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あおいだいち  作者: 佐々木 栞
第3章 高校生

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第16話 海を見に行こう5

普段電車に乗り慣れてない。

2時間ぐらいと言われたときには考えてなかったけど改めて思う。

乗り換え1回でも遠いものは遠い。

あおいを見る。

全然平気そう。

手持ち無沙汰でなんとなく広告を見る。

夏期講習受付中の文字が目に入った。

特に意味はなくあおいに話しかける。

「そういえばあおいに勉強見てもらうようになったのって高1の夏からだっけ?」

「そうよ。誰かさんの成績が最悪だったとき」

うぐ。

胸が痛い。

そうだ。

元はと言えば自分が発端だった。

「あの夏もいっぱい勉強したよね」

「そうね。まさかそれが翌年も続くとは思わなかったけど」

「あおいみたいにすぐに成績上がらないよ。しかも学年で10位以内目標なんて凡人には不可能だよ」

「高3の夏までにはっていうのは達成できたじゃない」

そう。俺は今年の1学期の成績がドンピシャの10位だった。

マジで危なかった。それこそ必死に勉強した。

「あおいが勉強教えてくれたからだよ。俺1人じゃこんな成績出せない」

「あたしの力というより大地の努力の結果よ」

そうだろうか。

俺はあおいの力が大きいと思うのだが。

「えー。そうかな?あおいの教え方が上手でわかりやすかったしそれが大きいんだと思うんだけど」

あおいが無言になる。

「...またこの男は自分を過小評価して」

あおいが小声で何か呟いたようだが電車の走る音でよく聞こえなかった。

「なに?」

「なんでもないわよ」

あおいのおかげで成績も上がった。

それによって受験のハードルも下がってきてる。

当時は絶望したものだが今ではあおいに頭が上がらない。

なかなか成績が上がらない俺を見捨てずにいてくれたし。

「あおいは推薦が第一志望だもんね。日程いつだっけ?」

「...うまくいけばだけど早ければ11月に試験がある」

...あともう少しなんだ。

推薦入試がそんなに早いことを知らなかった。

「緊張してる?」

「...ちょっとはね。でも緊張しても何も変わらないから開き直ると思うわ。もし推薦がダメでも一般入試もあるし」

「あおいにしては弱気だね?いつもならあたしなら絶対合格するぐらいの勢いで言うのに」

「...そう?世の中絶対なんてないでしょ」

...まただ。

長年の夢である医学部を受けるのにプレッシャーを感じているのか?

それでもいつものあおいと絶対に違う。

それと同時に心配にもなってきた。

今すぐにでも何かあったのか聞きたい気持ちになる。

早く到着してくれないかと気持ちばかりが急いだ。


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