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ディメンションブレイク  作者: 凧39
一章 日常編
3/4

ニ話 初めての仲間(回想)

後日。


初めてのディメンション攻略。予約したのは、レベル2ディメンションだった。


現場に到着すると、緑色で普通の大きさの扉の前に、人が立っている。彼は辺りを見渡している。その人は、白色のTシャツ、黒いブカブカのズボン、だらしがない見た目だった。少し気まずいと思いながら、近づいて話しかける。


「どうしました?」

「いや、もう一人ファイターが来るらしいがなかなか来なくて」

「それ俺です。多分」


(もしかしてずっと俺を待ってくれていたのか?)


その時の俺はそう思っていた。確かに、通知には、俺以外にもう一人来ると書いてある。落ち着いた様子で話しかけられる。


「なんだ、君なのか、名前は?」

「古言 綾人です。よろしくお願いします」

「俺は、須貝 葵だ。よろしく」


これが俺と葵が初めて会った瞬間だった。互いに自己紹介をする。この後こいつがいなければ詰んでいた場面も多かった。まだこの時は、ただのだらしがない人だと思っていたが、それは間違いであった。

俺が質問する。


「葵さんは何回か任務をこなしたことがありますか?」

「ああ、これで四回目だ。でもまだまだ経験が浅いかな」


(よかった。経験者だった。一回もやったことがない初心者だったらどうしよう)って思っていたが、杞憂であった。分からないことがあったら任せようと思っていた。


「俺は今回が初めてです」

「そうなのか、初めてでレベル2は珍しいな」

「ディメンションってどういうものですか?」


俺が葵に対してこう返すと、葵がディメンションのレベルについて説明し始めた。ファイターになったものの実はあまり知らなかった。


「ディメンションとは、1〜5までのレベルがある。レベルが大きくなればなるほど当然難易度も上がる。」

「そこまでは知っています。扉の色や大きさは関係ありますか?」

「扉の色の関係性は不明だが、大きさは関係ある。レベル1が小棚程、2が普通のドア程、、3が一軒家程、4が学校とか、大きい建造物程、5は高層マンション程の大きさだ。つまり、大きくなればなるほど、難易度も上がる」


このとき扉の大きさは、レベルと関係があるということを知った。さらに質問をする。


「じゃあ、高レベルのディメンションを攻略した方がいいですよね?」

「その通りだが、高レベルのディメンションは、数が少ない。例えば、レベル4の数はレベル2の1/10程しかない。そういうのは基本的に猛者たちが予約するから、俺たちは挑戦できないし、挑んでも死ぬと思う」

「なるほど。あと、タイムリミットってどれくらいですか?」

「それは、だいたいレベル1が約数日、レベル2が約一週間、レベル3が約一ヶ月、レベル4が約半年、レベル5は一年以内で倒されるようになってるから、具体的なタイムリミットはわからない。」

「なるほど。低レベルのディメンションも攻略しなければならないか」


その時は地道に低レベルのディメンションを攻略するしかないと思っていた。高レベルのディメンションを攻略したくても、実力的に不可能。タイムリミットのせいで、低レベルのディメンションも放置できない。

俺たちファイターは委員会に予約しない限り、行動することができない。もし、勝手な行動したらペナルティを食らうため、常識のあるファイターは、全員ルールを守っている。


葵が扉を開ける。目の前には、巨大樹を中心に、植物や小動物が暮らしている豊かな大自然が映る。耳を澄ませば、心地の良い川の水音と風の音が広がっていた。不気味なほど整っている。


