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ログホライズン外伝if ~1人で行う世界制覇~  作者: 夜の狼
第3章 -義理と波乱ー
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力と技能

エッゾ帝国のススキノとその周辺を舞台にした、シルバーソードとの話になります。ここから先は、本編で触れられていない内容になりますので、想像で書いています。

 ウィリアムに案内されて、アンジェロは巨人レイドエリアへとやって来た。

「さてと……。編成は、とりあえずどうすっかな……」

 ウィリアムがそう言って、アンジェロと組ませる人選を考えようとしたら、

「必要無い。あたし1人でいい」

 その言葉に、

「おい、必要無えって、ここは大規模戦闘区域レイドゾーンだぞ?ソロで勝てる様な甘っちょろい相手じゃねえのは解るだろ」

 ウィリアムが驚いてそう言ったが、アンジェロは、

「まあ、見てれば解るさ」

 とだけ言うと、背中の魔剣の柄を握ってその感触を確かめた。

「まあ、あんたが良いってんならそれでいいけどよ」

 ウィリアムは合点が行かない表情で言った。

 ここは巨人レイドエリアの端っこであり、まだあまり強い敵は出て来ない。しかし、レイドエリアなので出現する敵は通常のフィールドに比べて段違いに強い。

 ウィリアムが率いるシルバーソードのメンバーは、アンジェロとウィリアムを先頭にして、2列縦隊を組みながらぞろぞろと歩いている。

「あのねえちゃん、本当に1人で大丈夫なのかよ?」

「レイドだぞ?強がってんじゃねえのか?」

 そんな事を話しながら、一行は進んで行った。

「よし、それじゃ野郎共。時間が無えから今回は簡単に済ませるぜ」

 ウィリアムはそう言うと、レイドエリアに挑むパーティー編成をメンバーに伝えた。

「それじゃ、あんたは北側をやってくれ」

 言いながら、ウィリアムはそれでも用心の為に援護の戦力を1パーティー残した。そのパーティーが本来受け持つエリアを、アンジェロに任せたのである。  

 それ以外のメンバーは、3つのパーティーがそれぞれの持ち場へと散って行った。アンジェロも、与えられた持ち場へと向かう。

 やがて、地響きを立てながらこのレイドのモンスターである巨人が何体か現れた。しかも、ここは巨人レイドという事で、出現するモンスターは全て巨人系である。同時に、その数も1体では無い。

 巨人というのは、人間に比べて文字通りはるかに巨大で強靭な体躯と凄まじいパワーを持っている。しかも、レイドゾーンと言う事で、その力はさらに並外れている。

 ゲームで言うと、攻撃力・防御力・HPが異様に高い。しかしその反面、動きは重くて遅い。まさに、動く要塞というのがぴったり来るイメージである。とてもじゃないが、単独ソロで挑んで勝てる相手では無い。そんなものが、数体同時に現れたのだ。

(まあ、どうせすぐに死にそうになって、援護を求めて来るだろう)

 それは、ウィリアムだけで無く、ギルドのメンバー誰もが思っていた事だった。ところが、そんなウィリアム達を尻目に、アンジェロはとんでもない事をやってみせたのだった。

頼みの力ラストリゾート

 アンジェロは短くつぶやくと、手近にやって来た巨人から斬り付けた。アンジェロに反撃する事も無いまま、倒された巨人は金貨とアイテムをばらまいて消滅した。

「お、おい……」

「うそ、だろ……?」

 それを見た待機中のパーティーは、まさに度肝を抜かれた。エルダー・テイルのどこの世界に、同レベル帯のレイドのモンスターを一撃で倒す冒険者が居ると言うのか。

「さて、まず効果時間以内にやれるだけやらせてもらうか」

 アンジェロはそう独り言を言いながら、残りの巨人に向かって走り出していた。


「な、何だと……!?」

 念話で、いざという時にアンジェロを援護する為に待機していたパーティーからの報告を聞いたウィリアムは、思わず大声で叫んでしまった。

「どうした?ウィリアム」

 その声にディンクロンが尋ねると、

「それが、あの姐ちゃん。受け持ちエリアの巨人を、本当に1人で全滅させちまったそうだ……」

 信じられないといった表情でウィリアムが言うと、

「は!?おいおい、冗談だろ?」

 同じく、驚いた表情でディンクロンがウィリアムに聞き返した。ウィリアムとディンクロンが組んだ、ギルド一番の精鋭パーティーは、それでも受け持ちエリアの巨人を半数倒したところだったのだ。

