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ブラック企業のホワイト支店  作者: マツグチラムネ
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第5話 処刑執行

登場人物


宮本→主人公

事務→何か怖そう

古田→人事担当

その他→同期

宮本「あー、結構かかっちまったなぁ。」


飛ばしに飛ばしたが、結局会社に着いたのは九時三十分過ぎだった。

俺はその辺の公園の近くに車を止め、会社へダッシュした。


なんとか会社に着いた俺は、受付でまずは入社式の案内を受けた。


宮本「すみません、入社式初日に遅刻してしまって。」


事務「いえいえ、そーいう事なら仕方ないですよ。気にしないでください。」ショニチカラチコクトハイイドキョウダナ


宮本「ん?何かおっしゃいましたか?」


事務「いーえいえ。なんでありません。入社式は今三階の会議室でやっていますので、早く行ってください。」


宮本「はい、分かりました。」


俺は事務さんに案内の説明を受けると、受付の場から逃げるように三階の部屋までの階段へと向かった。


この本社、去年面接を受けに行った時には余り感じなかったのだが、事務所の中がとにかく暗くかった。

人はいるのだが会話が一切無く、どこか重ただしい空気が流れている感じがしてしょうが無かった。

さらに気になったのが、ほとんどの社員が十年ぐらい前の古いパソコンを使っていたり、ボロボロに近い椅子や机、印刷機を使っていたりと事務所全体がかなり貧しそうな感じがした。


そしてどの人も生気を失ったような目で俺を見ていたのが何より怖かった。


宮本(あーやば。一階のオフィスの人達かなり俺のこと睨んでたぞ。すげー殺伐としてたし。これメンタル弱い奴この場で一気に死ねるんじゃないか?てかなんであんな静かなの?企業って普段はもっと電話とか打ち合わせとかしてるもんなんだと思っていたけど。)


そう不思議に思いながら階段をのぼり、気づけば入社式が行われている会議室の前まで着いてしまった。


俺はドアの前で考えた。


あの会議室にどんな感じで入ればいいのかを。

ただでさえ遅刻をやらかしているのだ。

普通に謝りながら入っても絶対何か言われるに違いない。

とかいって何もなかったかのように入るのはもっとヤバイだろう。


どうすればいいものか…考えた末俺は一つの結論を出した。


宮本(よし、ここはいっそのこと開き直って大きな声と明るい笑顔で入ってやろう。イメージ的にはまだマシかもしれないだろう。)


そう決心した俺は、いざドアノブに手をかけた。


宮本「おはようございます‼︎本日入社の宮本と申します‼︎初日から遅刻してすみませんでしたーーー‼︎これからよろしくお願いしますーーー‼︎」


『……』

『……』

『……』

『……』

『……』

『……』

『……』

『……』

ヒソヒソヒソ オイ、アイツタシカ…


スゲーオレニハムリダ


オイ、ミロ。ジンジノカオ


会場は静寂につつまれ、微かなヒソヒソ声が飛び交った。

そして皆の視線は俺に向けていた。それはそれはなんとも言えない表情で。


宮本(あっ、絶対すべった。皆さん呆気に取られているもん。やめて、そんな目で見ないで。

えっ、何この空気。イヤダ。)


この空気をどう切り抜ければ良いか分からずその場でたたずんでいると、かなりのドスの効いた声が一番前の席の方から聞こえてきた。


古田「…今までいろいろな新入社員を見てきたけどお前みたいなのは始めてだよ。このクソバカやろう。」


宮本「⁉︎」


凄まじい殺気を感じこの声の方向へ振り向くとそこにいたのは面接の時俺を採用してくれた人事担当の方だった。

教壇の前で立っている人事は面接の時に見た優しそうな笑顔とは一転、震えるぐらいのかなり怖い顔で俺を睨んでいた。


宮本(あっ、人事キレてる…。ヤバっ。)


古田「とっとと座れこの馬鹿野郎‼︎お前初日から遅刻とは社会人を舐めてやがるなぁ?まだ学生気分でいやがる、このゴミが。ありえんぞこんな新入社員‼︎」


宮本「ひぃぃぃぃ、申し訳ございませんー!」


あまりの怖さに俺はすぐに謝ったのだが、人事の怒りはこれで治まる事はなかった。


俺は一番前の真ん中の席に座らされ、そこから俺に対する罵詈雑言のオンパレードのお説教が始まった。


今の時代には使ってはいけない言葉を吐きまくりの、罵声と怒号のダブルパンチといったところだ。


この光景を目の当たりにして、同じく新入社員の同期達はめちゃめちゃ俺にキレている人事に引いており、そして俺には哀れみの視線を送っていた。


宮本(うわーやばいやばい……めっちゃ怒ってるし……そして皆さん、そんな視線を送らないでくれ。あっ、もー知ーらない。)


今のままではこのお説教を耐えることができない。俺は心を無にすることにした。

そして人事のお説教は、長々と続いたのだった。


お気の毒に………

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