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ログホライズン外伝if ~1人で行う世界制覇~  作者: 夜の狼
第4章 -そして、世界へ向けて……ー
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奈落の参道、再び

今回から、「奈落の参道アビサルシャフト」の、完全攻略に入ります。雑魚ザコだけでなく、いよいよボス戦もあります。

 アンジェロは、再び「奈落の参道アビサルシャフト」へと足を踏み入れた。今度は雑魚ざこ狩りではなくて、この大規模戦闘区域レイドエリアのクリアーを目指す為だ。

 今度の準備は相当な大掛かりになっている。まず、回復薬の数を大幅に増やした。今回はレイドボスも狩りの対象に含めるからだ。

 しかし、薬による回復は一度にそれほどの効果を見込めないので、数を使って量をカバーする作戦だ。その為に、いくつか用意した魔法の鞄のうち、丸ごと1つづつをHPとMPの回復薬用にしている。それぞれの鞄の中には、数百ものHPとMP用の回復薬がひしめいていた。

 アンジェロは、前回の探索において大体の雑魚の強さを把握したので、今回は一切の容赦ようしゃをせずに突撃した。

 多少のダメージは構わずに、出て来る雑魚を蹴散らしながら先へと進む。何せ、通常攻撃なら1パーティーで6回程度は必要なところを、アンジェロはわずか2回で済ませるのである。火力からして桁が違った。

 そして、いよいよレイドボスが潜むエリアへと突入した。今度はアンジェロもボスと戦うつもりだったし、何よりレイドボスを倒さないとそのさらに奥へは進めないからだ。

 最初のレイドボスは、「一なる庭園のヴァンデミエ」だった。周囲よりかなり高い、まるで巣の様に見える場所に構えていたが、アンジェロを発見すると羽ばたいてその眼前へと着地した。

 さらにヴァンデミエとの距離を詰めるべく、アンジェロはダッシュで駆け寄った。そして、当然の事ながら、攻撃範囲内に接近して来たアンジェロに対して、ヴァンデミエは範囲攻撃で迎撃して来た。


 守護戦士ガーディアンというのは、盾役、もしくは壁役と呼ばれる様に、文字通りパーティーの盾となり壁となって、敵の攻撃を一身に引き受けるのが役割だ。

 誰かの代わりに殴られるのが仕事である。もし守護戦士が敵からの攻撃を避けたり逃げる様な事があれば、その攻撃は他の仲間に向く事になる。そして、その仲間は大抵守護戦士よりは打たれ弱い中・後衛職である事がほとんどだ。

 よって、守護戦士は基本的に敵の攻撃は避けない。っと言うより避けられない。そして、守護戦士のスキルは、攻撃を喰らう事を前提としたものが多い。防御力を一時的に引き上げたり、受けるダメージの一部をカットするスキルが揃っている。

 しかし、アンジェロはソロプレイ中である為、誰も守る必要が無い。それが最大の強みである。つまり、避けようと逃げようと全くの自由という事になる。

 実際、アンジェロは突っ込む為に避けられない開幕の特殊攻撃ーー自分を中心として円状に広がる炎の壁ーーを「キャッスル・オブ・ストーン」で無効化した他は、通常攻撃を上手くらしたりいなすなどして最小限のダメージで済む様にしたり、ボス特有の特殊攻撃を避けたり逃げ回る事で、何とか直撃を食らわない様に回避しようとしている(逃げられない全体攻撃はともかく、対象が個別の場合は何とかなるのだ)。

 しかも、特性ビルド「スカーレットナイト」のお陰で、一撃で死亡しない限りは殴りながらHPを吸収して回復出来るのである。

 その上、持っている魔剣の特性により、HPとMPが自動で回復するというオマケ付きである。


 細かい事を考えると話が複雑になるので単純計算で考えるが、アンジェロは魔剣による通常攻撃ノーマルアタックのみで、1回あたりおよそ20000というダメージを叩き出せる。

 物理攻撃に特化した暗殺者アサシンでさえ、10000を越えるダメージを出すには、専用スキル「アサシネイト」が必要である。そして、これは当然ながらMPを消費するし、再使用規制時間リキャストタイムがある為に連続で使う事が出来無い。

