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転生した元社畜、普通に安全確認してるだけなのに無双扱いされる ~異世界の常識が、どう考えても信用できない件~  作者: 黒木ソウ


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第45話 呼ばなくていい

 会議室は、いつもと同じだった。


 長い机。

 整えられた資料。

 揺れない灯り。


 違うのは、俺が発言を求められていることだけ。


「次の案件ですが」

 議長が言う。

「参考意見を――」


「辞退します」


 言葉は、静かだった。


 空気が止まる。


「……辞退?」

「はい」

「今後、意見は出しません」


 ざわめきが広がる。


 ロウが、立ち上がる。


「なぜです?」

「あなたの判断は、必要です」

「制度は、まだ未完成だ」


 その通りだ。


 未完成だ。


 だが。


「未完成だからこそ」

「個人に依存しない方がいい」


 ロウは、眉を寄せる。


「依存などしていない」

「しています」


 即答。


「名前は出ていない」

「ですが」

「皆、あなたを知っている」


 沈黙。


 ミレイは、何も言わない。


「基準は残ります」

 俺は続ける。

「修正してください」

「議論してください」

「疑ってください」


「それは」

 ロウが言う。

「逃げでは?」


 少しだけ、考える。


「ええ」

「逃げです」


 否定しない。


 部屋が静まり返る。


「固定された正しさは」

「いずれ硬直します」

「私は」

「それを加速させたくない」


 議長が、低く言う。


「責任から、降りるのか」


「最初から」

「持っていません」


 それが条件だった。


 ミレイが、ようやく口を開く。


「受理します」


 短い一言だった。


「基準は、議会で再検討」

「運用は、各都市の裁量に戻す」

「依存構造は、解体する」


 ロウが、言葉を失う。


 だが、止めない。


 止められないと、理解している。


 会議が終わる。


 廊下で、ミレイが並んで歩く。


「本当に、去りますか」

「ええ」

「後悔は?」

「ありません」


 彼女は、少しだけ視線を落とした。


「あなたは」

「必要でした」


「制度は」

「人がいなくても動くべきです」


 建物の外に出る。


 都市は、今日も揺れている。


 だが崩れてはいない。


「あなたは、逃げるのですか」

 彼女が、最後に聞く。


「ええ」

「必要なので」


 それ以上は、言わない。


 ミレイは、頷いた。


「……ありがとうございました」


 その言葉は、重くなかった。


 俺は、振り返らずに歩き出す。


 基準は残る。


 議論も続くだろう。


 俺がいなくても。


 それでいい。


 英雄はいらない。


 正しさだけが、

 静かに残ればいい。


 ──第45話・完

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