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死にゲーに転生した僕、自分だけでも助かろうとしたらボスキャラたちに好かれた………いや、何で?  作者: オク
第二章

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第十二話 時空祭

「………ここ数日、散々な目に遭った」


「ハァ」


 クランマスター室にて、重々しい表情でロゼに昨夜の出来事を話した。にもかかわらず、ロゼの反応はどこか吹く風だった。


「なんだいその反応は?」


「いやだって………ルナさんとイチャイチャしてただけでは?」


「違うっ!?」


 どうしてそうなるのだろうか?僕は死の危険()を感じていたのだぞ。『月光の邸』から帰った後も、僕の後ろを付いて回ったし、お風呂一緒に入ろうとするし、同じベットで寝ようとするし………本当に大変だった。


 なにかあの依頼で感じ取ったのか、ここ最近は毎日鍛錬に勤しんでいる。精を出すのはいいことだが、「今日の御褒美」といって、頭を撫でろと抗議してくるのは勘弁してもらいたい。いや、いいんだけどね?ただ変な噂が広まりそうで怖い。僕は年下の女の子には確かに弱いが、決してロリコンなどではないのだ。


「………ろりこん」


「なんで僕の考えを当てられるのかな!?」


「顔にそう書いていました………ところで、ろりこんってどんな意味なんですか?」


「知らなくていいことがあるのさ、世の中には」


「何故に倒置法?」


 益体もないくだらない話をしていると、外が騒がしくなっているのを感じた。地上から離れてる上の階層にいる尚且つ、窓を閉めているのにここまで声が聞こえるとは………祭りの盛り上がり具合は凄まじいみたいだ。


「『時空祭』もそろそろ佳境ですね」


 さっきから僕の考えを見通したかのように話題を振ってくる………さては貴様、エスパーだな?


「いえ、違います」


「もう君、心読めてるよね?」


 知らない間に副クランマスターが覚妖怪になっていた件。この娘、恐ろしい子っ!


「オーマさんもお祭り楽しまれては?」


「祭りかー………」


 祭り事態に不満はない、寧ろこの死にゲー世界においては数少ない癒しなのだ。ただ………『時空祭』、時の神を祀り上げるのはなー………。


「フェリスさんと遊ばれるのでは?彼女、ずっと待っていますよ」


「…………………あっ」






 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――






「違うんだっ!忘れてたわけじゃないんだよ!?」


「ふーんだ」


 僕は今、ご機嫌斜めな狼っ子に平謝りしてた。見るからに「私、不機嫌です」といった顔をした少女に屋台で買った食べ物をアレコレ与えるが、一向にこっちを向かずにそっぽを向く。後ろを振り返り助けを求めるが、皆静観するだけだ。


「悪いがボス、こればっかりは無理だ。あぁなった以上、暫くの間続く」


「子供は頑固ですからなぁ」


「………何で私もいるの?」


 腕を組み嘆息するフェルス、顎髭に手を当ててのんびり答えるカネサダ、日傘を差して若干気分悪そうにしているルナ。戦いでは頼りになる彼等も子供の扱いには慣れていないみたいだ。


「というか、フェルスは兎も角として何でカネサダとルナも?」


「フェリス嬢に誘われまして、若い衆が門番を変わるというので今日一日は休暇にしようと」


「………同じく。毎日鍛錬大変そうだから、今日くらいは休めばって」


 フェリス………僕以上に皆の事を見てくれてるよ。仕事漬けのカネサダと引きこもりがちなルナを連れ出してくれてる。本来それはクランマスターである僕の仕事で………あれ、これ僕子供以上になんもしてないのでは?


 い、いや最近は『レイブン』倒したり依頼受けたり………皆に任せっきりだった、僕はなんもしてないや。ひょっとしなくても、僕ってば無能?(知ってた)


「フェリス、ありがとうね。わざわざ皆に声かけてくれて。それなのにごめん、直ぐに遊べなくて」


「………平気だもん、オーマお兄ちゃんが忙しいのは知ってるし」


 いや、『月光の邸』から帰った後はわりかし暇でした………全然遊ぼうと思ったら遊べました。ごめんなさい。心の中で頭を下げていると、フェルスが歩いてきてフェリスの頭に手を乗せる。


「機嫌は直ったか?フェリス」


「………うん。ごめんなさい、オーマお兄ちゃん」


「へっ?」


 何故フェリスが謝るの?目を丸くしていたら、俯きがちにフェリスが露呈した。


「オーマお兄ちゃんは忙しい中、私と遊ぶ時間を作ってくれたのに………勝手に忘れられたって思い込んで、いじけていてごめんなさい」


「よく謝れたな、偉いぞフェリス」


 違うっ、違うんだっ!?フェリスちゃんよ、それは違うぞ!?君の考えが合ってるんだ、僕は普通に忘れてたんだ!謝る必要なんてないんだよ!?だからそんな泣きそうな顔しないでくれ!!でもこのまとまりそうな雰囲気の中、口答えするのは違う気がするし………誰かー、助けてくれー!


