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死にゲーに転生した僕、自分だけでも助かろうとしたらボスキャラたちに好かれた………いや、何で?  作者: オク
第一章

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第十話 貴方は月の光

 オーマに保護された私は、冒険者ギルドの支部長と話したりした………オーマに対して凄い怒っていたことを覚えてる。「吸血鬼を保護するとは何事だ!」って。結局、オーマがギルドを説得して私は冒険者になって、オーマのクラン【皇帝エンペラー・ロード】預かりで、監視下に置かれた。


 そこから先は目まぐるしい日々だった。【帝王】で私は色々の事を経験させてもらった。冒険者の仕事は種類が豊富で、毎日忙しない日々を送っていった。魔獣討伐、ダンジョン探索、採取依頼………等々。


 【帝王】のクランメンバーとも色々な話をした。吸血鬼の私を恐れも蔑みもせずに、対等な関係で話してくれたことに、当初は困惑して目を丸くしていた。主な話はオーマのことばっかりで、皆オーマに助けられて、その恩を返そうと彼に従っているらしい………私と同じだ。


 オーマは一体何が目的で私を助けてくれたのだろう。魔人族である吸血鬼を。話によると、オーマは私が逃げているのを知っていたみたいだけど、どこでその情報を得たのだろうか?考えれば考える程、疑念は増すばかりだった。


 そんな疑問を抱きながら過ごしている時、悪夢を見た。人の集団に追い掛け回され、襲われる夢。実際に現実に起きたあの地獄を見ていた。慌てて起きると汗で体中が濡れていた………考えてみれば当然だ、あの地獄の数日間は今も私の身を蝕んでいる。夢の中の吸血鬼の皆が語りかけてくる。


『人間に復讐しろ』


『私達の仇を取って』


 本来であればそうするべきなのかもしれない、だけど私は人間に襲われ、人間に助けられた。その矛盾が私の決断に迷いを生じさせている。どうしたらいいのかと、悩んでいると扉がノックされた。


「ルナ、入るよ?」


 入って来たのはオーマだ………悪夢を見ていた影響か、私の顔が青ざめている事に気づき、慌てて近づいてきた。街の中では恐れ知らずの【英傑】なんて言われているのに、ちょっと体調が悪そうな顔をしているだけで慌ただしくなるとは………彼も普通の人間なのだと知り、少しおかしかった。


 ………人間は確かに信用できないかもしれない、だけどオーマは………この世界で唯一信用できる人間だ。見返りもなく魔人族を助けては、こうして気にかけてくれる。彼ならきっと………私は話した、悪夢を見たと。人間に復讐しろと吸血鬼の皆に言われたことを。偽りなく素直に。オーマは真剣に話を聞いて、申し訳なさそうに謝罪した。


「辛かったよね………ごめん。ルナにとって仇の人間ばっかりいる場所に連れてきて」


「………私は、良かったって思う。人間にも悪人とオーマ達みたいな良い人がいるって知れた。オーマに救われたから、私はこうして生きている」


 これは紛れもない本音だ。あの場でオーマが助けてくれなかったら、私は死んでいた。いや、ひょっとしたら奴隷として酷い扱いを受けていたかもしれない。感謝こそすれ、恨む通りなんてない。


「………だけど」


 私にはもう家族がいない。血で繋がれた存在がいない。他の皆は少なからずいるというのに。帰る場所が、家が、私にはない。そのことが不安でしかない。だからあんな夢を見たのかもしれない。安息の地を求めて無意識の内に。俯き、細々と告げた言葉にオーマは口を開け閉めしていた。


「あー………えーっと………そのー………」


 何かを伝えようとしては、躊躇って言えないみたいだけど………口をパクパクしてなんだか金魚みたいだ。その姿が面白くて思わずクスっと笑っていると、私の腕を掴んで開き直ったかのように私の目を見据えて言った………真正面で見つめられて少しドキドキした。


「………僕が、ルナの家族になるから………その、だから………一人じゃない、よ?」


「………新手のプロポーズ?だとしたらもう少しセンスを磨いた方がいい」


「ちっ、ちがっ………!?そういう意味じゃなくてっ、ルナが一人じゃないよってことを伝えようとしてっ………」


 必死に弁明して慌てているオーマ、初めて会った時はあんなに得体の知れないような、どこかカッコイイ、謎めいた雰囲気だったのに。こうして見るとただの恥ずかしがりやな不器用な青年だ。それがなんだかおもしろおかしくって、暫くオーマをいじり倒した。


「ハァ………ハァ………」


 息も絶え絶えなオーマに比べて、私は終始笑顔だった。悪夢のことなどどうでも良くなっていた。だって私を励まそうと、そんなキャラじゃないのにくさい台詞を吐いたりする人が、私にはいるのだから。機嫌良さそうにオーマの胸に寄りかかって、上目遣い気味に言う。


「………じゃあ、これからよろしくね?オーマお兄ちゃん」


「………うん」


 甘えた感じで言ったら顔を赤くして、密着している私をどうしたらいいか分からず手をあわあわしていた。そういう時は抱きしめたらいいのに、女の子慣れしてないなぁ………しょうがないから私が相手してあげよう。うん、決して他意などない。兄が、クランマスターが女の子と碌に話せない童貞だと思われないためだ、決して甘えたりしたいとかじゃない、うん。


(だからこそ―――)


 私の前から勝手に居なくなったりすることなど、絶対に許さない。


 貴方オーマルナにとっての光で、希望なのだから。

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