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Meta Hack Flow  作者: hiroumi


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不死身の男

西アジアに簡易施設を作って、SSBRの拠点としている。石畳の道以外は砂の場所が多い。


プレハブ小屋の中でティーナ・フスは椅子に縛り付けられている。ケネス・ブルックとSSBR専用部隊の10人がそこにいた。


ブルック専務「よし、今からティーナとふたりっきりで話をする。何かあったらすぐに呼ぶ」


10人の部隊はプレハブ小屋から出ていった。


「どうして私を裏切ったんだ?秘書として十分な報酬を与えていただろう」


ティーナ・フス「報酬?ハッ、そんなんじゃ足りないんだよ」


椅子に括りつけられたティーナがブルックを睨む。


ブルック専務「足りない?年俸5万ドルで足りない?一体、何にお金が必要なんだ」


ティーナ・フス「それは大国に蹂躙(じゅうりん)された国を救うためよ。世界大戦はあなたたちにとってはただのビジネス。でも、私たちからすれば死活問題だったのよ。

大きな国やその国の傘下に入った国は復興したわ。それ以外の国は置き去りのまま滅びたの。私の国も滅んだ。残ったのはテロ組織だけ・・・そこから私たちはやり直すために戦っているのよ」


ティーナは悔しくて涙を流した。幼い頃に世界大戦で両親や兄弟、一緒に育った友達を亡くして絶望の最中、生きてきたのだ。

大国で安全なところにいた人間にはわからない恐怖と屈辱である。


ブルック専務「確かに世界大戦は悲劇だったが、その始まりは中東だったはずだ。いくつかの大きな国は静観していたのだ。しかし、戦火が広がれば大国も戦わざるを得ない。わかるだろ?」


ティーナ・フス「いいえ、わからないわ。ここには石と砂しかない。食料や物資を手に入れる手段が限られているの。仮想現実(バーチャルリアリティ)へアクセスする権利すらないわ」


ブルックはティーナの右のふとももに大きなタトゥが彫られていることに気づいた。そのまま視界に写った画面をスクリーンショットで撮影した。


外が何やら騒がしい。SSBR専用の10人部隊が誰かと争っているようだ。銃声が聴こえる。


ブルック専務「ま・・まさか、ここに仲間を呼んだのか?」


ティーナ・フス「どうせ殺されるなら道連れよ」


ブルック専務「クソ、こっちへ来るんだ」


ティーナ・フスの体にロープを巻き付けたままブルック専務がプレハブ小屋から出て戦闘用ヘリのほうへ向かった。いくつかあるプレハブ小屋に身を隠しながら10人の部隊とテロ組織が撃ち合いをしている。拉致したティーナ・フスを取り戻すために命賭けで助けに来たようだ。


ケネス・ブルックの革靴に砂が入ってうまく走れない。おまけにスーツ姿も乱れてしまった。ふらついてプレハブ小屋に体をぶつけながら走っていると目の前にSSBRの部隊とテロ組織が横切った。


一瞬、驚いて体が固まったが向こうはこちらに気づいていないようだ。


ティーナ・フスが叫ぶ「助けてー!」


ケネス・ブルックは慌てて、ティーナ・フスを押し倒した。そのままひとりで戦闘ヘリに向かって走り出す。


ティーナ・フスはゆっくりと状態を起こして、スマートフォンでドローンを呼びつけた。


プレハブ小屋の周りでは銃声が鳴り響き、少し離れたところにある戦闘用ヘリの所へ駆けつけたケネス・ブルックが運転席に乗り込もうとしたが後ろからドローンに乗ったティーナ・フスがケネス・ブルックを銃で撃ち抜いた。


戦闘用ヘリのドアに手をかけたまま、ケネス・ブルックの動きが止まった。振り返り、ティーナのほうを見ている。


ティーナ・フス「おかしい。胸元を撃ち抜いたのに血が出ていない。防弾チョッキ・・・いや、スーツにそんな厚みはないはずよ」


振り返ったケネス・ブルックの体にまた銃弾を浴びせた。そのまま戦闘用ヘリに持たれかかったままケネス・ブルックの体は地面に沈んだ。

体がピクピクと動いている。まるで壊れたおもちゃのように・・・。


SSBRの10人の部隊は退避して命からがら逃げだした。そして、ティーナ・フスを取り戻したテロ組織は速やかにその場を離れ去った。


ティーナ・フス「なんだったのあの感触は・・・。上半身に3発以上の弾が当たっても死んでない?そんなはずはないのに・・・」




――― SSBR研究所 ―――


ドミンゴ博士はブルック専務がスクリーンショットで撮った画像を見ている。右のふとももに大きなタトゥが彫られているティーナ・フスの画像だ。


ブルック専務とティーナ・フスの会話でもテロ組織の一員であることがわかる。以前にティーナ・フスがブルック専務に飲ませた液体の薬物『ユニコーンの涙』が西アジアを拠点とするテロ組織が使っているものだという話と一致した。


ドミンゴ博士「この画像に写っているタトゥは、どこかの国で象徴的な意味を持つものか調べて欲しい」


パソコンの中に入っている画像解析AIを使って、ティーナ・フスの右ふとももに入っているタトゥを調べさせた。


『この画像に写っている彼女のふとももに刻まれたものはテロ組織バム・ラヒームのものですね』


ドミンゴ博士「バム・ラヒーム、なるほど。西アジアの言葉だね。意味は?」


『バム・ラヒームとは慈悲の民を意味します』


ドミンゴ博士「なるほど、慈悲の民ね。ユニコーンの涙も”救い”や”慈悲”の意味だったよね」


『西アジアの小さな国々は世界大戦によって崩壊し、生き残った人々はテロ組織を結成して世界各国へ散らばったと言われています。多くはテロ組織に資金を集めるための活動です。武器と兵を強化して大国にテロの脅威を見せつけます』


ドミンゴ博士「まぁたしかに特殊な訓練を受けているのはわかるよ。せっかく蘇らせたアンドロイドのケネス・ブルックに弾丸3発も当てているからね。恐れ入ったよ」


ドミンゴ博士が溶液の中に入った人工脳を見つめていた。タブレットにはケネス・ブルックのデータが入っている。


またひっそりとブルック専務を蘇らせる準備を整えていたのだ。


https://note.com/hiroumimetavarse/n/ne317bb74f06c?app_launch=false


画像はnoteに置いています。

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