「下らない冗談を、わざわざ念話で言う訳が無いとは、俺も思うんだがな」

 ウィリアムが答えると、

「マジかよ、ってんだ」

 ディンクロンが、巨人の重い棍棒の一撃を受け止めながら言った。

「こりゃあ、とんでもないのが来たもんだぜ」

 ウィリアムは、引き絞った弓から渾身の一撃を放ちながらつぶやいた。


 やがて、あらかじめ決めていたエリアの殲滅を終えると、シルバーソードのメンバーは集合場所へと戻って来た。

「どう?これであたしの腕は解ってもらえた?」

 アンジェロがウィリアムに言うと、

「あ、ああ。確かにあんたは凄え。だけど、何者なんだ?本当に冒険者なのか?まさか、大地人……それも『古来種』ってんじゃねえだろうな?」

 ウィリアムは、呆気に取られた表情でそう言った。確かに、能力だけなら通常エリアのモンスターを上回り、HPなら時には2倍以上にもなるレイドゾーンのモンスターを、一撃で倒す様な馬鹿げた火力を持つ者は、冒険者には存在しない。

「まあ、それは戻ってから話すよ」

 アンジェロはそう言うと、ウィリアムにメンバーをまとめてススキノのギルドへ戻る様に促した。

「では、種明かしをしようかな」

 アンジェロは、シルバーソードのギルドへ戻ると、ウィリアムに魔剣「無敵の刃インビンシブル・ブレード」を見せた。

「こいつが、エルダー・テイル都市伝説の武器だってのか?」

 無敵の刃を見せられたウィリアムは、ここでも驚いた。比較的ゲーム歴の浅い彼だが、エルダー・テイルの都市伝説は知っていたからだ。

「俺にも信じられないが、ウィリアム。こりゃあ、正真正銘の本物だぜ」

 魔剣を見ながら、ディンクロンが言った。

「確かにな。そうじゃなけりゃあ、とても説明が付かない、か……」

 同じ様に魔剣から目を離さずに、ウィリアムがつぶやく。

「まあ、そういう訳で、確かにあたしも冒険者だよ」

 アンジェロが、魔剣の能力を説明して言った。

「しかし、それにしたって、なあ……」

 ウィリアムが、自分のあごを手で撫でながら言った。戦闘特化ギルドであるシルバーソードのギルドマスターであるウィリアムは、頭の中で考えを巡らせていた。

 シロエの頼みで「奈落の参道アビサルシャフト」へ遠征した時、揃えられる最高の装備で戦闘をしたが、雑魚ざこでさえ1体倒すのに5~6回以上の攻撃を必要としたのに、アンジェロは「頼みの力」を発動させて、たった1回で倒したのである。ダメージが3倍になったとしても、元の攻撃力がよっぽど高く無ければ倒し切れるものでは無い。

 通常アタックで1回につき4000~5000程度のダメージを与えられたとすれば、「貪り食う汚泥オラクルジェリー」のHPはおよそ3万程度と推測出来る。同じ場所で同じモンスターを倒したアンジェロの話が本当ならば、通常攻撃の一撃で2万程度はダメージを出せると言う事になる。

(ざっと4倍かよ……)

 ウイリアムは、自分の頭の中でそう結論が出たところで背中が薄ら寒くなるのを感じた。もちろん、攻撃を受ける対象の防御力も関係してくるが、シルバーソードが誇る、ヤマトサーバー有数の盾役ディンクロンをもってしても、およそ2撃目は耐え切れるものでは無い。

「どんだけ凄えってんだ、この伝説の武器は……」

 当然だが、冒険者個々の能力というのは、能力の割り振り方もあるがそんなに違いがある訳では無い。例え攻撃に傾倒した割り振り方をしたって、2倍はおろか4倍もの差が出るとは到底考えにくい。つまり、この魔剣というのは、恐ろしいまでの破壊力を持っていると言う事なのだ。

