内部分裂
『Lv.BEYONDER』のチームワークが以前よりも増して良くなり、上位の下に手が届くところまで来ていた。
ノアとレナータの息がピッタリだった。
疑似現実で対戦するのは上位チームばかり、他のチームはすべてAIが操作している。戦っているうちに目が慣れてきて、敵の動きも読めるようになった。
ラファエラ「4人ともなかなかイイ動きよ。これならアンドロイドを操作しても戦力になるわ」
アンジェリカの仲間集めは続き、中堅以上のチームに積極的に話しかける。
Lumen Arkの仮想オフィスでアンジェリカとコニック博士が仲睦まじく手を取り合っている。
僕もレナータと気づけばいつも手をつないでるようになっていた。コニック博士とアンジェリカ、きっとふたりは付き合っているんだろうな・・・。
周りもその空気を察していた。それにしてもアンジェリカは、アバターからも色気が漂う。仕草や話し方から感じ取れる大人の女性の色気だ。
アバターじゃなくて実在の人物はとても素敵な人なのだろう。
――― SSBR研究所 ―――
ドミンゴ博士が人工脳を取り出してアンドロイドにセットした。またケネス・ブルックのデータをインストールする。
ケネス・ブルック「ここはどこだ?」
ドミンゴ博士「ここは地下1階の研究所ですよ」
ケネス・ブルック「さっきまで西アジアに居た気がしたが・・・」
「なんだ?そういう仕組みだったのか」
物陰から声が聴こえた。ドミンゴ博士は慌てて立ち上がり「誰だ?」と返した。
装置の陰から姿を現したのはドローンに乗ったフロランだった。
「既にケネス・ブルックはアンドロイドだったんだ」
(確かにオレはハンドクローラーでトドメを刺したはずだ。生きてるはずがねぇ)
ドミンゴ博士が慌てた様子で近くにあったバールを手に持つとフロランに襲いかかった。Small SERAPHがブレードでバールを跳ね除けるとドミンゴ博士は床に倒れた。
「イテテッ・・・」
倒れた衝撃で体を痛めたようだ。
「やめときな、あんたじゃオレに勝てないよ」
ドミンゴ博士「これは極秘中の極秘だ。こんな夜中にどうして研究所にいる?」
「まぁちょっと用があってな」
悪びれた様子もなく、フロランはいつも通りだったがドミンゴ博士とケネス・ブルックはそうではなかったようだ。
ケネス・ブルックが右手の人差し指で右を指さし、フロランの左へまわり込む。ドミンゴ博士はフロランの右へまわり込んだ。
「クククッ、オレとやろうってのかい?正気か?」
挟み打ちで左右からフロランに掴みかかろうとしたがSmall SERAPHがブレードでふたりのわき腹を切り裂いた。ドミンゴ博士はその場に倒れ込み、床に血が滴り落ちる。ケネス・ブルックのほうは膝をついて起き上がれない。
「同じアンドロイドでもSmall SERAPHは戦闘用だ。そっちの飾りとは違うんだぜ」
ケネス・ブルックは胸元から銃を取り出して構える。フロランの前にSmall SERAPHが立ちはだかり、瓶型ロボットが視界から消えた。
「クソッ!」
ケネス・ブルックはSmall SERAPHに勝たなければフロランを倒せないことを悟って悔しそうに言葉を吐いた。
ハンドクローラーがケネス・ブルックに襲いかかる。銃を持った手を突くとケネス・ブルックがハンドクローラーに向けて発砲する。弾は当たらずに棚のガラスを割った。
『バシャン』棚のガラスが粉々に砕けて床に散らばった。
ケネス・ブルックはスマートフォンを取り出して、SSBR専用部隊10人を呼び寄せる。
フロラン「ハハハッ!面白い。こっちだ」
ドローンに乗ったフロランが研究所の奥へ飛んでいく。Small SERAPHの肩にハンドクローラーが飛び移り、フロランの後を追うように滑走する。
ドミンゴ博士「クソッ!SERAPH-07に乗り込むつもりか!」
研究所のエレベータが開き、10人部隊がやってきた。
隊長「ブルック専務、どうされました?」
ケネス・ブルック「あの瓶型ロボットのフロランが我々を裏切った。始末しろ!奴はこの奥だ」
隊長「了解。よし、行くぞ!」
研究所の奥へ隊員たちが向かう。深夜の薄暗い研究所の奥に装甲車両ロボットのSERAPHが並んでいる。不気味な雰囲気が漂う。
恐る恐る隊員たちがSERAPHの近くに来ると天井のほうからドローンに乗ったフロランが急降下してきた。
「こっちだ、バーカ!」
隊員たちが銃を撃つが当たらない。
「ほらよ」
ドローンからハンドクローラーが飛び降りて、隊員の首を鷲掴みにした。血が噴き出て隊員はその場に倒れた。
「うわぁぁぁ・・・」
近くにいた別の隊員が叫ぶ。その後ろからSmall SERAPHがブレードで一突きして心臓を貫いた。
隊長「下がれ!陣形を整えろ!」
慌てた隊長が叫び、生き残った隊員たちに召集をかけた。8人の部隊は辺りを見渡し、物陰に隠れたフロランを探す。
ひとりの隊員の背中にハンドクローラーが飛びついた。
「うわぁぁぁ!助けて!」
背中に飛びついたハンドクローラーに恐怖している。他の隊員たちがハンドクローラーを手で無理やり引き剝がそうとするが離れない。
柱の陰から突然、Small SERAPHが飛び出してブレードで3人の隊員を切り裂いて、そのまま駆け抜けていった。
無惨にもハンドクローラーに気を取られていた3人が床に倒れ、辺り一面に血が広がって、生き残った隊員たちの恐怖を煽った。
残り5人。
ドローンに乗ったフロランが姿を見せる。
「どうだ?まだやるか?それともオレの傘下に入るか?」
隊長「冗談はやめろ!お前の下につくわけがないだろ!」
「ハハハッ、それが忠誠心ってやつか。いいぞ、死ぬまで戦え!」
5人の隊員の目の前でSERAPH-07が動き出した。それはあまりにも大きく生身の人間が戦えるような代物ではなかった。
起動音が轟き、その圧倒的な重量感の前に成す術はない。
「あぁぁぁ・・・隊長!」
隊員が救いを求めて振り返ったが手遅れだった。銃を撃っても、その装甲ボディにはかすりキズひとつ付いていない。
SERAPH-07が腕を一振りすると5人の隊員は後ろに吹っ飛んだ。骨が砕け、床に這うように逃げ惑う。
「ハハハッ、愉快、愉快。次はケネス・ブルックとドミンゴだ!」
隊長がひとりでエレベータのほうへ逃げ出した。それを呼び止める声がする。
「どこへ行くんだ?」
ケネス・ブルックが隊長を呼び止め、歩み寄る。
隊長「これは戦えるような状況ではありません。逃げま・・・」
『ズバンッ!』
「ううっ・・・」
隊長は床に倒れた。
ケネス・ブルックが隊長を銃で撃ち殺したのだ。
研究所の中、まさに地獄のような光景が広がる。暴れ出したフロランを止める方法はなかった。
ドミンゴ博士がケネス・ブルックに声をかけた。
「エレベータが到着しました。一旦、逃げましょう!」
「クッ!しょうがない。奴は必ず処分する」
フロランは隊員全員を始末した後、研究所から姿を消した。SERAPH-07と共に・・・。
https://note.com/hiroumimetavarse/n/n9196dc1c5508?app_launch=false
画像はnoteに置いています。