「ここからは、違う世界だ。気を引き締めて行くぞ」


俺たちは、内部に入る。ワクワクしながら一歩踏み入れた瞬間、心地いい風と共に妙な違和感を感じとる。何かに見られている気がした。


「ここがディメンション」

「ちなみに、ディメンションには、ボスに定義されるエンティティが絶対いる。そいつを倒せば攻略完了だ。逆に言えば、ボスじゃないエンティティを倒しても帰れない」


初めての経験に呆気にとられて数分経ったが何も起きない。ここでの目的は、ボスを倒す事。葵は奥の方まで進んでいた。俺も走って追いつく。


「ここで、チュートリアルをしよう」

「わかりました」

「試しに能力を使ってみてくれ」


そう言われると、試しに俺は両腕に力を込める。熱くなっていき、腕が変化する。


「なんだこれ、ライオンみたい」

「なるほど変化系の能力か」


葵はそう言う。強いのかと思っていたが、葵は続けてこういった。


「変化系は強い能力が多いが、扱いが難しい。慣れるには時間がかかる」

「そうですか、時間がかかってもいい、俺にはやることがある」

「やることって?」


葵がそういうと、蔦を纏った、不定形のエンティティがいきなり現れた。蔦の塊の奥に、人の顔のようなものが浮かんでいた。それがこちらを見て、確かに笑っていた。こいつがボスだろう。空気が変わった。


「来るぞ気をつけろ」


警告すると同時、叫び声をあげながらエンティティが自分の体から蔦を伸ばす。蔦が俺たちに向かう。


「下がれ!」


葵の声と同時に、地面が弾けた。さっきまで立っていた場所に、巨大な蔦が突き刺さる。俺たちはそれぞれ別方向に避けた。その間を蔦が裂く。蔦が方向転換して襲いかかる。必死に避ける。


「これが……レベル2…」

「そうだ。あと、これは覚えとけ、レベルが1上がるごとに強さは約十倍になる。シ…」


どうすればいい。避けられない。死ぬ。再び、死の恐怖が蘇った。


「うああああ!」


言葉を遮り、訳も分からず叫ぶ。パニックになりながら腕を全力で振る。振り終えると、辺り一面爆炎に覆われる。見えたのは、抵抗する間も無く、焼かれるエンティティ。爆炎は周りの植物を巻き込む。あの顔はずっと笑っていた。やりすぎたと思ったが、仕方がない。罪悪感が胸の奥まで沈む。


「うっそだろ」


俺は唖然としながら、その場にへたり込む。蔦のエンティティは跡形もなくなっていた。光がこちら側に吸い寄せられるように集まり、俺たちは光を浴びた。少しだけ、強くなった気がする。この光が、ファイターが強くなる為のものである事を感じ取った。


「強すぎる…。櫻井先輩みたいだ。」

「さっきの…何だよあの力…」

「自覚ないのか?」


葵は呆れたように笑う。俺は自分の腕を見る。さっきまで確かに、あれは“俺じゃない何か”だった。なのに、今でも熱だけが残っている。何か、とんでもないものを引き出してしまったようだ。まだこのとき櫻井先輩は知らなかった。その後出会うが、この話は別の機会で語る。


「途轍もない力だ、お前は本当の選ばれしものかもな」

「そんなわけ…」


葵も愕然としていた。選ばれ者という事実に、否定しきれない自分がいた。続けて俺がこう言う。


「もしかして、こいつがボスですか?」

「うん。多分そう」


最初の攻略は本当によくわからなかった。エンティティが現れたと思ったら、能力で瞬殺してしまったから。この世界の空を見ると、確かに、空に細いヒビのようなものが走っていた。話しているといつの間にか、元の世界に戻れていた。扉を見ると塵になりながら消滅した。


「あっという間だったな、これじゃあチュートリアルにもならない」

「えぇ」

「とにかく、お疲れ様」


葵はそういうと、俺にある提案をしてきた。


「なぁ、綾人、俺とパーティを組まないか」

「いいですよ!これからもよろしくお願いします」

「なら敬語は不要。呼び捨てでも構わない」

「じゃあ葵。よろしく」


初回の攻略でパーティを組むことができて運が良かった。二人でファイター委員会に向かう。


「今回の攻略の報告と、パーティ作成の申請もしなきゃな」

「ねぇ、それより腕が戻んない」

「そんなこと言われたって…変化系じゃないから知らない」

「嘘だろ!戻れ!戻れ!」


この後、何とか腕が元に戻ったことに安心していた。元に戻らなかったらどうしようと思った。

そして、これからの攻略に胸を躍らせていた。空はまだ青い。

ゴールデンウィークは毎日投稿します。

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