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ログホライズン外伝if ~1人で行う世界制覇~  作者: 夜の狼
第3章 -義理と波乱ー
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出張レイド

今回から、ススキノへと舞台が移ります。また、本編とリンクした内容になっています。

 シロエにかかって来た念話の相手は、ススキノにあるギルド「シルバーソード」のギルドマスター、「ウィリアム」だった。

「なる程、そういう事ですか。解りました」

 シロエが念話を終えると、直継が話しかけて来た。

「それで、相手は誰で用件は何だって?」

「それが……、ウィリアムが手を貸して欲しいそうなんだ」

 シロエが言うには、「奈落の参道アビサルシャフト」の攻略でススキノを留守にしているうちに、巨人族が勢力を拡大していたから、その討伐に手が足りないという話だった。

 シロエの頼みでシルバーソードの主力がススキノを離れた結果、巨人レイドを戦う者が居なくなってしまい、その結果エッゾの巨人族が勢力を伸ばして強化されてしまったと言う事だ。

「で、どうするんだ?シロ」

 直継がシロエに聞くと、

「この事は僕にも責任があると同時に、彼らシルバーソードには借りもあるからね。ウィリアムの頼みを断る訳には行かない。だけど、うちから出せる戦力の余裕なんて無いんだよね。何より、これから僕らはシブヤにある大規模戦闘区域レイドゾーン、『呼び声の砦』に行かなくちゃならない」

 しかも、今回の遠征は「記録の地平線ログホライズン」の全ギルドメンバーで出掛ける事になる。ススキノへ行きたくても無理なのだった。

「だけど、これはうちの問題だから、他所に頼る訳に行かないからなあ」 

 仮に、「西風の旅団」や「D.D.D」、そして「黒剣騎士団」に相談すれば、それなりの戦力は期待出来るだろうが、あまり他人に頼る訳には行かない。それに、今はアキバを含めたイースタル全体が大変な時期なのである。

 何より、ウィリアムがシロエに直接頼んで来た事なのだ。尚更なおさら他人任せには出来無い。

「さて、どうしたものかな……」

 シロエが、テーブルの上で組んだ両手の上にあごを乗せて考えていると、アンジェロが言った。

「何だ、そんならあたしが行けばいい」

 その言葉に、シロエが驚いた表情で言った。

「本当ですか?」

 思わずシロエが聞き返すと、

「もちろん。このギルドで自由に動けて巨人レイドを戦えるのは、あたしくらいだからね」

 アンジェロはそう言ってうなづいた。

 確かに、その存在全てが想定外であるアンジェロなら、何にも縛られずに行動が出来る。しかも、その実力は桁外れなのだ。巨人レイドでも役に立つ事は請け合いだろう。

「そうして頂けると、僕の方としてもうれしいのですが、本当に良いのですか?」

 シロエはアンジェロにそう言って確認したが、そこでふと思い出した事があった。

(この展開は、僕達がセララさんを救出に行った時のマリ姐さんに似ているな)

 ギルドマスターとなって集団の頭となったシロエは、いつの間にか頼まれる側から頼む側へと立場が変わっていたのだった。

 しかも、出張先はしくもススキノである。あの時は、随分とマリエール達に申し訳無い顔をされたが、今ではその心情がシロエにも良く解る気がする。

「ああ、もちろん」

 アンジェロは、笑って快諾した。


 次の日になると、アンジェロはススキノへ向かうべく、見送りのメンバーと一緒にアキバの町外れまでやって来た。

「それじゃ、行って来るよ」

 アンジェロはそう言うと、馬を呼び出した。

「飛竜では無いのか?」

 アカツキが尋ねると、アンジェロが答えた。

「まずは馬で出来るだけ移動してから飛竜を呼び出せば、1日でススキノに着くからね」

 確かに飛竜は移動出来る距離が長いが、ススキノへ向かう途中の「ティアストーン山地」には、鋼尾翼竜ワイヴァーンの集団生息地がある。遠回りしているうちに時間切れとなって空中で飛竜が帰ってしまえば、次は自分がアキバへ死に戻る破目になってしまうだろう。アンジェロは、その分を考慮していたのだった。

 まずは馬で行けるだけ距離を稼ぐと、アンジェロは飛竜を呼び出してススキノを目指した。途中のティアストーン山地を鋼尾翼竜の感知の外からぐるりと回り込み、それから一気に海峡を飛び越えてススキノへと向かう。

 アンジェロは、目立たない様にススキノの少し手前で飛竜を降りると、念話でシロエにウィリアムとの仲介を頼み、街の出入り口となるゲートをくぐってススキノへと入った。

 シロエ達がセララを救出に訪れた「大災害」当初に比べると、アキバから移転して来た「シルバーソード」によって、街の治安や雰囲気はかなりマシになったと思えた。

 しかし、アキバに比べると辺境で、冒険者の数もはるかに少ないこの街は、どこか陰気で殺伐とした雰囲気や空気を感じる街だった。

 アンジェロは、歩きながらあまり性質たちの良く無い視線を何度も感じていた。アキバの円卓会議に比べると、シルバーソードによる単独統治体制のこの街では、さすがに統治にも限界がある。

 基本的に、シルバーソードの統治スタイルは、弱者をいじめるかっこ悪い無法者を許さないだけであり、その他の事に関しては、あまり積極的に為政いせいを行わない。元々ギルドマスターのウィリアムが細かい面倒事を嫌うせいもあり、アキバの円卓会議とは違って明確な条例や統治機構がある訳でも無かったからだ。

