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ブラック企業のホワイト支店  作者: マツグチラムネ
15/35

第14話 ブラック企業の会社説明

登場人物


宮本→主人公

古田→人事担当

藤原→同期

森本→同期

石川→同期

山口→同期

笠原→同期

古田「えーでは今から松黒商事の就業規則、会社概要についての説明させていただきます。

まず、我が社の業務内容についてです。ではスクーリーンをご覧ください。」


ついに会社概要が始まった。

簡単に説明すると、この松黒商事という会社は衛生器具をメインに取り扱っている商社らしい。


衛生器具とは皆さんもご存知の通り、キッチン、お風呂、トイレなどだ。また、水道、建築、コンクリート、塗料など、建築現場で使用する材料も大幅にかねそろえているまさに「◯ーマ」みたいな会社だった。


支店も現在14店舗立ち上げており、東は静岡、西は伊勢までと幅広く支店が広がっており、主に中部地方をメインにしている商社みたいだ。そして割と歴史は長いようで、今年で75周年を迎えるとのことだった。売り上げも毎年200億以上の実績を誇っているとのこと。この話を聞くと割とブラックという言葉が吹き飛ぶぐらいのすごい会社なんだなと思った。


古田「えー以上で会社概要の説明を終わりにします。では次は就業規則の説明に入ります。では再びスクリーンをご覧ください。」


宮本(多分ネットの口コミ通りなんだろうな…)


そう思ったが、コレに関しては想像を絶する内容だった。

簡単に説明すると次のとおりだ。



・就業時間 AM7:00〜PM22:30

・有給   年5回(ただしよほどの時に限る) 

         例 葬式、事故、病気など

・給与   男性 35万以上 

      (売上成績により大幅減俸の可能性有)

      女性 30万以上  

      (売上成績により大幅減俸の可能性有)

・通勤費  無し

・賞与   年一回  

      (各支店の成績順で金額変わる)

・昇給   年一回  (ただし売上成績による。)

・住宅補助 無し

・福利厚生 2年に1度社員旅行

・注意事項 遅刻 (減俸) 無断欠勤(当月給与無し)

      タイムカードの押し忘れ→無断欠勤欠勤扱いとなる。

・退職金  勤務年数35年以上の者のみ支給

・年間休日 71日

・退職事項 男性 十年以内の退職で違約金30万円

      女性 五年以内の退職で違約金25万円

(ただし女性のみ結婚、妊娠、出産等の理由で有れば免除)

                                     


宮本(口コミ以上の内容じゃねーかー‼︎)


最悪だ。これは口コミ以上のところじゃない。もう社員を殺しにかかっているとでも言っていいくらいだ。えっ、マジなんなのこの会社、完全実力主義のブラック企業じゃねーか。てか年間休日少な!まじで週休2日制とはなんなんだよ。


俺の心はもう絶望の気分だ。


まじでこれは狂ってやがる。今思えば馬渕の行動は正しかったのかもしれない。俺は天を仰いで、なんとか自我を保つのに必死だった。


他の同期達は皆この説明を聞いてどう思っているのだろうか。なんとなく左隣の藤原さんを見てみた。


藤原「………」チーン。シロメギョロリ。


藤原さんは再び気絶していた。


宮本 (もう相手にするのはやめよう…)


そう思った矢先、今度は後ろからぶつぶつと何かおかしな声が聞こえてきた。


「…す…す…す…」ガリガリガリ


?と思い後ろを見てみると山口が何やら震えながら紙に何か書いている。


宮本「おい、どうした?」ヒソヒソ


山口「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す…」ガリガリ


現実逃避がおかしな方向へ行ったのだろう。山口は紙にそう書きながら永遠と小声で呟いていた。

そしてその隣に座る笠原は力の抜けたぽけーと生気のないアホみたいな顔をしてスクリーンを見ていた。彼もまた、おそらくこの会社の内容にもう精神が追いついていないのだろう。口がポッカリと開いていた。


グズン、グズン


宮本 (今度は右隣か…また森本さん、半泣きになっているのかな)


そう思ったがそれ以上だった。


森本 (…………)ナミダダーダー

石川 (…………)ナミダダーダー


森本と今度はその後ろに座る石川までも泣いていた。そして俺はドン引きした。涙の量が半端ないのだ。彼女達は人間が絶対に出せないぐらいの量の涙をダーダーと流し、ついには鼻水までも垂れ流しだ。そのせいで彼女達の座っているもう机なんてべちょべちょだ。


宮本 (こいつら、めちゃくちゃ泣いてるじゃん。あーあー机が…汚ねーなー。)


もうどうやら同期達は皆精神が崩壊しているようだ。まぁ、分からなんでもない。もう彼らの様子を見て俺は苦笑いをするしかなかった。


宮本 (皆全滅か…どうやらまだ保っているのは俺だけみたいか…いや、笑ってる時点で俺もおかしくなってるかもな。)


そう思ってた時ふと気づいたことがあった。


宮本 (あっ、そういえば山本さんは大丈夫なのか?流石に彼女はこいつらみたいになってないといいが…)


まだ山本さんの様子を見ていなかった。『なんとか山本さんだけは普通でいてくれ』そう思い、藤原さんの後ろに座る山本さんの方向へチラッと振り向いた。


山本「ふふふふふふふふふふふ、やっぱり此処は最高だぁ。)ニタァ


宮本 「え"っ」


俺は驚愕した。

山本さんは笑っていたのだ。なんとも恐ろしい笑顔で。そしてたいそう嬉しそうに。


宮本 (山本さんまさか….….ドMだったのか。)ガーン


かなりのショックだった。

あんなに可愛い山本さんがまさかあんなんだとは。


でも俺はハッと気付き、彼女のあの様子をみて納得した。何故名徳大という国立大を出ている彼女が此処を選んだのか。


もう答えは一つしかない。ドMだから就活でこれから毎日苦痛を味わえるブラック企業をわざと探して選んだんだ。きっと彼女は俺とは違う次元を見ているのかもしれない。


宮本 (馬渕…お前が正しかったみたいだよ…)


常軌を期した超ドブラック企業。そして精神崩壊した同期達、そして変態。

もう俺は逃げ場を失ったようだ。



給料だけが救いかね?

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