主人公!?)


『Salvation of God』の主人公は男か女、好きな性別を選んでプレイすることができる。髪型、目の色、輪郭、自由自在にカスタマイズできるが彼女の姿は初期モデル、そのお陰もあって直ぐに気づくことができた。『Salvation of God』の世界に主人公が登場するのは何もおかしなことではない、当然のことだ。僕もいずれ来る主人公と、どんな関係を作るのか悩んでいた。


 だが―――主人公が来るのは、後一年後だ。時間が一年早く前倒しされている、何故?どうして?いや、答えは決まっている『バタフライエフェクト』だ。僕の存在が、原作を壊した。少しではない、ボスキャラの殆どを闇堕ちさせずに救ったのだ。ゲームの内容は大きく変更されている。とはいえ、この展開は予想外だ。


(マズい、どうしたらいい!?)


 主人公と何を話せば?どう行動するのが最善?何でこんな辺鄙な場所に?何より主人公の裏側にいるだろう《《アイツ》》は―――!


「「ッ!?」」


 必死に思考を巡らせ考えを纏めようとしていた時、突如爆発音が聞こえた。花火とかじゃない、建物から黒煙が立ち上るのがはっきり見えた。それも一つだけではい。次々と爆音が連鎖し、王都から悲鳴の声が聞こえてきた。あれほどの賑わいを見せていた祭りは、一瞬で惨劇の宴へと変貌した。


「な、何が起こって………?」


 呆然としたアインスの声を聴きながら、必死に過去の記憶を呼び起こす。この時に活発だった犯罪組織は?一番有効だったのは『レイブン』だ、だが既に潰した。なら後は?どこの組織だ、一体どこの?


「高名な【英傑】様も、これは予想外でしたかな?」


「「ッ!?」」


 背後から聞こえてきた老人の声に、アインスと二人して振り返る。出てきたのは、白装束に身を包んだ一団だった。黒子と似たような姿、だが色は白い………白子(?)か。いや、そんなことはどうでもいい。大事なのは、ここにコイツ等がいることで―――。


「『白夜』」


「………流石と言うべきか、一目で我等の存在を見抜くとは。やはり油断にならないですな」


 犯罪組織、『白夜』。ゲームでも最大規模に近い犯罪組織だ。だが、コイツ等が出てくるのはもっと後だった筈、何でこのタイミングで?そもそも、何で僕のこと知ってるの………あぁ、いや当たり前かもしれない。


 僕達、というより僕以外の【帝王】の皆が暴れ回ったせいで、【帝王】の名は裏社会では知らない方が少ない、ブラックリストに入っているん………アレ、これヤバい?仲間不在、装備不揃い、孤立無援の状態………い、いやまだだ。向こうの狙いは僕じゃないかもしれない。そうっ!この隣にいる主人公とかっ!?


「【英傑】の首を取れば、我等の名も上がるというもの。恨みはありませんが、お覚悟を」


 ヘールプっ!!誰かっー、助けてくださーい!!

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