 しかし、その圧倒的な戦闘能力と引き換えに、同時にあまりにも大き過ぎるペナルティを抱えている事も、ウィリアムは忘れた訳では無かった。

(誰ともつるめねえ孤独、か……)

 仲間の大事さを知るウィリアムにとって見れば、それは永遠に消えない呪いと言っても良いレベルのデメリットだった。

 この剣を持つ事で、パーティーやレイドなどの集団戦闘コンテンツはおろか、下手をしたらギルドすら捨てなければならない。MMORPGにおいての完全な孤独、それはゲームのプレイ自体を諦めていると言っても過言では無い。まさに引退も同然だ。

(俺には無理だな。もしこの武器が俺の物だったとしても、俺なら躊躇ちゅうちょ無く捨てている)

 ウィリアムはそう思った。


「さて、それじゃ挨拶代わりに、もう1つ驚いてもらおうかな」

 アンジェロがそう言うと、

「まだ何かあるのか?」

 ウィリアムが、おいおいと言う表情で言った。

「これから夕飯なんだろ?だったら、ここはあたしに任せて欲しいんだ」

 アンジェロはそう言うと、シルバーソードのメンバーを全員酒場から締め出してしまった。

「ちょっと待ってくれよ、ここは俺達のギルドホールなんだぜ?」

 入り口の扉の前でウィリアムが、頭をかきながら言った。

「今度は何をやるんだろうね、あの姐さんは」

「さあな。さっぱり解らねえ」

 メンバー達がそう言ってしばらく待っていると、閉まったままの扉の向こうから声がした。

「お待たせ、もういいよ」

 アンジェロの声に、シルバーソードのメンバーが酒場の中に入ると、

「おい、何だこりゃあ!?」

 ウィリアムが驚き混じりの声を上げた。

「これは、もしかして、寿司か!?」

 ディンクロンが続けて言った。

 彼らの目の前には、いくつかのテーブルの上に所狭しと寿司が大量に並べられていた。おそらく1000個以上はあるだろう。

「これ、どうしたんだ?」

 ウィリアムがアンジェロに聞くと、

「あたしが作った」

 あっさりと、そう返事をされて、

「マジかよ……」

 とつぶやき、しばらく呆気に取られていた。

「まあ、そんな事より食べてみなよ。味は保証するからさ」

 アンジェロに言われて、シルバーソードのメンバーは寿司をつまんで各々口へと運んだ。そして、もぐもぐと口を動かしてごっくんと飲み込むと……、

「何だこりゃ、うめえ!?」

「寿司だ、本物の寿司だ!!」

 そう言うと、皆が我先に手を伸ばし、次々と寿司を口へと運んだ。テーブルの上の寿司は、たちまちその数を減らしてシルバーソードのメンバーの腹へと納まって行った。

 ススキノのあるエッゾ帝国は、地理的には北海道であり海の幸がふんだんに獲れる為、海産物の食材には事欠かないのだが、誰も寿司を作れる者が居なかった為に何か物足りないと、ここに居る冒険者達は感じていた。しかし、こうしてアンジェロが寿司にした事で、その足りないものが解消された様であった。

「そうそう、これだよこれ!北海道で海の幸と言うと、やっぱり寿司だよなあ」

「うんめえ!これこそまさに海鮮料理の極みってやつだよ!」

 シルバーソードの面々は、歓喜してアンジェロの作った寿司を味わっていた。

新たなる戦いの幕開けです。


ウィリアムが考えたダメージ算出は、アニメの第2期における「奈落の参道アビサルシャフト」での戦闘シーンからです。貪り食う汚泥オラクルジェリーに、矢が6本くらい刺さっていたので、大体それくらいかなと思いました。ご意見があれば、遠慮無くどうぞ。


余談ですが、私はこのサイトでの投稿の場合、思い付いた事から先に書き溜めるので、バラバラのパズルのピースをはめ込んで完成させるという感じのスタイルの為、長い時間をかけてまとめてアップするという手法を取っています。

なので、少ない読者の方には、お待たせして申し訳ありません。

なお、全てが適当という訳ではなく、実際に小説を書く時には、作品設定やプロットもきちんと行っていますので、決して執筆活動や小説をなめている訳ではありません。

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