 デミクァスの率いていた「ブリガンティア」も、大地人や低レベル冒険者に対して、かっこ悪い理不尽を働いていたから〆られただけに過ぎない。

 デミクァスがウィリアムに〆られると、好き勝手が出来るという理由だけでデミクァスのブリガンティアに付いていた者達は、あっさりとブリガンティアを見限ってどこかへトンズラしてしまった。

 現在、ススキノにはシルバーソードに〆られない程度の小悪党がうろうろしているだけだったが、そいつらが街の雰囲気を完全に明るいものにしていない事は明らかだった。

 それに、シルバーソードは少数精鋭主義を掲げたギルドであり、登録メンバー自体はあまり多いものでは無かったからだ。どうしても、網の目を抜ける雑魚ザコという奴は居る。

 アンジェロがシルバーソードのギルド施設を探していると、案の定ろくでもない様な連中が何人か寄って来た。

「よお、姉ちゃん。ここらじゃ見ない顔だが、どこから来たんだ?」

 そう言われて、

「どこだっていいだろ。あたしは忙しいんだ、ほっといてくれないか」

 アンジェロは、面倒くさそうに手を振って追い払おうとする。

「まあ、そう邪険にするなよ。ここらじゃ見かけない別嬪べっぴんさんじゃねえか」

「話だけでもしようや、役に立つからよ」

 しつこく絡むので、アンジェロは、

「あたしは、シルバーソードのウィリアムに用があるんだよ」

 と、言って振り切ろうとした。

 ウィリアムの名前を出せば、ごろつきはびびってどこかへ行くと思ったのだが、

「何だ、それなら俺らが案内してやるよ、ついて来な」

 そう言って手招きをするので、

「悪いけど、結構さ。自分で探すからいい」

 アンジェロはそう言うと、ごろつき共を無視して歩き始めた。

「おい、俺たちゃ親切で言ってるんだぞ、その態度は何だ」

 ごろつきの1人が、そう言って手を伸ばして来たので、アンジェロはその手を取るとひねり上げた。

「いてててて、何しやがる!」

「しつこいからだよ」

 アンジェロはそう言うと、後ろ手にひねった男を軽く突き飛ばした。


「このアマ!こっちが下手に出てれば付け上がりやがって!」

 いかにも雑魚ざこらしい事をわめきながら男達が向かって来たので、アンジェロは伸ばされた手首を掴むと、合気道の要領でくるんと男を空中で一回転させて地面へ転がした。

 次に向かって来た奴は避けながら足を引っ掛けて転ばし、3人目は掴んだ腕に力一杯親指を立てて、肉にめり込ませた。

 ちなみに、アンジェロが指を立てた場所は護身術に伝わる秘密の急所であり、押された相手にはとんでもない激痛が走るのである。

「いででででで!」

 アンジェロに急所を突かれた男は、腕を押さえながら地面に尻餅をついて座り込んだ。

「まったく、相手見てから喧嘩売りなよ。もっとも、相手の実力も解らないんじゃあね」

 そう言い捨てると、地面に転がる男達を尻目にアンジェロは歩き出した。一応レベル93という看板をぶら下げているものの、市街地は戦闘禁止区域である為、強硬な手段に出られないとたかをくくっていたのだと思う。

 やがて、アンジェロはシルバーソードがギルドホール兼溜まり場にしている酒場へとやって来た。店のドアを開けて中へ入ると、賑やかな声が聞こえて来る。

 アンジェロは手近な者に声をかけると、ここがシルバーソードのギルドである事の確認と、ウィリアムの所在を尋ねた。

「ギルマス、客人ですよ」

 そう言われた先には、シルバーソードのギルドマスターで「ミスリルアイズ」の通り名を持つ、「ウィリアム=マサチューセッツ」が鎮座していた。

「おう、こっちだ。通せよ」

そう言われたメンバーに教えられて、アンジェロはウィリアムと対面した。

「ほう……、これはまた、えらく別嬪さんが来たもんだな」

 ウィリアムはそう言うと、「ちょっと待っててくれ」と手でアンジェロに合図してから、耳に手を当てた。

「おう、俺だ。ああ、今着いたところだ。それにしても、こんな美人がお前の所に居たのかよ。……ああ、じゃあまたな」

 どうやらシロエと念話していた様だ。話の内容は、おそらくアンジェロが到着した事の報告だろう。

「ああ、すまねえ。待たせたな。俺がここのギルマスの、ウィリアムだ」

 そう言うと、ウィリアムはアンジェロと向き合った。エルフにしてはずいぶんとごつい体格をしているが、冒険者にとって見た目と能力は無関係である。

「あたしはアンジェロ。ギルド『記録の地平線ログホライズン』のメンバーで、今回こちらの手伝いに来た」

 アンジェロは簡潔にそう言った。無駄に長い自己紹介は必要無かったからだ。

「聞いてると思うが、うちは戦闘系ギルドだ。折角来てもらったが、生半可な腕ならすぐにお帰り願うぜ」

 ウィリアムはそう言ったが、何せシロエが送って寄越よこした人間である。ただ者で無い事は最初から察しがついている。

「まあ、試すのが一番早いと思うけどね。何なら今からやって見るかい?」

 アンジェロがそう言うと、

「ああ、そうだな。それじゃ、野郎共!聞いた通りだ、ちょっと小手調べに行くぜ!」

 ウィリアムの言葉に、ギルドメンバーが一斉に席を立った。

「日暮れまで、ちょっと巨人共と遊んでやろうぜ」

 軽口を叩くウイリアムを先頭に、メンバー達がギルドホールから出て行った。それにアンジェロも続く。

本編ではあまり描写がありませんでしたので、エッゾ帝国とススキノ、それにシルバーソードの状態は、ほとんど想像で書いています。何かありましたら、ご意見下さい。

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