 アンジェロの攻撃は通常アタックである為、それを上回るダメージを何の制約も無く当たり前に出せるのだ。


 仮に、10秒で3回の通常攻撃を出せるとするなら、2万×3回=6万ダメージになる。

 1分間だと6万×6回(=1分間は60秒なので、60÷10となる)=36万

 1時間だと36万×60回(=1時間は60分なので)=2160万


 さらに、これだけではない。30分に1回「頼みの力ラストリゾート」を発動させれば、強さは1分間だけ3倍になる。つまり、2万×3倍×3回×6=108万ダメージが、30分に1度与えられる。

 さらに、1時間に1回だけ発動が可能な「無限大の一撃インフィニティ・スラッシュ」によって、一度だけ与えるダメージが10倍になる。

 よって、2万×3倍×10倍=60万という、とてつもないダメージが一撃で追加されるのである。


 合計すると、大まかであるが、2160万+(108万×2)+60万≒約2436万という莫大ばくだいなダメージを、たった1人で1時間のうちに叩き出すのである。これでは、さすがのレイドボスでも裸足で逃げたくなるというものだ。

 ついでに言うと、この20000というダメージは、アンジェロの最大HPの数値をも上回る。スカーレットナイトによる与ダメージ割合吸収のHP回復量も、桁外れなものになるのだ。


 ヴァンデミエは、特殊範囲攻撃としてその広げた翼にある目の様な模様から、一定時間ごとに「即死」や「石化」といった、極めて厄介な効果のある光を放射するのだが、アンジェロには全く効果が無い。逆に、最大のチャンスとばかりに無防備になった隙を突いて散々に叩きまくるのである。

 しかし、一体どこの世の中に、レイドボスの範囲攻撃を浴びても平気な顔で攻撃を続ける冒険者が居ると言うのだろうか。

 他にも、同じ様に特殊攻撃として炎の嵐を起こしたり、突風を起こして吹き飛ばそうとするのだが、直接ダメージを与える攻撃と、物理的に何かしてくる特殊効果以外は、アンジェロには全て無効だった。

 しかし、これが後に意外と厄介になるのであった。ヴァンデミエはHPが半分を切った頃から、自分が最初に居た高台に飛び上がり、そこに陣取って動かなくなった。

 アンジェロはやむなく攻撃の為に、ヴァンデミエのもとへと続く階段状の通路を駆け上がった。本来は突風をまともに食らうと、その吹き飛ばし効果によって、ランダムで台座の下に突き落とされたり、その戦闘ゾーンそのものから強制移動させられたりするのだが、強制ゾーン移動はソロプレイヤーのアンジェロには無効だった。

 なぜなら、もしこの効果でボスゾーンから誰も居なくなってしまうと、戦闘が強制終了してしまう可能性があるからだ。そうなると、また1からボスと戦闘のやり直しになる。これは重大な不具合に相当するので、システム上で必ずある程度の人数はメンバーが残る事になっている。つまり、戦闘参加最低人数の1人であるアンジェロは居なくならない様になっている訳だ。

 なお、この突風はランダム効果なので、もちろん何も効果が無かったり無効化も出来る。だが、吹き飛ばされてしまうと、落下のダメージこそ喰らわないが、ヴァンデミエの所へ行くのに1つしか無い通路をまた昇らなければならない。

 ちなみにだが、一瞬で終わる吹き飛ばしは、移動速度低下や移動不可能になるなど、状態が継続する行動阻害やバッドステータスの弱体効果でも無いので、さすがの魔剣でも防ぐ事が出来無い。

