制圧
コニック博士が工場で10人の仲間に指示を出す。ハンドクローラーの量産と中古で安く出回っているアンドロイドの改造に大忙しだった。
ロボットハンドによるライン作業、完成品はソフトをインストールする。そこからデバックモードで動きの修正。朝から晩まで作業を続けた。
完成したハンドクローラーがズラリと並び、アンドロイドのほうも10体、20体と完成品がようやく並びはじめた。
コニック博士「ラファエラ、聴こえるか?」
ラファエラ「ええ、聴こえてるわ。アンドロイドの遠隔操作ね」
コニック博士「そうだ、キミならこのアンドロイドを遠隔操作するのは容易いだろう」
コニック博士が見つめる中、アンドロイド1体の指が動いた。その後、まるで息を吹き返したかのようにアンドロイドが動き始めた。
コニック博士「いいぞ!ラファエラ、このアンドロイドたちをノアたちに動かしてもらう。ネオグライドで戦っている彼らならすぐに戦力になるはずだ」
ラファエラ「あら、私もこれで戦うなら強いわよ」
ネオグライドで戦っているチームのスカウトは続き、ラファエラたちが作った疑似現実の中で組織に加入したチームは特訓を積み重ねた。
紫のNeon Dustを服用して、それらの戦ったデータはすべてLumen Arkのパソコンに入っている。それをアンドロイドに転用する日は近い。
夜遅くまでコニック博士は作業を続け、10人の仲間は先に帰っていた。薄暗い廃墟となった工場でひとり黙々と作業を続ける。
『カランッ』何かが転がる物音が聴こえた。
「誰だ?」
コニック博士は人影が動くのを確認した。手元にはハンドクローラーを持ち、いつでも操作できる準備をしている。
「私よ、私。実際に会うのは初めてね」
薄暗い場所からそっと現れたのは見たことがない美女だった。
コニック博士「キミは・・・声はどこかで聴いたことがある」
その女性は微笑んだ。
「アンジェリカよ、コニック博士。博士も仮想現実のアバターと違ってワイルドなのね」
コニック博士「アンジェリカなのか?ハハッ、驚かさないでくれよ。夜道でそんな派手な格好してるのかい?」
アンジェリカ「あら、いやーね。このコートは姿を消すために着ているのよ。ステルスコートなの」
コニック博士「ああ、どうりで薄着だと思ったよ」
アンジェリカは透明なレインコートのようなものを羽織っていた。それはボタンひとつで姿を消すことができるステルスコートだった。夜道を歩くのは危険なので、ここまで姿を消して来たようだ。
コニック博士とアンジェリカは抱擁した。
Lumen Arkの仮想オフィスでは、ずっと一緒にいるが現実世界で会うのはこれが初めてだった。
連日連夜のコニック博士の作業を心配してアンジェリカが駆けつけた。車の自動運転で8時間かけて来たそうだ。
コニック博士とアンジェリカは温かいカフェ・モカを飲みながら寄り添うようにソファに座った。
――― SSBR施設 ―――
ブルック専務「なんてことだ!SSBRの資金が西アジアに流れてしまっただと・・・オレのせいだ」
エリカ「それは仕方ありません。元秘書のティーナ・フスがテロ組織の一員だったのですから・・・」
ブルック専務「よし、では西アジアに青いNeon Dustを送り込もう。そして、ティーナ・フスを見つけ出すのだ」
ケネス・ブルックの執念が燃え上がった。後日、NEXA MILITECHから青いNeon Dustが西アジアに向けて大量に出荷された。
SSBRの資産の一部が西アジアに流れ、テロ組織の規模が拡大して武器と兵士が増えた。
『The Code Divers』に西アジアで青いNeon Dustを使った人間を片っ端から調べろと命じ、数ヵ月後にティーナ・フスの情報がパソコンにヒットした。
――― 西アジア ―――
露店で食材を買い付けるティーナ・フスに黒服の男たちが後ろから声をかけた。
「おい、お前がティーナだな」
ティーナ・フスは手にぶらさげていた買い物カゴを男たちに投げつけて逃げ出した。並んだ露店の間をすり抜け、走る。男たちは後を追いかけ回す。
3階建ての石造りの階段を駆け上がり、腰の高さほどの壁によじ登ってベランダへジャンプした。ベランダの外壁に手を引っかけて、這い上がり、今度は屋上の外壁にジャンプしてしがみつく。同じ動作を繰り返しながら上へ上へと登っていった。
男たちはそれを見上げるだけで屋上へ上がることはできなかった。屋上でティーナ・フスはオートパイロットの大きなドローンを呼び出していた。上空からドローンが降りてきてそれに跨って空高くに上がろうとするが・・・上がれない。
上から戦闘用のヘリが降りて来て、ダウンウォッシュが働いたせいでティーナ・フスが乗っていたドローンは制御不能となった。
「きゃっ」
ドローンにしがみつき、なんとか飛ばされずにその場に留まった。
戦闘用ヘリが石造りの団地の屋上に着陸した。ドアが開き、スーツ姿の男が降りてきた。
ブルック専務「久しぶりだな、ティーナ。君が恋しかったよ」
同じくヘリに同乗していたSSBR部隊がティーナを拘束した。ヘリはティーナを乗せて飛び立った。
https://note.com/hiroumimetavarse/n/nbe605d50d133?app_launch=false
画像はnoteに置いています。