 ………結局、真実を言い出せないまま皆でお祭りを回ることになりました………いや、本当にごめんなさい。





 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――






「………お祭りって、こんなに騒がしいの?」


 げんなりした顔でルナが呟く。普段部屋に引きこもって人ごみに行かない彼女には、この数の人間は精神的にくるようだ。吸血鬼にとっては、人間は若干トラウマだろうし………大丈夫かな。


 僕も流石に人酔いしそうだ。田舎から都会に上京した時、あまりの人の多さに目が回った時のことを思い出した。田舎はちょっと外出ても歩いている人なんて精々四、五人程度で、二桁を超えることはなかった。だが、都会は余裕で超えてくる。十何人とか余裕でいる。


 そしてこの王都はそれ以上の人がいる。見渡す限りの人、人、人。人の波どころの話ではない。アホかと言いたくなるほどの人間に囲まれてしまい、動きにくい。


「普段の王都でもここまでの人数はいないでしょうなぁ………見覚えのない風体の者もおりますし、外から来た者もいるかと」


「昨日まではここまではいなかった………最終日の影響もあるだろうよ」


「ご、ごめんなさい。私が誘うの遅かった………」


「フェリスは悪くない。うん悪くない」


 フェリスが悪いなら僕とかどうしようもないじゃないか………今更だけど。


「仕方がない、どっか適当に休める場所探そう。そこで屋台から買ったものでも食べるよしようか」


「分かったボス、適当に探してくる」


 言うが否や、フェルスは高く跳び家の屋根を駆け回り始める。周りの人皆びっくりしてるじゃないか。悪目立ちはできれば避けたいんだけど………今更か。暫くするとフェルスは空いている場所を見つけてくれた。なんで槍を持っているかは聞かないでおこう、うん。


 フェルスが見つけてくれたのは、ちょっとした路地のスペースだった。五人で座っても余裕がありそうな場所だ。なんで血痕らしきものがあるかは聞かないでおこう、うん。


「では適当に食事を見繕ってきます、御屋形様方はお休みください」


 カネサダが軽快な足取りで建物の上を………うん、もうとやかくは言わないぞ。


「にしてもルナ、よく来たね。こういうの苦手でしょ?」


 お祭りなどのイベントごとでも、家の中でのんびりしたいタイプのルナが来るとは思わなかった。珍しいとばかりに聞くと、ルナはくたびれた顔をしながら答えてくれた。


「………まぁ苦手だけど。フェリスちゃんに誘われたから」


「………ルナちゃん、来ない方が良かった?今もしんどそうだし」


「………しんどいのは太陽のせい。他の吸血鬼と比べたら平気だけど、吸血鬼にとっては忌み嫌う存在だから」


「ご、ごめんね。辛いのに付き合ってもらって………今からでも帰る?」


「………いや、フェリスちゃんと遊ぶのは嫌いじゃないから、このままでいい。だから、そんな顔しなくていい」


「うぅ~ありがとうルナちゃん、大好きっ!」


 これが百合ってやつですか?年が近い二人は仲がいい。夜行性のルナと遊ぶ機会は少ないが………美少女二人が抱き合う姿はふつくしいよ、まったく。フェリスと仲がいいこともあって、フェルスもルナへの当たりは優し目だ。


「嬉しそうだね、フェルス」


「そうか?」


「うん。口元笑ってるよ」


「………妹が、友人と呼べる存在ができた。一昔前までは考えられなかった」


 真剣味をおびた顔で、それでいて目元はどこか優し気で僕に向き合って頭を下げた。


「ありがとう、ボス。アンタのお陰で、俺達はこうして笑えられる」


「………礼を言われるほどの事はしてないよ、僕は」


 真正面から礼を言われると何だか恥ずかしくて、ついぶっきらぼう気味に答えてしまった。だというのに、フェルスは「分かっている」とばかりに笑みを見せるだけだった。


「………カネサダに任せっきりも悪いし、僕も適当に近場の屋台から買ってくるよ。フェルスは二人の様子見てあげて」


「あぁ、分かったぜボス」


 気恥ずかしさを誤魔化すように、僕は人ごみの中に消えていった―――。

























「迷った」


 数分後、僕は迷子になりました。

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