3――自己紹介
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二話を修正したので目を通して頂けると嬉しいです。
一話の文章が一部抜け落ちていて不自然な文章になっていたので修正しました。
「では私からいこう」
そう言って語りだしたのはシェリー・リース。
この女性はヴァーヘンハイア王国騎士団の団長を務める人物である。
ドラゴンの大群およそ二千体が不意打ちで道中の城に襲ってきたとき、援軍到着までの十日間をたった二十人の兵でそこを守り切ったという逸話を残している。
正に生ける伝説だ。
「次は儂かな?儂の名前はザット・エネラル。歳は27で…」
先ほどの屈強な男性だ。このザットも有名人で、確かシェリーと同い年だったはずだ。
27というのに言葉使いが古風な人だなぁ。
西の国クェイロス王国騎士団の切り込み隊長で、ボウガン使いだ。
特徴的なのはその戦闘スタイルで、なんと近接戦闘を行う。なんとも彼のボウガンは特別仕様で接近戦に特化しているんだとか。
野宿をしていた時には襲ってきたドラゴンを素手で仕留めたという。
「儂はこんなところじゃな」
そう言ってザットが腕を組む。皆黙り込んでしまった。
どうしよう。これは言いだしっぺの法則で俺が言った方がいいのか?
そう思っていると一人の女性が話し出した。
「あのぉ~。わたし、話してもいいでしょうかぁ~?」
そう言うのはなんというか雰囲気がふわふわした女性だ。なんというか男の潜在意識を擽るというか、守ってあげたい感じの女性だ。
「あ、ど、どうぞ」
思わずたどたどしく返事をしてしまった。さっきからコミュ障全開である。気を付けなければ。
そんな俺を気にも留めず彼女は話し出した。
「わたしは、ネリス・ラクェインと申しますぅ~。特には何もしてなかったんですが、騎士に選ばれましたぁ~。よろしくお願いしますぅ~」
「なんと、何もしていなかったのに選ばれるとは…潜在能力で選ばれたということか」
シェリーが言ったが、封龍の騎士には潜在能力の高さで選ばれることもしばしばある。
現に過去の戦いで、潜在能力で選ばれた者は存在する。…最もすぐに命を落としたというが……彼女の今後が心配だ。
「では次は俺が話そう」
そう豪快に言い放つのは赤髪の女性。なんというか胸の方も豪か…これ以上はやめておこう。
彼女も割と有名である。キース・ウェイラー。三年前まで海を支配していたとすら言われる程恐れられた海賊である。
今ではその頃の部下と一緒に漁をして生計を立てているようだ。なぜ海賊を辞めたのかは言わなかった。
「ならば次は妾が話そう」
一人称でわかっただろうが、リーゼット・クロスだ。奴隷だったこと、吸血鬼であること、俺に買われたことなどを明かした。
そのあとキースにこんなのがタイプなのかとか言われて散々弄られた。あぁ、弄られキャラが定着しそうで心配だ。
「次は私が話そうかしら」
そう言うのはなんというか綺麗な少女だった。表現に困る、百合の花の擬人化のような少女だ。
腰に付けているボトルから水分を補給しながら彼女は自分のことを語りだした。
「名前はアインス・レイローク。歳は16。回復魔法が得意よ。以上」
なんとも淡々としていた。だがレイロークとはどこかで聞いたような…
「ほう、お前がレイローク家のホムンクルスか。奴には世話になったからなぁ。いつかお礼を言いたいわ」
「マスターも貴女に会いたがっていたわ。吸血鬼」
そうだ!ホムンクルスを作ったという、メビウス・レイロークだ!なんともこの世界にいろんなことをもたらしたとかいう偉大な人物だ。
ともあれリゼとアインスの言い合いが怖い。昔に一悶着あったようだ。
気になりすぎて聞いた。
「リゼとアインスは知り合いなのか?」
アインスが冷やかな目で言った。
「ええ、そうよ。このクソ吸血鬼が私のマスターの血を吸おうとしたのよ」
