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十色の追想  作者: 詩庵
成立編。
99/115

十人の誓い。

ー怜燈視点ー

夜家に戻ると、目の前には豪華な食事が広がっていた。

すでに響達が、食卓を囲んで座っていた。

「怜燈お兄ちゃん!こっち!ここ座って!」

優夜に言われるまま席に着くと、楽しげな食事が始まった。


「凪!塩かけすぎ!」

「だって美味しいんだもん!」

「健康に悪いわ!」

紫音と凪のいつも通りの掛け合い。

「蓮華。これあげる!」

「鈴音!ありがとう!」

鈴音と蓮華の微笑ましいやり取り。

いつもの暖かい光景が広がっていた。


食事の後は、皆で札遊びをした。

とても楽しかった。

夜家を出ようとすると、

「怜燈兄さん。

制約の話なんだけど、一週間後に決めましょう。

それから夕食は皆で食べましょう!」

いつもの響だった。

「わかった。」


花札に双六。

かくれんぼに鬼ごっこ。

平和で楽しい生活が一週間続いた。

こんな日が、ずっと続けばいいのに……


一週間後の夜、響が口を開いた。

「怜燈兄さん。こないだの制約の考えは変わらない?」

「あぁ。変わらないよ。」

「この一週間楽しかった?」

「とっても。」

「……わかったわ。制約をしましょう。」

「あ、あぁ。」

あまりにも単調すぎて、調子抜けした。

「先に制約をかけるの?」

「そう、耳飾りに気を入れながら、口に出せば成立する。」

「制約の内容は?」

「自分の言葉で、好きに言えばいい。」

俺は耳飾りを持ち、唱えた。


「私。月夜怜燈は、この命尽きる時まで家族を傷つけないことを制約する。」

そう唱えると、耳飾りが輝き金色に色付いた。

「こんな感じで制約は完了した。

後は身につければ、身につけてる間は制約が実行される。

でも、皆良かったのか?」

「えぇ。良いのよ。

私気づいたの。最初からこうすれば良かった。」


「蝶花響は、この命尽きるまでこの身を家族のために使うことを制約する。」

「……蝶花紫音は、力を家族に向けないことを制約します。」

「私、刀守時雨は家族に刃を向けないことを制約する。」


響がそう言ったのを皮切りに、皆が制約を始めた。

「皆待て!制約が重すぎる!

そんなことをすれば、一生縛られる!」

「怜燈兄さん。それでいいのよ!

これが私達の覚悟。

怜燈兄さんだけには背負わせない。

だって私達は家族よ。」

「怜燈兄さん。そんな顔をしないでください。

これは俺達の意志です。後悔なんてしません!」

「怜燈兄さん。これが皆の答え。

正解させるんじゃなくて、正解を作ったの。」

時雨と蓮華が続くように言った。


「今回は怜燈兄さん負けた。響姉さんの方が上手だったよ。」

凪が同情するように肩に手を置いた。

「怜燈兄!これでお揃い!嬉しいね!」

鈴音はとても嬉しそうだった。


「響お姉ちゃん。早く!すってお願い。」

「優朝!あと一ミリ!もうちょっとだ!」

「優夜言わないで!」

「ほら、優朝動かない!桜花抑えて!」

「うん。」

「怜燈お兄ちゃん!助けて!!」

響が、優朝の耳に穴を開けるのに苦戦していた。

いつもの光景。

皆は自由を捨てて、俺を、家族を選んだ。

そう思うだけで、口元が緩んだ。

「怜燈お兄ちゃん、顔。」

蓮華に注意されてしまった。

「お兄ちゃん、良かったね。」

「あぁ。俺はもう、絶対離れないから。」


次の日の朝には、皆の耳には色とりどりの耳飾りが揺れていた。

とても綺麗だった。

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