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ブラック企業のホワイト支店  作者: マツグチラムネ
13/35

第12話 社長登場

登場人物


宮本→主人公

社長→この会社の社長(やべー奴)

森本→同期(短大卒らしい)

藤原→同期

社長「はい皆さん、こんにちは。」


新入社員達『えっ…⁉︎』


社長の姿を見てかなり驚いた。

見た目はまだ三十前半ぐらいのいかにも青年という感じだったのだ。


正直五十代ぐらいのおっさんが出てくるものだと思っていたので、まさかこんなにも若いとはかなり驚きだ。そして社長と言うことなのだろうか、身につけているものはかなりのブランドもんばかりだった。腕時計もスーツも靴もネクタイも。


俺は社長の身につけているものに釘付けになり、まじまじと観察していた。


宮本(おお、あれがロレックスというやつなのか…すげぇ。)


社長「あの…君から凄い視線を感じてるんだけど何か?」


どうやら俺の視線があまりにもキツかったのだろう。社長は少し苦笑いをしながら俺に話しかけてきた。


宮本「はっ⁉︎ すみません、凄いモノを着けてらっしゃるなと思いまして。」


社長「はははっ、そういうことか。君も頑張ればこのくらい稼げるような社員になれるよ。頑張ってね。あっそうそう、今日は大変だったね、みなさん。取り敢えず席に座りなさい。立ちっぱなしも大変だろう。」


おい、まじか。この社長中々の優男じゃないか。顔もまあまあいいし。


俺は思った。

あんな優しそうな人がなんでこんなブラックな経営をしているのかと。

そんな事を思っている俺とは別に社長の挨拶が始まった。


社長「えーっ、ではみなさん、この度は我が松黒商事にご入社されたということで誠に喜ばしい限りです。本当にありがとうございます。この会社に入社された貴方達は幸運ですよ。松黒商事はひじょ〜にアットホームな会社で、社員一人一人を大切にする素晴らしい職場です。給与もその辺の企業に比べれば格段と差があるでしょう。しかし先程人事の古田から聞きましたが、今回の件は誠に残念な限りです。三十五名の新しい若い力を採らせていただいたのですが、まさかまさか今日の午前中でわずか7人になってしまうとは…この話を聞いた時、私はもう頭がおかしくなりそうになりましたよ。この古田をどれほど叱り付けたことでしょう。見てください。もう私の右手はこんなに真っ赤に腫れ上がってしまいました。本当に今の若い人はどういう考えを持っているのか不思議でしょうがありません。本当に、本当に‼︎‼︎‼︎実にふざけている‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎我々はこの裏切りを決して許しません。必ずや途中で帰宅した奴らに処罰を下します。絶対に‼︎‼︎‼︎…おっと、失礼しました。話が脱線しましたね。まぁ、あなた方は気にしないでください。ゆっくり地道に一歩一歩学び、立派な社員になっていただくよう、我々は熱心な教育をしていきますので。えー、本日は本当にご入社おめでとうございます。私達と一緒に大きな夢に向かって頑張りましょう。ありがとうございました。」


パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ


社長の話が終わると、人事を含め後ろに集まった幹部?や社員達が一斉に拍手をしだした。

それもかなり大きな音を出している。そしてそれにつられ、俺たちも拍手をした。


うん、この社長……


怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い


前言撤回だ。

この社長が一番ヤベー奴だ。マジかマジか、人事の顔をあんな風にしたの社長なのかよ。怖すぎんだろ。


やはりここはブラック企業だという事だけは本当によく分かったよ。


社長の話が終わると、後ろにいた社員達が今度は会社概要の説明とのことで、ホワイトボードをスクリーンに仕立てて映像での説明をする準備を始めた。


あーあ、本当俺のこれからの人生どうなるんだろう…そんな事を思っていた時だった。


……グスン、グスン、ズピー


宮本(?)


どこからか微かに鼻を啜るような音が聞こえてきた。

俺はその音の方へ目をやると、右横の席に座る森本さんが震えながら半泣きになっていたのが見えた。


宮本(コイツ…泣いてやがる!)


泣くんじゃねぇよ、お前。さっきまであんなに陽気に会話を楽しんでいただろ。


森本さんはなんとか表情だけは変えまいと頑張っていたのだろう。かなり握り拳に力を入れていたのが見えた。しかしそのがんばりもついには限界を達したのか、彼女の左眼からは涙がツーっと流れ出ていた。


すると俺の視線を感じたのか、森本さんは半ベソな小声で俺に話し出した。


森本「ねぇ….宮本クン…、私も今から逃げてもいいかな……?」


宮本「おい、バカやろ。ここで逃げたらお前殺されるぞ。」


森本「うぇ〜ん…この会社怖いよ〜」


宮本「泣くなよ……お前二十二だろ?もう少しだけ耐えろよ、気持ちは分かるけどさ。」


森本「…私短大卒のハタチだから多分泣いても許されると思うだよね……」


宮本「屁理屈言うな。てかお前短大生だったのかよ。」


森本「……うぇ〜ん宮本クン意地悪だ~。…それより宮本君の左隣の藤原さん、なんかさっきから背筋がぴーんってしててキモいんだけど…あれ何なのですかね?」


宮本「へっ?」


森本さんにそんな問いを聞かれた俺は、左隣の席に座る藤原さんの方へ振り向いた。


そしてびっくり仰天。

森本の言った通り藤原さんは背筋をぴーんっと張りながら白目を向いて微動だにせず座っていたのだった。


宮本(えっ…どういう事…?どうしたの、この人。)


その姿があまりにもキモかったので、藤原さんにヒソヒソと声をかけた。


「藤原さん、藤原さん、社長の話が終わりましたよ。どうされました?」


藤原「……………」


声をかけてみたが藤原さんはうんともすんとも返事を返してくれなかった。


俺はすぐに気がついた。そう、今この人……気絶しているのだった‼︎


あぁ……どこかにホワイト企業はないだろうか。

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