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ログホライズン外伝if ~1人で行う世界制覇~  作者: 夜の狼
第4章 -そして、世界へ向けて……ー
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ラストバトル

今回は、いわゆるラスボスである「九なる庭園のウル」との戦闘になりますが、完全な想像であり創作です。

 アンジェロは、ボス特有の特殊攻撃でしばしば大ダメージを受けながらも、「九なる庭園のウル」に対して一歩も退かない戦いを展開していた。

 ウルの攻撃は光を使ったものが主であり、非常に高速で仕掛けて来る為に回避が難しかった。しかし、アンジェロは自身に備わった回避スキルも駆使して、良く攻撃を見切って受けるダメージを減らしていた。

 魔剣のお陰で属性値や魔法防御力が上昇している事もあり、避けられない全体攻撃で5割を越えるHPを失っても耐える事が出来た。

 しかし、ウルのHPがおよそ半分くらいまで減少した時、別のモードへ移行したのだが、何とそれはアンジェロが予想だにしなかった事であった。

「宙に浮いた……!?」

 まさに姿通りの天使のごとく、ウルが宙に浮かんだのであった。

「ちょっと待て、そんなのアリか!?」

 さすがのアンジェロも、呆然ぼうぜんとしながらその姿を眺めていた。

 ウルはそんなアンジェロを眼下に見ながら、特殊攻撃のモーションに入った。

「おいこら!こっちは手が出せないのに卑怯だぞ~!!」

 アンジェロはそう言いながら、必死で攻撃の範囲外へ逃れようと走った。しかし、間に合わずウルの特殊攻撃の直撃を受ける。光に焼かれて全身から白煙を上げながら、アンジェロは辛うじて立ち上がる。

 アンジェロは、たった一撃で甚大なダメージを受けた。

「ウソ……だろ?」

 アンジェロのHPゲージは、およそ7割が吹っ飛んでいた。これを始めとしてウルの攻撃は魔法扱いなので、物理防御力を無視という特殊攻撃だ。こんなものをまともに喰らったら、普通の冒険者--特にHPの低い後衛職--だと即死で当たり前の大ダメージだった。

 しかも、特殊範囲攻撃なのでほぼ必中の上、物理防御ではなくて魔法防御力依存なので、守護戦士には少し不利な相手でもある。

 アンジェロは魔剣の効果で魔法防御力も上昇しているものの、ウルから受けたこのダメージはさすがに無茶苦茶である。

「じょ、冗談じゃないよ!」

 アンジェロは大慌てで部屋の外へと一時的に退避した。幸い、ウルは範囲攻撃の余韻の硬直時間中で少しの間だけ行動出来無い。

 部屋の入り口の大扉をくぐって通路に出ると、そこで手持ちの薬品を使って臨時に回復するつもりだった。幸いな事に、ウルは自らの持ち場である部屋からは出ようとしなかった。

 しかし、扉を出たアンジェロは、さらにそこで別のとんでもないものを見た。

「な、何じゃこりゃあ!?」

 そこには、ルセアートが自分攻撃セルフアタックによって生み出した、影の戦士がひしめいていたのだった。ざっと見て30体くらいは居るだろうか。

「やむをえないな」

 アンジェロは、とりあえず影の戦士を始末にかかった。しかし、同時にそれで失ったHPを回復出来るので、悪い事では無かった。有り難い事に、攻撃力はそこそこ高いがレベル的にはだいぶ劣る影の戦士を倒す事は、アンジェロにはそう難しくは無い。けれど、さすがにレイド雑魚ザコなので通常攻撃の一撃では倒せない為、やむなくアンジェロは「クロススラッシュ」を使用した。この技は、1回の攻撃で2回斬りかかる守護戦士のスキルである。2回斬る事で通常攻撃より高いダメージを出す事が出来る。レイドのザコとは言え、レベル70後半程度の影の戦士は、アンジェロが放つクロススラッシュの一撃で倒された。

 しかし、いかんせん数が多い。ルセアートが生み出し続ける影の戦士は、倒した端から狭い通路へ後から後からと雪崩なだれ込んで来る。

 最初は1体から生み出された影の戦士は、鼠算ねずみざん的な数で増殖する。しかし、自らを攻撃する手駒として常に半数がルセアートの元に残る為、さらに数を増やしてやって来るのには時間があった。

「くそう、きりが無いよ~」

 アンジェロは、クロススラッシュで片っ端から影の戦士を倒しまくった。それによってルセアートはHPを回復するが、ルセアートのHPは約半分くらいまでは削ってあるし、自らを攻撃するという事はそのダメージも負う訳である。なので、実際にルセアートが影の戦士を完全に生み出すのをやめるのには、まだかなりの時間が必要だと思われた。

 アンジェロは、袋小路の行き止まりで溢れ返る影の戦士を倒し続けた。次の集団は32の倍で64体がやってくる計算になる。それに、クロススラッシュの連発でMPの消費も少し厳しい。

「もう、ふざけんな~!!」

 アンジェロは、怒りを込めて魔剣を横にいだ。その瞬間、刀身からブーメラン状の黒い光が連続で2つ発せられ、通路に居並ぶ影の戦士を全て真っ二つに切り裂いた。

「今のは、一体……?」

 アンジェロが驚いていると、

「口伝 半月斬ハーフムーンスラッシュ

 という表示が現れた。アンジェロは、ついに口伝を開眼したのだった。


「ん……、もしかしてこの口伝……」

 アンジェロは、口伝を覚えた事がうれしかったが、それよりもふと考えがひらめいて最後の部屋へ取って返すとウルに向き合った。しかし、その瞬間、再使用可能時間リキャストタイムが来ていたウルから、再び特殊攻撃が放たれる。

