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第十二話 圧倒的な力

あの男が去ってから、少し間。

その後、受験生たちが一斉にざわつく。


「80って……高くないか?」

「だよな。普通は50前後だろ……」

「合格……できるのか?」


不安と焦りが混じった声が広がる。

だが、試験は待ってくれない。

それは、いつの時代でもそうだ。


「順番に来い」


試験官らしき男が、淡々と告げる。

最初の受験者が前に出る。

震える手で魔石に触れる。

結果は――60


「次」


無機質な声。

落胆した表情で、その受験者は列を外れた。

そして次々と向かう受験生達。


――75

――82

――68


明暗が、はっきり分かれていく。

空気が、どんどん重くなる。


「……次」


呼ばれたのは、あの貴族の少年だった。


「ふん」


余裕の笑みを浮かべながら前に出る。

魔石に手を置く。

表示された数値はーー224

ざわっ、と空気が揺れた。


「さすがだな……」

「貴族様かよ……」

「血には勝てねーか」


少年は満足げに鼻を鳴らし、ちらりと俺を見て、わざと聞こえる声で呟く。


「これが“実力”だ」


そう言うと、少年は列から離れていった。

(……めんどくさ)

心の中でだけ呟く。


「次」


ついに呼ばれた。俺の番だ。

一歩前に出る。

周囲の視線が、一気に集まる。


「……平民か?」

「バイロン卿が連れてきてたやつだろ」


ヒソヒソと声が飛ぶ。

俺は一切気にしない。

魔石の前に立つ。


(……これ、どうなるんだ?)


正直、分からない。

剣だった頃と今では、魔力の“扱い”が違う。

キーナの魔力も換算されるから、どうなるかわからない。

とりあえず俺は魔石に触れる。

手を置いた瞬間。

――バチッ

小さな音と共にプラズマが散る。


「……?」


次の瞬間、魔石の表面にヒビが走る。

おい、待って。まさか……。


「……え?」


試験官の声が漏れる。

数字が表示される……はずだった。

だが、何も出ない。

その代わり、「ギギギギギッ」と魔石全体が、軋み始めた。


「まずい!!離れろ!」


試験官が叫ぶ。

俺はすぐに手を離す。

次の瞬間。バンッ!!と音が鳴る。

小さく、だが確かに爆ぜる音。

魔石の一部が砕け、破片が床に転がった。

少しの静寂が訪れる。だが、誰も声を出せない。


「……測定不能、だと……?」


試験官の呟きで、その空気は少しだけ戻る。

バイロンが、少しだけ口元を歪めた。


「やっぱり、ね。やはりか」


小さく、そう呟く。

一方、周囲は完全にざわついていた。


「壊した!?」

「ありえないだろ……」


そして、あの貴族の少年だけが顔を歪めていた。


「……なんだ、それ」


理解できないものを見る目。この目は、キーナが仲間に向けられていた時と似たような色だった。

そして、俺は手を見つめる。


(……多すぎる、ってことか)


感覚的には分かりはする。

そう。抑えきれていない。


「……次の試験に進め」


試験官が、やや引き気味に言った。

あらら、これは明らかに“例外扱い”だ。



「第二試験。魔法命中試験」


第一試験に合格した者だけが、別の場所へ移動する。

そこは、森の中の開けた空間。

一直線に並んだ的。


「距離は、150メートル」


試験官が淡々と説明する。


「魔法で的にあてろ。そして、威力を測定する。それだけだ」


試験監の言葉に、周りがまたも騒つく。


「流石に、遠くねーか?」

「当てるだけでもむずいだろ……」


そうこう言いながらも、受験者たちが順番に並ぶ。

そして、打ち出す魔法の数々。

第一段魔法の火球や風刃。そして、氷槍。

様々な魔法が飛ぶ。

勿論、当たる者もいれば外す者いる。

当たっだのでも、的は基本“壊れない”。


「硬っ……!」

「これ、普通じゃ無理だろ……!」


批難する声が受験生達から上がる。


(……なるほどな)


ただ当てるだけじゃない。

威力も見ている。


「次」


そして、俺の番が巡ってきた。

ゆっくりと前に出る。

深く、息を吸う。


(……派手なのはダメだな)


さっきの魔石で、もう十分目立ってる。だが、良くも悪くも、神父の言葉を俺はこの時思い出してしまった。「妥協せずにやりなさい」という言葉を!!


(いや!もっと派手に行こうか!!)


勢いよく、手を前に出す。

皆に聞こえるように、大きな声を出して言う。

今回使う魔法は、いつも使っている"斬シリーズ"では無い。

キーナが昔開発して、俺だけに見せた技。


空間(ディメンション)!」


その言葉は、宣誓だった。

地面が揺れ、地面には巨大な魔法陣が現れる。森の半分が囲われる程の大きさだ。

大きさまでも完全再現……とまではいかないが、発動はできる。


総じて消去(オール・リジェネクト)!」


直後、衝撃は……なかった。その代わり、消えた。

そう。初めから何も無いように、そこには何も無い。

地面も、森も、的すらも、全てが抉り取られたように消え去っている。

まるで、神がそこの存在を消したかのようだ。


「……は?」


試験官の声が、また漏れる。


「今、何を……」


周囲も理解できていない。

だが、ただ一人。

バイロンだけが、理解していた。


「……空間削除かな?やっばいね」


そう、小さく呟く。

貴族の少年は、完全に顔を引きつらせていた。


「ふざけるな……」


その声には、さっきまでの余裕はなかった。

俺は手を下ろす。


(……こんなもんでいいだろ)


静かに、息を吐いた。

明日、書けきれれば投稿します

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