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ブラック企業のホワイト支店  作者: マツグチラムネ
32/35

第30話 現場搬入

宮本→主人公

高橋→配送マン

多和田→営業マン

部長→営業マン

先方→この視点の客


先方「はぁ…はぁ……。まぁいい、多和田!さっさと搬入しとけよ!!!」


多和田「……分かりました」


先方「何だって⁉︎聞こえんぞ!!!何か言ったか⁉︎」


多和田「いえ!!!何でもございません!速やかに搬入致します!」


宮本(怖えよ。先方さん、物凄く怖えよ……)


こうして衛生陶器他キッチン等の機器類の搬入が始まった。

先方さんのお説教が思いのほか長く続き、時刻は既に6時を回ろうとしていた。


実に長い長いお説教だった。本当にまぁ、自分でもよく耐えたもんだと思う。てか先方さん、本当にマジで怖すぎでしょ。声はデカイし、癇癪の起こし方が尋常じゃない。自分の車を躊躇せずにガンガンと蹴りを入れていた時は、次は自分達が蹴られるんじゃないかと思った程だ。


高橋「おい、さっさと搬入しようぜ。流石にさっさと終わらせないと、これ帰るのだいぶ遅くなるぜ?」


高橋さんはそう言うと、トラックの両側面を外し、衛生器具を手に取り、現場の建物内へと入っていった。


4月とはいえ、この時期はまだ若干陽が沈みかけているため、薄暗く感じる。

確かにここでタラタラと搬入をしていたら時間はかなりかかるだろう。何としても陽が完全に落ちるまでには搬入を終わらせたいものだ。


俺はそう思い、一心不乱に重い重い衛生器具を持ち上げ、現場の建物内へと足を運んだ。


宮本(へぇ、結構広い建物だな)


機器類を持ちながら辺りをキョロキョロと見渡した。一体ここはどういう建物なんだろうか?


少し気になり、近くで塗装をしている職人さんに聞いてみる。


宮本「すみません、此処って一体どういう建物何ですか?」


職人「…………」


宮本(あれ?)


宮本「あの〜すみません……」


職人「…………」


宮本(無視かよ!)


どうやらこの職人さんは人見知りが激しいのだろう。そうに違いない。恥ずかしさと若干の居た堪れなさに苛まれ、俺はそそくさとその場を離れた。


でもやはりこの建物が本当に何なのかは正直気になるところだ。俺は多和田さんに聞いてみることにした。


宮本「多和田さん!」


多和田「ぜぇ、ゼェ、ゼェ……。何?」


多和田さんは汗いっぱい流しながら、苦しそうな顔をして振り向いた。

どうやら多和田さんの体力が限界に近づいているみたいな感じだ。

どこからか多和田さんの顔からは血の気がなくなり、少し真っ青な顔色になっていた。


宮本「ここってどういう建物何ですか?」


多和田「あぁ……そういや言ったなかったね。ここはね……デイサービスセンター何だよ…ゼェ、ゼェ、ゼェ…」


宮本「あっ、そうなんですね。へぇーこんな所に建築していたんだ。すげーな」


それから搬入作業を続け、小1時間が経過しようとしていた。


何とか小物類の機器類や衛生器具の搬入は無事終えることが出来た。あとは大型のキッチン数台のみ。


あと少しだ!俺はそう思い、今一度気合を入れ直した。だが、そんな俺とは反対に、多和田さんと高橋さんはその場でしゃがみ込み項垂れていた。


どうやらこの御二方は限界のようだった。


しかし状況は悪いことに、既に現場で作業をしていた別の職人達や、今回の先方さん達はとうの昔に帰ってしまっていた。


搬入をしていた時、先方さんの言葉を思い出す。


先方『俺たちはもう帰るから、最後の鍵閉めだけ頼むぞー!んじゃ!』


こうして今この現場には、俺と高橋と多和田さんの3人だけとなっていた。


あぁ、もう2、3人ぐらい人がいたらなぁ……


そんな事を思うのだが、今この時ばかりはそれは叶う事はない。仕方ないと割り切り、おれは二人に声をかける。


宮本「多和田さん、高橋さん!あと少しですよ!頑張りましょ!」


多和田・高橋「無理」


宮本「へっ?」


高橋「無理って言ったんだよ!もう力残ってねえよー!!!」


多和田「隣に同じだ。俺も流石にもう疲れたよ……。とほほ……こりゃ帰るの遅くなるなぁ」


ヘロヘロな二人。なんて声をかけてやればいいか分からず、俺は天を仰いだ。


宮本(出勤初日からいきなりこうか……)


そんな事を思っていたその時だった。


突如現場に大型のハイエースが1台やってきて、運転席から大そう元気な声が飛んできた。


部長「おーい!!元気かー!!!」


丸岡「おうおう、多和田さんと高橋さん、ダウンしてるよ笑笑」


川西「ほーんとだ笑。おーい立て!助けに来たぞー!」


現れたのは部長を含む岐阜支店の男性人の皆さんだった。


多和田「部長!何でここに⁉︎」


部長「なかなか帰ってこねぇから心配して来てやったんだよ!おいさっさと立て。早はよ終わらせて帰るぞ!」


高橋「部長マジ神」


宮本(やったー!これはありがたいぞ!)


こうして優しい援軍が助けに来てくれたおかげで、無事搬入を終わらせることが出来た。


時刻は20時を回ろうとしていた。


多和田「部長、本当に助かりました。申し訳ないです」


部長「なんのなんの。『助け合い』これが大切なんだ。宮本もちゃんと覚えておけよ」


宮本「はい、分かりました」


助け合いかぁ……そうだよな。一番大切だよな。


俺は薄らと見える星空を眺めながら、そう思った。


助け合いは本当に大切です。

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