 アンジェロは、咄嗟とっさに再び扉をくぐると通路へと逃げ戻った。今回はぎりぎりで避けられたものの、殴り合いの戦闘中であればおそらく回避は不可能だろう。

 アンジェロは、また部屋へと入るとウルへ向かって半月斬を放った。

「やはり、そうか!」

 放たれた半月斬はそのまま空中を飛ぶとウルまで届いて命中して、そのHPを削る事が出来た。

「よし、上手く行った!」

 この第2段階のウルへの対処は、本来は集団戦闘を行うレイドのボスらしく、遠距離攻撃が出来る弓矢などの飛び道具や魔法を使う間接アタッカーの仕事になるはずだ。攻撃を受けた瀕死の盾役を回復しつつ、空中のウルを攻撃するのが作戦になるだろう。しかし、ソロであるアンジェロにはそれが出来無い為、本来はここで行動が詰むはずだった。けれど、アンジェロは開眼した口伝のお陰で、その問題を克服出来たのだった。

 だが、この半月斬にも当然ながら射程距離というものがある。扉付近の安全な場所から攻撃を繰り出して、特殊攻撃が来たら逃げると言う、都合の良い事は出来無い。

 さらに、当然だがこの口伝は戦闘技能スキルである。使えばMPを消費する。無制限に使用出来る訳ではないし、スキルの最終段階である口伝は、MPの消費もそれなりに多い。魔剣の効果で、アンジェロは戦闘中でも少しづつだがMPを回復出来る。しかし、それでもさすがに追い付かない。

 持っているMP回復効果のある水薬を、ほとんどがぶ飲みに近い形でMPを回復すると、アンジェロは再びウルとの戦いへと戻った。

 そういう訳で、現在重要なのはHPよりもMPである。減ったHPはウルの硬直時間中に通路へ逃げて、影の戦士を倒せば回復出来る。

 もっとも、影の戦士の親玉であるルセアートがHPを全快してしまえば、影の戦士を生み出す事をやめるのでそれも出来無くなる。

 水薬によるHPの回復量などたかが知れている。とてもウルから受けるダメージに追い付くものではない。それに、もたもた通路で時間をかけて回復していたら、同調リンクして「イブラ・ハブラ」などのレイドボスが応援にやって来るかも知れなかった。

「スカーレットナイト」の効果であるHP吸収は、直接攻撃でしか効果を発揮しない。「半月斬」は間接攻撃なので、いくらウルを攻撃してもそれでHPを吸収する事が出来無いのだった。

 アンジェロのMPと存在する影の戦士が尽きて、回復と攻撃が出来無くなるのが早いか、それともその前にウルのHPを削り切る事が出来るか、アンジェロは微妙な戦いを強いられていた。

 アンジェロが開眼した「半月斬」は、クロススラッシュの発展形であるので、斬撃を2連続で発する事が出来る。

 だが、相手はレイドボスである。これまでに何とか7割以上のHPを削ったと言っても、まだHPは数百万の単位で残っている。倒すには、まだ相当な回数の攻撃が必要だった。


 しかも、さすがに最終ラスボスだけあって、ウルの強さは半端では無かった。これがレイドチームなら下手をすればとっくに全滅も有り得るだろう。レイドボス3体の同調リンクによる、まさに三位一体の攻撃だけでも、並のレイドチームならとっくに崩壊して攻略をあきらめているところだ。

 これなら、例え秘密が漏洩しても攻略が成功するレイドチームなど、滅多にありはしない。シロエ達と同じ事をやって、それで攻略出来るとは限らないからだ。同調したレイドボスの攻撃をくぐり抜けたとしても、分散してり減った戦力のまま、この「九なる庭園のウル」が倒せるとは到底思えない。

 ただし、決して無理ゲーでは無い。どこかにクリアーする手段が必ずあるのがゲームだからだ。アンジェロが特別なだけで、普通の冒険者プレイヤーにも攻略を成功する手段が絶対に無ければならない。

 だけど、それを考えるのはアンジェロでは無い。攻略に来たレイドチームの仕事である。それに、当たり前だがアンジェロは攻略情報なんか知った事では無い。供贄一族との盟約があるので、シロエ達もそういった情報を解る様な形で残したりはしない。無論、ススキノのシルバーソードも同じ意向だ。

 アンジェロは、部屋と通路を往復するピストン戦法で、じわじわとウルのHPを削っていた。ウルの特殊攻撃は、ウルのHPが段階を追って下がる度にその威力を増しており、現在は一撃でアンジェロのHPの、実に75%程を削って行く。幸い、間隔にしてこれも180秒程の再使用可能時間リキャストタイムがあるので、通路に退避して回復してまた戻って来る時間を考えても、100秒以上は攻撃に専念出来た。

 しかし、アンジェロも「半月斬」の再使用可能時間があるので、通常攻撃と同じ感覚で使用する事は出来ず、結果的に時間辺りのダメージは減っているものの、そろそろ戦闘の終焉しゅうえんは見えて来たと言ってもいい。

「これで、終わりだあっ!!」

 アンジェロは、「頼みの力ラストリゾート」を発動して、さらに「無限大の一撃インフィニティスラッシュ」を使用した上で「半月斬」を放った。

 実に30倍の攻撃力を持った斬撃が2発、ウルに命中した。その攻撃で、ウルのHPは完全に削り切られ、ウルは全身を光に包まれてその姿を歪ませると消滅した。

「九なる庭園のウル」については、原作でも触れられていませんので、完全な想像で書いています。他にも何かございましたら、遠慮無くご意見をお願い致します。

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