「あれは仕方なくよ!喉乾いて死にそうだったんだもん!」
なんとも言い合いが加速している。そこでもめていると横から一言ツッコまれた。
「お前たち!いい加減にせぬか!ここは自己紹介の場だ!…自己紹介はまだ終わっておらん。昔の因縁か知らんがそれは後にしてくれ」
さすがは我らがヴァーヘンハイア王国騎士団長様だ。一気にこの場を鎮めた。こんなことは日常茶飯事といったところか。
二人は渋々了解する。どうやら効いたようだ。
「なんとも空気を壊してしまったな。では次はお前だ」
「お、俺!?」
なんとこのタイミングで俺だ。俺とは何を隠そうユウ・プラウドゥスだ。
俺は異世界召喚のこと、師匠のこと、そしてこれまでの経緯を話した。あ、歳は21です。
一通り言い終わると二つ隣に座っていた女の子が食いついた。
「すっごーい!異世界から来たんだぁ!」
「う…まぁそうだけど」
「レッソもすごいけど、お兄ちゃんを召喚した人はもっとすごいねぇ!」
なんだこの食いつき。今まで驚かれることはあってもここまで迫られたのは初めてだ。
困惑していると救世主がいた。
「こらこら、レッソ。坊主がちょっと引いてるぞ。ははは、すまんなユウ。この子は自分の興味のあることにはいつもこうなんじゃ」
「ザットおじさんは黙ってて!」
「レッソぉ!儂はまだ27じゃと言っておるだろうがぁ!」
「うわぁ!おじさんが怒ったぁ!」
ザットはレッソと知り合いらしい。というか一緒に暮らしているという。
なんともレッソの両親が彼女がまだ小さい頃に他界したらしく、それ以来ザットが引き取って面倒を見ているという。
なんとも親子の喧嘩のようで微笑ましいが、忘れただろうか。ここは自己紹介の場である。
はい。二人ともシェリーのげんこつを食らいました。それからザットがレッソのことを説明してくれた。
レッソは天才らしい。親馬鹿とかではなく、稀代の天才と囁かれるれっきとした天才だという。
名前はレッソ・ポルール。13歳で、召喚士だそうだ。
召喚士とは、召喚獣というこの世界とはずれた世界である通称召喚界…一種の異世界に存在する者の力を借りる者たちだ。
召喚獣というのは一体につき何年もかけて対話し会得するものらしいが、彼女はそれを五体も持っているという。
普通召喚士は生涯で三体の召喚獣が限界と言われているそうで、そう聞くとレッソが天才というのも頷ける。
そして異世界という言葉に反応して俺に食いついたわけだ。なんとも可愛いやつじゃないか。
レッソの話を一通り終えると、これまで動きもしていない男性が話し始めた。
「ヴァルター・ヴェルヴェット。19歳。ヴァーヘンハイア騎士団所属。以上」
これは…アインスよりも素っ気ないぞ?
皆があっけにとられているとシェリーが口を開いた。
「彼に関しては私が話そう」
彼はいわゆるクールキャラだという。無口で冷静沈着。戦闘センスはピカイチでシェリーよりも攻撃においては右に出る者はいないという。
まぁ、ここの人たちは全員ぶっ壊れ性能の方たちばかりだからあまり驚かなかったが。
「さて、最後はお前だな」
「わ、私ですか?」
指名したのはなんともひ弱そうな女性だ。なんというかやつれているようにも見える。
目の下にクマができている。相当な寝不足なのだろう。後で寝かせてあげよう。
そして彼女は言う。
「私はカリィ・ヨーティスといいます…何をしていたかというと…私は罪人です」
素直に驚いた。封龍の騎士にはその時代で魔龍を封印できる者がなるというが…まさか罪人までいるとは…世界を救えるならばそれも良いという考えなのだろうか。
まぁ、神の考えなどはわからないしどうでもいいし、彼女がなぜ罪人になってしまったかを聞くのが先だ。
「なぜ罪人になってしまったのじゃ?」
ザットが聞く。彼女は話しにくそうな顔をしているが、やがて話し出した。
「……人を殺したんです」
一応毎日一回以上は投稿する予定です。




