第二十話:オポチュニスト・逃避行10/「お嬢の友達:メイド・インメイデン」
前回までのあらすじ
第二ターン。
展開。
遊戯。
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「うふふっ。 星が十も溜まりましたよ」
「何か、強いやつが来そうだよ、すず!」
ティエルさんは、手札の左端の紙牌を引っ張り出しました。
「まずは、このコを召喚! 星三『洞窟の暗黒コウモリ』!
効果でトップから三枚、墓地に落として、墓地から魔法一枚を回収させてもらうわよ」
ぱちぱちぱち、と子気味良く紙牌が墓地へと送られていく。
「よしよしっ、来たわね!」
墓地に置かれた魔法を乱暴に手札に加える。
「次はこのコね! 場に存在する式神の星の合計が、この式神の星と等しいので、これの特殊効果によって出すわ! 星五『闇に潜むサメ』を召喚!」
「サメとコウモリ…… モンスターが二体も!」
「ふふっ。 お荷物ちゃん。
モンスターではないわ、式神よ!
魔法カード『等価交換』を発動」
場に出ている二匹の式神たちが光り出す。
このカードを使うということは……
「場に出ている二体の式神を墓地へと送ることで、星、攻撃力、防御力、種族、属性のうち、二つのみが一致する、元の二体とは別の式神をデッキからコストを支払わずに召喚できます」
「えぇっと…… 今墓地に送られたのが、サメとコウモリだね…… じゃあ、コウモリサメが出てくるのかな」
「話、聞いてました? 見た目ではなくカードの性能の話ですよ。
では、私はデッキから八星の幻獣族式神の『お嬢の友達 アンティーク・シャーク』を召喚しますよ!」
「うわっ! すず、あのモンスターめっちゃ可愛いよ!」
机の上には、尾ひれの装飾が施された、灰色のメイド服を着ている手乗りサメが召喚された。
「サメ系女子だ……!」
☐
「このコは特殊効果によって、出たターンからでも攻撃できるんですよ。
さあ、あの狐を攻撃するのだ!」
サメ少女が走り出し、どこからか取り出したトライデントで、私の「糾尾妖」を攻撃してしまいました。
攻撃力は、こちらの狐が三で、向こうが七。
あたりまえですが、攻撃力の低い方が、破壊されてしまいます。
「これで、あなたの残機から四点引かせてもらう!」
電子音と共に、私の残りの残機が減り、残りは十一になってしまった。
「さらに、式神が戦闘で破壊された際に、手札のカードを一枚墓地に送ることで、『お嬢の友達ティータイム』を手札から発動できます!」
「こいつも、師匠ほどではないにしても、いっぱいカードを使うんだね……」
「このカードの②の効果によって、あなたの『雲玉竜』を対象にして、それか、それ以外のすべての式神を破壊してもらいますよ」
そう、これが彼女の使用するシリーズ「お嬢の友達」の特徴。
様々な二択を迫り、私が選んだ答えに応じて、臨機応変に対応できるのです。
でも、今このタイミングで切ったのは間違いでしたね。
この場合、戦闘用の雲玉竜さえ取っておければいいので。
「では、それ以外の式神をすべて破壊します」
「あぁ、師匠のモンスターがどんどんバラバラになっていく……」
「まあ、そうしますよね。
では、手札からこの二枚の魔法を伏せて、ターン終了ですわ」
最終的に場に並んだのは、「お嬢の友達」の中級式神一体と、伏せの二枚。
おそらく、伏せはハッタリでしょう。
☐
「それでは、手番をもらいます!」
紙牌を手札に加えて、サイコロを振る。
出目は、四。
さて、この手番から『雲玉竜』が動けるようになりますね。
だが、その前にこれを使って、盤面を整えましょう。
「では、今引いた『高等降霊技術:参式』を発動しましょうか」
「ええ。 そんなのも入ってるのですかぁ」
手札から、今言った魔法を場に出し、墓地の紙牌を並べていく。
「では、この墓地に存在する紙牌をすべて山札へと戻し、それ三枚につき一枚、山札から新たに墓地へと送ります。 そして、その中に山札へ戻した枚数よりも星の数が多い式神が二体以上いれば、内一体を場へ召喚できます」
「もう! また運任せのカードですか! 少しは頭を使ってみてはいかがでしょうか」
「ふふっ、浅いですね。 運頼りではありませんよ。
だって、しっかりと調節していますもの」
墓地の六枚の紙牌を山札に戻します。
これで、能力を発動できる回数は二回。
「行きますよ! えいっ」
墓地に置かれたのは、星九の「蛇禍檎」と星十の「虚産蛇」でした。
「おおー。 また師匠が当てた!」
「では、私は『蛇禍檎』を墓地から、召喚!」
それを狙ったかのように、ティエルさんが伏せの紙牌へと手を伸ばしました。
