隠れ家
西アジア、テロ組織『バム・ラヒーム』のアジトでアンドロイドのケネス・ブルックのデータ解析が始まった。首から下を切り離し、頭についているUSBの差込口にケーブルをつないでパソコンと接続する。
組員「データは確かに存在しているが専用ソフトがないと読み出せない」
リーダー「HxDを使ってみろ」
ティーナ・フス「貸して、私がやるわ」
ティーナ・フスがHxDを使ってケネス・ブルックの頭の中にあるデータを吸い出した。しかし、文字化けしていて解析できない。
リーダー「クソ!文字がおかしいな」
ティーナ・フス「待って、AIを使って文字コードを変換するわ」
さっきまで文字化けして読めなかった文字が次々と英数字に切り替わっていく。バム・ラヒームのメンバーは喜びを露わにした。
ティーナ・フス「やったわ!」
リーダー「上出来だ」
The Code Diversの居場所はメキシコのチワワ州にあるシウダー・ファレスだということがわかった。
リーダー「よし、奴らを皆殺しに行くぞ」
組員たち「おおー!」
すべてのデータを吸い出した後、ケネス・ブルックの頭はスクラップとして処分された。10tプレスで粉々になった。
リーダーとティーナ・フス、その他数名がケネス・ブルックが乗り損ねた戦闘ヘリに乗り込んだ。
砂埃を巻き上げながら戦闘ヘリが飛び立った。
――― 疑似現実ラチエ博士の研究所 ―――
AIのラチエ博士「まさか、ここにキミが来るとな」
フロラン「やぁ久しぶりだな、博士。ドミンゴ博士とケネス・ブルックは倒したぜ」
AIのラチエ博士「相変わらずムチャするね。で、何か用があって来たんだろ?」
フロラン「ひとつ聞きたいことがあったんだ。Angel Descent計画を首謀した奴らを倒したのに街では、まだロボットどもが暴れている。どうしてだ?」
AIのラチエ博士「じゃあ首謀した奴を倒せていないんじゃないか?」
フロラン「話が堂々巡りになっちまうぜ」
AIのラチエ博士「ケネス・ブルックは生身のほうが死んだがアンドロイドになって何度も復活している。つまりコピーが大量にいるんだ」
フロラン「ほう・・・」
AIのラチエ博士「疑似現実にいる私と現実世界にいる本物のラチエ博士、意思を持てば、それはどちらも実在していることになるな?」
フロラン「また難しいことを言い出したな」
AIのラチエ博士「お前が倒したのは影だ。太陽に映し出された影を倒したに過ぎない。わかるだろ?」
フロラン「いや、全然わからんが・・・」
AIのラチエ博士「じゃあお前が動かすSERAPHが倒されたらお前は死ぬのかい?死なないだろ」
フロラン「たしかにな、そうか!じゃあ本体がいるってことか・・・いや、待てよ。ケネス・ブルックのデータが存在する限り、永遠に倒すことは不可能ってわけか」
AIのラチエ博士「その通りだ。私もそうだ。本物のラチエ博士は病院の寝床で傷を癒しているが私は研究所でデータを集めている。たとえオリジナルが死んでも私が死ぬわけではない」
フロラン「なんとなくわかったぜ!サンキュー、博士」
AIのラチエ博士「おい!まだ話は・・・ああ、行ってしまった。肝心なところを聞かないやつだな」
――― カナダ ヌナブト準州 ―――
ケネス・ブルック「ああー!頭が・・・・」
ケネス・ブルックが頭を押さえながら起き上がった。そこにはドミンゴ博士がいた。
ドミンゴ博士「やっと起きた。起動しないかと思いましたよ」
ケネス・ブルック「頭がくるみを割るように潰される夢を見た」
ドミンゴ博士「私もオリジナルのほうが死んでしまったようです。ここで私が存在しているのが何よりの証拠」
ケネス・ブルック「我々は手段を選ばない。SSBRという組織はそういうものだ。目的を達成するためなら何でもやる」
ドミンゴ博士「この地域は極寒でちょうどいい。パソコンや人工脳の冷却に困りませんね」
ケネス・ブルック「しかし、フロランがあれほど厄介な存在になるとはな・・・」
ドミンゴ博士「ええ、たしかに。しかし、ヤツがラチエ博士をSSBRに連れて来たり、Small SERAPHのアイデアを出さなければ『ANGEL DESCENT計画』が始まるのは数年遅れていました。それもまた事実です」
ケネス・ブルック「The Code Diversが軍事用の人工衛星を使ってソフトキルを始めた。予定より遅かったようだ。食料の確保は十分してあるはずなのに・・・」
ドミンゴ博士とケネス・ブルックが拠点とする雪山のコテージには食料はない。ただ発電機とサーバーがあるだけだった。
誰にも知られることがない場所でひっそりと世界の滅亡を傍観する。
https://note.com/hiroumimetavarse/n/n3687fd3f0013?app_launch=false
画像はnoteに置いています。




