予感
フロラン「この辺を拠点にするか」
誰も使っていない小屋を見つけて、その中に入った。とくに何もない。ただのプレハブ小屋だ。
SERAPH-07にシートを掛けて隠す。まるでもう一つプレハブ小屋ができたかのようにその巨体は異質だった。
タブレット、ノートパソコンと大量の充電器を小屋の中に広げた。そして、ソーラーパネルをプレハブ小屋の屋根に設置する。
フロランがネットにアクセスして疑似現実のラチエ博士に話しかける。
「なぁ博士、研究所のほうにはSSBRが向かったか?」
AIのラチエ博士「ああ、おかげさまでたくさん来てるよ。これ以上ないほど厳重な警備体制だ。何をやったんだ?」
「倒した相手の数は覚えていない。あとはケネス・ブルックとドミンゴに恨みを買った」
AIのラチエ博士「かぁ~重罪だな。いずれお前を見つけ出して処分するだろうよ」
「それはわかってるよ。どの道、ANGEL DESCENT計画で人類の大半は助からない。オレはやりたいようにやるだけだ」
AIのラチエ博士「身を隠して、疑似現実で悠々自適な生活を送ろうとは思わんのかね?」
「永遠に生き続けろってか?それに何の意味があるんだ?」
AIのラチエ博士「目的や意味など必要か?お前が求めているのは死に場所じゃないだろうな」
薄々、フロランは気づいていた。自分が本当に求めているのは派手な戦いとそこで待っている死なのだと・・・。
まるで芸術作品が完成するような感覚、誰も理解できない死への憧れ。それは彼だけが持つ美学だった。
「良いこと教えてやるよ。ケネス・ブルックは既にアンドロイドだ。本物はオレが暗殺した」
AIのラチエ博士「ドミンゴ博士が何かやったのか?そこまでケネス・ブルックに執着するのは変だな・・・」
「たしかにな、トップの首さえもすぐに挿げ替える軍事産業メーカーがどうして奴にそこまで肩入れするのか意味がわからないぜ」
AIのラチエ博士「まさかな・・・・」
「まさか?なんだよ、推論に付き合ってるヒマはねーよ。じゃあな」
――― 西アジア ―――
テロ組織『バヌ・ラヒーム』のメンバーがSSBR簡易施設の戦闘用ヘリの近くでケネス・ブルックの顔がめくれて中のアンドロイドが露出した機械をアジトに持ち帰った。
リーダー「ケネス・ブルックがアンドロイドだっただと?」
ティーナ・フス「それはおかしいわ。SSBRの施設で私がユニコーンの涙を与えたのは生身の人間だったもの」
リーダー「脳のデータだけを移し替えるなんてできるのか?」
ティーナ・フス「それはドミンゴ博士ならやりかねない。狂った天才と呼ばれる彼なら・・・」
テロ組織の仲間のひとりがアンドロイドの頭にUSBポートがあるのを見つけた。
「リーダー、頭のところにUSBポートがある。パソコンとつなげばデータが吸い出せるかもしれない」
リーダー「よし、SSBRが使っていた簡易施設に運んでデータの吸い出しをやってみろ」
組員「了解」
――― Lumen Ark活動拠点 ―――
AIレイナ「資金の流れと物資の供給がどんどん遅くなっています。The Code Diversのアタック攻撃が前にも増して強くなっています」
コニック博士「それは困ったな、小さな国から暴動が始まる」
アンジェリカ「暴動が起きているところを狙われたらおしまいね」
ラファエラ「一体、どこに潜伏しているのよ、奴ら」
カジェタノ「アジアにいる奴らを見つけ出すのは至難の業だ。噂によると国ぐるみって話もあるぐらいだぜ」
ジェニー・アリス「ネオグライドだけじゃなく他のe-Sportsの賞金や物資の流れも遅延しているわ」
ノア「物資の供給が遅れると物価が上がるってほんと?」
コニック博士「ああ、本当だ。物価の上昇が始まると手に負えなくなる。今のうちに手を打たないと・・・」
エルナ「SSBRがどうしてそこまで自由に動けているのか不思議だね」
パーヴェル「いよいよ、何かが始まる予感がするな」
ラファエラ「こっちも準備は整ってる。アンドロイドを動かしてSERAPHと戦うの。ハンドクローラーもあるわ」
ネオグライドで戦った相手や有名なプレイヤーも今ではLumen Arkの一員となっている。SSBRの悪事を黙って見過ごすわけにはいかない。
いよいよ何かが始まる予感がする。
https://note.com/hiroumimetavarse/n/n02e5082684e5?app_launch=false
画像はnoteに置いています。