 しかも、通路を昇っている最中に、ヴァンデミエから向かって来る炎の特殊攻撃は避け様が無い。何せ、1つしかない通路に沿って走り降りて来るからだ。

 突き落とされる→通路を登る→特殊攻撃を喰らう、というボスコンボは、さすがに単独ソロプレイのアンジェロには面倒くさかった。

 けれど、それさえ除けば自身の最大の攻撃すらあっさりと無効化された、「一なる庭園のヴァンデミエ」は、1時間程度の戦闘でアンジェロの前に敗れ去った。

「さすがにHPを削るのと、落とされていちいち階段を昇るのは面倒だったけど、意外とあっさり倒せたな。これなら、前に来た時に倒しても良かったかな」

 ヴァンデミエが残した財宝--大量の金貨の山と、それに埋もれた希少レアアイテム--を目の前にしながら、アンジェロはそう言った。

 ちなみに、アンジェロは単独ソロなので、同時にレイドリーダーも兼ねている。その為に、入手したアイテムの分配と仕分けする為に専用のリストが表示される。

 リストを見ながら、アンジェロはドロップしたアイテムの仕分けをすると、空き部屋になったヴァンデミエの住処すみかを後にした。


 次は、「五なる庭園のエルレイーダ」が相手だった。 このレイドボスは、巨大な半透明の水色をした液体の固まりが、女性の人型を模した姿をしている。

 自身の攻撃はさほどでも無いが、自分の姿と似た様な「水精霊ウンディーネ」を召喚して、共に戦わせるのである。

 しかし、アンジェロに対してはその手段が逆に仇となり、攻撃の手数を増やすどころか逆に格好の回復手段を与えてしまっていた。

 ダメージを受けても、アンジェロは召喚された水精霊を倒す事で、スカーレットナイトの特製でHPを吸収してしまうのだ。

 エルレイーダには、豊富な攻撃手段はあっても圧倒的な火力が無い。ほとんどパーティープレイに対応した様な嫌らしい行動パターンも、ソロ特化のアンジェロには無意味だったからだ。

 特殊効果を含んだ広く浅い範囲攻撃も、ダメージの低さからアンジェロには気になる程の致命傷は与えられない。さらに、その特殊効果も全て無効化されてしまっては、戦いやすい相手になってしまっていた。

 こうしてアンジェロは、「五なる庭園のエルレイーダ」も撃破する事が出来た。レイドボスが巨大な水玉となって弾けた後には、大量のお宝が残されていた。

 しかし、アンジェロは金貨以外の物を入手しようとはしなかった。何せ、レイドゾーンで得られるお宝アイテムの中で、装備品は極めて高い価値や性能があっても基本的に取り引きが出来無いからだ。簡単に言うと、競売所マーケットはおろか、直接取り引きなどでも売買する事が出来無い。無論、ただ渡す事すら不可能である。

 一度分配権利のあるリーダーによって、参加メンバーに渡された装備アイテムは、受け取った者以外には二度と受け渡す事が出来無くなるからだ。

 つまり、素材や魔法書など消費アイテム以外の装備品で、アンジェロが自分で不要だと思った物は、持っているだけ邪魔なのだ。普通の冒険者であるならば、喉から手が出る程欲しい幻想級の激レア装備品を、アンジェロはあっさりと放棄した。

 仮に、サブ職が鍛冶屋を始めとした何らかの生産系職人であれば、打ち直す(加工し直す)事で新しい装備品になるかも知れないが、守護戦士ガーディアンとしてのスタイルが独特なアンジェロにとって、重たい装備品は邪魔でしかない。

「全く。あたしにも使えそうな装備ってのは、無いのかね」

 アンジェロはぶつぶつ言いながら、入手したお宝のリストを検索したが、残念ながら望む様な装備品は見つからなかった。

「まあ、あたしにはお前という、強い味方があるんだけどね」

 アンジェロはそう言って、背中の魔剣の感触を確かめた。

「さて、そんじゃお宝の山は回収して、次のボスへと参りますか」

 アンジェロは、その場にある数万枚もの金貨の山を、魔法の鞄マジックバッグへと収納した。取り引き不能で不要なアイテムは、その場で破棄を選択して電子の海へと帰す。一度破棄したアイテムは、もう一度このダンジョンへ入り直してボスを倒さないと再びドロップしない。

 アンジェロの主な目的は金貨である。鞄の容量を食うだけの、使えもしないアイテムには興味が無い。ゴツくさい鎧を入れておくくらいなら、その分のスペースに1枚でも多く金貨を詰め込みたいのだ。

 アイテム整理を済ませたアンジェロは、十分な休息を取って回復を済ませると、レイドゾーンでの戦闘を続行した。

 戦闘状態を抜けて通常状態に戻ると、HPが回復するペースは数倍にもなるし、MPも回復する様になる。

 さらに休息状態になれば、HPはさらに早く回復するし、状態異常やMPも結構な速度で回復出来る様になる。

 もっとも、アンジェロの場合は魔剣の付与効果によって、戦闘中でもMPが通常時程では無いが回復するのだけど、やはり通常や回復モードの回復量には及ばない。

 しかし、回復状態に入る為に戦闘モードを抜けると、通常状態に戻ったモンスターも同じ様に回復してしまう為、レイドボスなどの戦闘中には使えない手である。

 アンジェロは、途中の部屋の雑魚も殲滅しながら、次のボスの部屋を目指していた。

奈落の参道アビサルシャフト」の内容については、原作とアニメ・第2期の両方を参考にしています。ただ、ほとんどは想像で書いていますので、問題点などあれば、どうぞご意見やご指摘などお願い致します。

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