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ミーナ覚醒1

 青い炎を纏った私は、自分の力の正体を知り、両手を見つめる。


「……そう。そういうことだったんだ」


「ミーナ・アリスト・ミストレーヴ……その姿は?」


 目を丸くしているクロノに目を向け、私は左胸に手を当てる。


「ミストレーヴ家の当主として、アルカディアの王であるクロノ・アルカディアを全力でお守りします。そして……」


 クロノに背を向け、戦場に視線を向けた私は両手に青い炎の剣を作り出し、力強く握りしめる。


「アルカディアに……平穏な日々を!!」


「ミストレーヴ……」


『ミーナ様ッ!!』「ミーナちゃんッ!!」


 シャフリ、ソフィア、サラス、シオン、ジークの5人が私の元に集う。


「その姿は……」


 全員が私の姿を見て、驚きの表情を浮かべ、ジークが思わず尋ねてしまう。全員の顔を見た私は、笑みを浮かべて言葉を返す。


「みんな……ありがとう。みんなのお陰で、私は私の使命を受け止めて、前に進むことができたよ」


「ミーナちゃんの……使命?」


「世界を平和に導き、人間と人外種の架け橋になり、希望となる……それが私の使命。そして、それを成し遂げるための私の力……」


 真剣な眼差しでジークが私の青い炎を見つめる。


「青い……炎。その炎がミーナ様の本当の力ですか?」


 力の説明を口にしようとした瞬間、左右から魔法が飛び交い始める。


「飛行魔導部隊!? いつの間にか囲まれていた!?」


 シャフリが左右に首を振り、慌て始める。


 ジークとソフィアが対処しようとしたが、私は「待って」と呟き、腕を横に伸ばす。伸ばした腕の先に、巨大な青い炎の盾を出現させ、飛んでくる魔法を受け止める。


『この盾は!?』


「私のイージス!?」


「ブレイズ・イージス。私とサラスの想いが籠った盾。そして……」


 青い炎を笛の形に変え、優しく息を吹きかけ、音色を響かせる。


「まさか……」


 私の行動に気づいたソフィアが思わず笑みを浮かべ、私は笛を象った炎を口から離し、その場から姿を消す。次に姿を現したのは右方向の飛行魔導部隊の背後だった。


「ブレイズ・フォルティッシモ」


 技を呟いた瞬間、飛行魔導部隊が青い炎に包まれ、叫び声を上げる。


「ヒィッ!!」

「いきなり炎がぁッ!!」

「あ、熱いッ!!」


「熱いわけないでしょ」


 私が呟いた瞬間、叫び声がパタリと止み、青い炎に包まれている飛行魔導部隊の額に灯っている橙色の炎が消える。


「俺たちは……一体何を?」

「リギル様の命令と言えど、同志に魔法を……」

「人を……殺そうとしていたのか?」


「戦意がなくなった? 一体どうしたの?」


 一瞬でみんなの元に戻り、私はシャフリの疑問に言葉を返した。


「私とソフィアの想いを込めて演奏したフォルティッシモで加速し、彼らを私の新しい剣、ブレイズ・ソードで斬った」


「え? 斬ったの!? でも……みんな無傷だよ?」


「これが私の力。私の青い炎はありとあらゆるものをリセットする力がある。今回は彼らの『躊躇い』と斬った傷口をリセットした」


「躊躇い……と、言いますと?」


 珍しく理解が追いつかないジークが私に尋ねてくる。


「彼らは兵士。兵士である以上、他人の命を奪うことになる。そして、初めは誰もが他人の命を奪うことに躊躇う。だけど、何度も奪うことによって、その躊躇いは徐々に無くなり、やがて命を奪うことに罪悪感を抱かなくなる。そんな彼らの躊躇う気持ちを元に戻したのよ」


「なるほど……命の重みを知って、他人に攻撃することができなくなったと」


「そういうこと。さて……一気に終わらせたいところだけど」


 片腕片足を失った母に目を向け、視線に気づいた母は顔を上げて私の姿を見る。


「ミーナ……ちゃん」


「酷くやられたわね。心配かけさせないでよ。あとは私に……いや、私たちに任せて、見守ってて」


 ダメージをリセットしたかったが、リギルの兵士たちの勢いが止まらず、クロノに母を頼んだ。


「クロノ様。母をよろしくお願いします」


「承知しました。ミーナ・アリスト・ミストレーヴ……武運を」


 母に肩を貸したクロノが王宮に退避し、私はジークたちと共に戦場に目を向ける。


「この無駄な争いを鎮めるわ。アンタたち、手伝う覚悟はある?」


『はい!』


 私の問いに対して全員が即答し、私は笑みを浮かべた後、瞼を閉じる。


「良い返事ね。それじゃあ今度は、アンタたちに私の力を与えるわ」


 開眼した瞬間、ジークたちの額に青い炎が灯り、右目が青色に染まる。


「わッ! 何これ! ミーナちゃんと同じ炎が!」


「その炎が灯っている間は攻撃しても相手を傷つけないし、躊躇いをリセットして戦意を喪失させるわ。思う存分、暴れてきなさい」


 私の力を受け止めたシャフリたちはコクリと頷いた後、散開してリギルの兵士たちを無力化する。


「貴様ら……これ以上は好きにさせんぞッ!!」


 背後から襲いかかってきたファルトマンが私に剣を振ってきたが、私は笑みを浮かべて、あえて何もしなかった。


 ファルトマンと私の間に入ったジークが青い炎を拳に纏わせて、剣を受け止める。


「何ッ!?」


「ああ……そう言えば、アンタは裏切り者だったわね。国王を手にかけた罪、重いわよ。ジーク。遠慮はいらないわ。始末を命じるわ」


「御意!!」


 ジークはファルトマンを押し返し、私から離れていく。


「任せたわよ、ジーク。さて……アイツが回復しきる前に、さっさと終わらせましょうか」


 リギルが飛んでいった方向に目を向けた後、青い炎の翼を羽ばたかせ、シャフリたちの元に向かう。

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伊澄ユウイチです!


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