亡霊
クロップ課長「青のNeon Dust、赤のNeon Dust、黒のNeon Dustの量産が始まりました。
青はネクサミリテックのほうで作られ、その中にはナノテクノロジーのAIが入っています。ええ、もちろんハッキング可能ですよ。
赤は人体操作を可能にします。黒は機器の操作です。ハハハッおっしゃる通り、魔法みたいですね」
意気揚々とボスと話しているのはクロップ課長だ。ケネス・ブルックが死亡したと聞いて空いたポストを狙って全力でボスにアピールしている。
今まで専用オフィスなど与えられたことがなかったし秘書をつけたこともなかった。その隔たり、権力の違いが気に食わなかったのだ。
『トントンッ』ドアがノックされた。
「入りたまえ」とクロップ課長が言うとドアを開けて入って来たのは、とても爽やかな女性だった。クロップ課長は満面の笑みで彼女を秘書に迎えた。
――― Lumen Ark活動拠点 ―――
カジェタノ「大きなハンドクローラーを量産して、SSBRに対抗するっていうのはどうだい?」
ラファエラ「ちょっと大きくなったぐらいではSERAPHという装甲ロボットに対抗できないんじゃないの?」
ゲレーテ「そうね、研究所の地下にあったロボットは相当な大きさよ」
コニック博士「いや、しかし、足元は履帯じゃなかったんだよね?
タイヤを使っているんだったら、もしかしたらハンドクローラーは有効な対抗手段になるかもしれないよ。ただ装甲ロボットだらけのところに生身の人間が近づくのは賢い行動とは言えないがね」
アンジェリカ「遠い場所から遠隔操作できればいいのにね」
カジェタノ「それなら簡単だよ。Bluetoothじゃなくて人工衛星を使えばいい」
ラファエラ「充電どうすんのよ?」
カジェタノ「それは拠点を作るしかないね」
Lumen Arkは大小さまざまなハンドクローラーの量産を開始した。活動資金の援助は『Lv.BEYONDER』が行っている。
もちろん組織を作ったエルディオスの街を運営するAIレイナもたくさんの資金を提供しているのだ。
仮想オフィスに集まっている仲間はそれぞれ国が違うが心は一つだった。
ラファエラたちが作った疑似現実ではハンドクローラーを使った戦闘シュミレーションやネオグライドの練習が行われた。
さらにコニック博士は旧式のアンドロイドをたくさん買い付けて策を練る。
SSBRの拠点があるアメリカの近くに廃墟となった工場を借りて、そこでハンドクローラーの量産とアンドロイドの改造を行っている。
コニック博士が指揮を取り、10人の仲間がそれを手伝った。
アンジェリカはネオグライドで活躍する選手のスカウトを活発に行うようになり、『Lv.BEYONDER』以外のチームもLumen Arkに加わった。
『A・I・W』と『戦術研究所』、『The Blind Lamb』が快く組織へ加入してくれた。
すべてはSSBRが企てる『ANGEL DESCENT計画』に対抗するためである。
――― SSBR研究所 ―――
『ボコボコッ』溶液の中で泡が浮かび上がる。
瓶の中には人工脳が入っている。その半分以上がメカニカルな機器で覆われている。
ドミンゴ博士がタブレットの情報を人工脳へ移し替える作業を行う。
ドミンゴ博士「このデータを不具合があったアンドロイド07に移植しよう。フォーマットしたアンドロイドに入れるにはちょうどいい」
深夜に電気が消された研究所の片隅でドミンゴ博士だけがそこに居る。
――― 一週間後 ―――
SSBRの5階、ブルック専用オフィスにひとりの男がやってきた。勝手にドアを開ける。
クロップ課長「誰だ?勝手にドアを開けた奴は?ちゃんとノックしろ!」
無法者を怒鳴りつけるが男は気にせずにクロップ課長の前に立った。その顔には見覚えがある。いや、忘れるわけがない。ケネス・ブルックだ。
クロップ課長「ケ・・・ケネスなのか?」
言葉を詰まらせ、震え上がった。
「どうしてお前がそこに座っているんだ?」
容赦のない眼差しでクロップ課長を見下ろす。クロップは何も言えずにたじろいだ。ケネス・ブルックは、胸元から銃を取り出し引き金を引いた。
『ズバン!』
クロップ課長は、その場に倒れた。クロップ課長の秘書エリカ・メンデスが悲鳴をあげる。
「イヤァー!」
彼女は震えてオフィスの片隅にうずくまった。
ブルック専務はSSBR専用の部隊を呼び出して、クロップ課長の遺体を地下1階の研究所へ運ばせた。そして、何事もなかったかのように高級チェアに座る。
https://note.com/hiroumimetavarse/n/n87c6ae5bc567?app_launch=false
画像はnoteに置いています。




