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幻想へ逃げた嫌われ者  作者: イレイナ・スカーレット
【第一章】星降る幻想の楽園
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【0話】再び焦がれた幻想

「…ぇ?」


──違和感、そう違和感だ。

自分は、死んだはず。跡形もなくこの世から消え去ったはず──

まさか──いや、妄想はやめよう。幻想に焦がれるのはもうやめた、そうだろうと自分に言い聞かせる。

結局怖くて逃げて逃げて寝落ちでもしたか、死に切れなくて結局生きてしまったなどだろう。

──────。

────。

──それなら、おかしい。

自分の頭を思いっきり殴った、痛みを感じる、大した痛みではないが。自分の耳を思いっきり引っ張った、痛みを感じる、大した痛みではないが。

地獄?天国?それなら地獄行きだろうが──まさか、だ。


「なんで自傷してるのかしらね…夢だとでも思ってる?」


──そう、声が聞こえた。

声は知らない、想像したことは何度もあるが声は知らない。

姿を見れば、わかる。

だから、ゆっくりと目を開けた──


「やぐ、も…ゆかり…」


「…なんで、私の名前を知ってるのよ」


八雲 紫、そう八雲 紫だ。

興奮が高まる。今更この目だらけの空間──スキマのことは気にならない

幻想入り──これは幻想入りだ。

嬉しくて、嬉しくてたまらない。


「まずは名乗るべきね…幻想郷の『賢者』であり、『神隠しの主犯』、八雲 紫。知ってるみたいだけどね?」


紫がイタズラっぽく舌を出しながら名乗る。不覚にも可愛いと思ってしまったが相手の歳を知ってしまえば…これを考えるのはやめておこう。

──『私』はしばらく考えた末に名乗りを返す。


「『私』、は──いや、meの名前は、れい」


──それが、『れい』という主人公に成った主人公が、再び幻想へと焦がれ始めた日だった。

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