第37話 一つだけの結論
結論は、三日後に出た。
長い会議。
各都市の代表。
経済担当。
治安担当。
そして、沈黙。
「……カーディナを、切り離す」
議長の声は、低かった。
供給網から外す。
優先順位を最下位にする。
再接続は未定。
言葉にすると、短い。
だが、その裏にあるものは重い。
俺は、何も言わなかった。
視線が向く。
「異論は?」
議長が聞く。
ない。
あっても、出ない。
決まったのだ。
会議が終わり、人が散る。
廊下で、ミレイが立ち止まった。
「決まりました」
「見てました」
「後悔は?」
「ありません」
本当だ。
最初から、その選択しかなかった。
「カーディナ側は」
「強く抗議しています」
「当然です」
救われない側が、初めて明確に現れた。
ミレイは、俺を見る。
「あなたの名前は、出していません」
「助かります」
だが、噂は出るだろう。
“誰か”が判断した、と。
都市連合の外に出ると、風が強かった。
遠くで、鐘が鳴る。
(あの都市も、鳴ってるのかもしれないな)
俺は、空を見上げた。
判断は、間違っていない。
だが、正しい判断が、
誰かの生活を削る。
それが、都市規模だ。
その夜。
ミレイから、追加の報告が届いた。
『カーディナで、小規模な暴動』
俺は、目を閉じる。
想定内。
だが、軽くはない。
翌日、都市連合内で声が上がる。
「本当に、切るしかなかったのか?」
「他に方法は?」
俺は、呼ばれなかった。
それでいい。
決めたのは、彼らだ。
夕方、ミレイが訪ねてきた。
「揺れています」
「内部も、外部も」
「でしょうね」
「それでも」
彼女は言う。
「全体は、安定しています」
それが、答えだ。
全体を守る。
部分を切る。
俺は、静かに言った。
「次は」
「誰が切られるか、ですね」
ミレイは、否定しなかった。
都市の灯りが、一つ減る。
だが、他の灯りは残る。
それが、今回の結論。
俺は、深く息を吐いた。
ここから先は――
判断が、俺の名前を離れて、
独り歩きし始める。
──第37話・完
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