「ふふっ! 甘いですね! 反応魔法『独占禁止法』!」
「独禁法って、異世界にもあるんだ……」
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「これの効果によって、このターン中、私はあなたが召喚する式神と等しい攻撃力、守備力を所有するトークンを生み出せます!」
「でも、それだけですよね? トークンは効果を持ちません。
なので、私の手番中に処理できれば、特に怖い敵ではありません」
でも、攻撃力が高いトークンが場に出てしまうと、「雲玉竜」での一撃必殺は決められなくなってしまいますね。
「まあ、いいですよ。 召喚!」
「では、ありがたくー」
ティエルさんは、コインが大量に入った小物入れの中から、プラスチックの紙牌ほどのサイズの板を取り出し、盤面に設置しました。
これにも反応して、机の神秘が魔法陣的なイメージのエフェクトを出しました。
「もう、このターンは攻撃するしかできなんじゃないですか?それとも、その最後の一枚が切り札だってりするのですかぁ」
「いえ、これはまだまだ先のお楽しみです。
では、『雲玉竜』で『アンティーク・シャーク』を攻撃します」
式神は、攻撃する際には、横向きに倒して解放状態にしなければならない。
そして解放状態中にバトルをする際には、攻撃力ではなく、防御力を参照してバトルを行うのです。
「では、サメさんの防御力は十、私の『雲玉竜』の攻撃力は十五なので、私の式神の勝ちですね」
竜が、サメさんに嚙みつこうとしています。
叩き付けようとする竜の尻尾を、サメさんが何とか躱しつつ、竜本体との距離を取っていますね。
「そうはさせませんよ! 手札の『暗黒術者/カエデ』を開示し、自身とデッキトップの五枚を対象に効果を発動します!」
山札の上から、すっと紙牌を五枚、正確に手に取りましたね。
なかなかの腕です。
「戦闘によって式神が場を離れるとき、代わりにこのカードと、デッキトップの五枚を、そのカードの下に敷くことで下にカードがあればその戦闘を無効にして、破壊を免れる!
......代わりに、ターンが終わるたびに、カードを抜いていかないといけないわ」
「そんなに、守りたいんですね」
「うるさいです!」
なぜか顔を赤らめています。
☐
「では、『雲玉竜』の攻撃完了時の効果が発動しますよ。
互いに山札の一番上の紙牌を見せ合い、攻撃力の高かった方の式神が、場に召喚されます」
「ああ、私のデッキは小型でサポートするのが多いから……」
やる前から弱気とは、そんな調子では勝てませんよ。
「オープン!」
互いに、その掛け声で手に取った紙牌を開示します。
「ありゃっ」
外れてしまいました……
でも、ギャンブルにはそういうものが付きがちなので、特に苦言を呈したりはしませんよ。
「よしっ。 まだ運には見放されていませんでしたわ!
召喚『お嬢の友達 キャビネット・キャット』!」
しかし、よりによって相手のカテゴリの式神が召喚されてましたか。
ちなみに、負けた方のプレイヤーが自分だった場合は、表向きにした紙牌を手札に加えられます。
「『キャビネット・キャット』の登場時効果によって、私は裏向きのまま二枚の魔法と一枚の式神を、デッキからあなたに提示するわ」
少しだけ悩んだ後、すぐに紙牌は決定され、私の前に置かれました。
「そして、その中から一枚を選んでちょうだい。 その選んだカードが唯一の式神だった場合、私はそのカードを召喚できる。 違った場合は、あなたはそのカードを手札に加えることができるわ」
さて、どれにしましょうか……
でも、私がそんなことを悩んだとしても、結局は堂々巡りになってしまいますね……
「師匠! 一番右のやつですよ、なんとなくそんな気がします!」
ゆずちゃんの応援が聞こえますね。
「はい、ではそうしますよ。 ありがとうございますね」
一番右の紙牌の端に爪をひっかけ、捲る用意をしておきます。
ティエルさんは、アイコンタクトで捲っても良い、と言いました。
「オープン!」
開かれたのは……
「よし来た! 今度はさらに、『お嬢の友達 ドレッサー・パンダ』
ふふっ。 尻尾がもふもふね」
サメ、ネコ、レッサーパンダ。
私の弟子たちほどではないにしても、かわいい少女たちが三体も盤面にそろっていて、癒されてしまいますね。 それはそれとして……
「さすがにちょっと、ツイてないかもですねぇ」
「うふふっ 先ほど調子に乗りすぎた罰ですわよ!」
「そうかもしれませんねぇ。
では、今度はこっちのカードを伏せてターン終了です」
次回
猛攻。
応戦。
ふつうの知略。




