無償の愛
The Code Diversが20年前の世界大戦のときに使っていた人工衛星を起動させた。ソーラーパネルを付けた人工衛星はまだ生きている。
『パスワードを入力してください』
パソコンに文字が出るとリーダー001が『SSBR』と入力した。ロックは解除された。
隊員002「リーダー、衛星なんて使って何するんですか?」
リーダー001「そうだな、世界政府を混乱に陥れる。ソフトキルってやつだ」
軍事開発された人工衛星を使って、The Code Diversのソフトキルが始まった。アタック攻撃に次いで人工衛星によるソフトキル、これによって世界で流通する資金と物資の流れは大規模な遅延が発生した。
――― 世界政府 ―――
世界政府のメンバーにノイズが走る。ホログラムが揺れ、音声が途切れ、様子がおかしい。
統括者「なんてことだ。まさか世界大戦時に使われていた人工衛星まで使いこなすとはな」
アメリカ「The Code Diversとかいう連中か?」
フランス「奴らはどこにいるんだ?」
インド「西アジアに潜伏していると聞いたことがあるが?」
イタリア「特殊部隊を送り込むべきだ。しかし、電波妨害されては正確な位置はわからないだろうな」
サウジアラビア「西アジアにいるのはテロ組織だけだ。ハッキング集団はメキシコじゃなかったか?」
メキシコ「なに?それではうちの管理体制のミスとでも言いたいのか?」
統括者「諸君、静粛に!Lumen Arkのホワイトハッカーに場所の特定をしてもらおう。特殊部隊を送り込むのはそれからだ」
まるで本物の政治家たちが言い争っているように擬人化されたAIたちがお互いが管轄する国の責任を問う。
――― 航空母艦 ―――
コニック博士「なるほど、The Code Diversの拠点ね・・・」
アンジェリカ「それはずっと調査していたけどわからなかったものね」
ラファエラ「奴らもLumen Ark同様、独自に開発したダークウェブサイトを使っているからね。単純な外部接続と違って足跡を残さないわ」
ノア「でも、戦闘ヘリやドローンも自動操縦っぽいんだけど、その指令を出しているところもわからないってこと?」
ラファエラ「例えドローンを追跡しても辿り着くのは製造拠点よ。The Code Diversのアジトじゃないわ」
The Code Diversのアジトを探すのは困難だった。確かな情報はなく、インターネットの中に足跡を残さない。彼らの履歴を追って拠点を突き止めることができなかった。
ノアとレナータはその夜、航空母艦の上で身の上話をしていた。
レナータ「これからどうなるんだろうね、街があんなに破壊されちゃったら帰る場所がないわ。私はひとりだし・・・」
ノア「それは心配いらないよ、僕の家に住まない?復興するまで安全な場所にいたほうがいい」
レナータ「ほんとに、いいの?」
ノア「ああ、もちろんだよ」
夜空の下でふたり寄り添っていたがキャミソールを着たレナータが振り返ったとき、彼女のピンク色の長い髪が風で横に流れ、背中の左肩甲骨の辺りに黒い薔薇のタトゥが入っているのが見えた。葉っぱのところには『SSBR』の文字がある・・・・。
ノア「レナータ、それ・・・」
レナータ「どうしたの?」
ノア「もしかして気づいていないの?」
レナータ「だから、何の話?」
ノアはレナータの髪でタトゥが隠れるようにしてから、彼女の手を引っ張ってコンテナハウスの中に連れ込んだ。強引に手を引っ張られてレナータは驚き、戸惑う。
レナータ「ちょっと・・・強引じゃない。ここでできなくはないけど・・・」
レナータの頬が赤くなって、顔を逸らした。
ノア「いやいや、違うよ。そうじゃない。レナータ、背中のタトゥ気づいてなかったの?」
ノアがシャワー室にある鏡を外して、レナータのタトゥを映して見せた。
背中のタトゥが鏡に映し出され彼女は顔を伏せて、しゃがみ込んだ。
ノア「どうして、そのタトゥが入っているんだい?」
レナータ「わからない、でも、信じて!私はSSBRの一員じゃないわ」
ノア「信じるよ、キミがあの組織の一員なわけがない」
レナータの体が震え、涙が頬を伝う。
ノア「両親がSSBRの役員だと言ってたね。もしかしたらそれと関係があるのかもしれない。でも、キミはあの組織の一員じゃないよ」
レナータがノアの胸の中で泣いていた。
過去はわからない。でも、彼女を守りたい。もし彼女が諜報員だったとしても僕は騙されていてもいい・・・。
ノアの心の中にはレナータを愛する気持ちが芽生えていた。それは無償の愛だった。
https://note.com/hiroumimetavarse/n/n23cf90715172?app_launch=false
画像はnoteに置いています。




