変わる選択。
ー桜花視点ー
制約を結ぶ少し前の話。
怜燈兄さんは、きっと次暴走したら死ぬつもりだ。
違う意味かもしれないけど、そう思わざるを得なかった。
怜燈兄さんと響姉さんが喧嘩をした。
胸が、ぎゅっと締め付けられるみたいだった。
紫音姉さんと縫い物をしていたら、突然響姉さんが入ってきた。
「少し協力して欲しくて……」
響姉さんは、話し始めた。
「私は怜燈兄さんが、制約を結ぶのを止めたいの。」
「姉様、怜燈兄さんの意思はすごく固いと思うわ。
どうやって変えるというの?」
「……このままで良いって、思ってもらうの!」
「どういうこと?」
「怜燈兄さんは、家族で過ごす時間が一番好きだと思うの。
だから、家族を使うわ。」
「……幸せな時間を、意図的に作るってこと?」
「そうよ。だから紫音、協力して。」
響姉さんは、言い切った。
協力しないなんていう選択肢なんて、ないかのようだった。
「怜燈兄さんが、それでも意見を変えなかったらどうするの?」
どうしても気になって、聞いてしまった。
「……その時は、私も同じように制約をするわ。」
「姉様!それはダメよ!危険だわ!!」
「紫音、落ち着いて。
私は命をかけるなんて、一言も言ってないわ。
だけど、かける覚悟はあるつもりよ。」
「響姉さん。どうして……」
「対等でいたいから。
守られるだけには、もうならないって決めたの。」
そう言った響姉さんは、笑顔だった。
「それ私達の協力いるの?」
紫音姉さんが聞くと、
「それは、兄さんの気持ちを知る期間よ。
兄さんの思いを、ちゃんと知りたいの。」
対等でいたい。
私は、いつも守られてばかりだ。
そんな私でも、対等でいられるなら……
「蝶花響は、この命尽きるまでこの身を家族のために使うことを制約する。」
響姉さんが制約を始めてすぐ、私も制約を口にした。
「桜花は、家族を何よりも優先することを制約する。」
「霞草優朝は、感情に無闇に触れないことを制約する。」
「霞草優夜は、記憶を取り込まないことを制約する。」
他の皆も、考えは同じだったみたい。
制約の言葉が、重なるように響いた。
怜燈兄さんは止めていたけど、
その顔は、少し笑ってるように見えた。
……悦んでいるみたい。
この制約は、私達の制約だ。
私自身が選んだこと。
家族の証なんだ。
私の右耳には、今日も桜の花が揺れている。
私は、怜燈兄さんの妹だ。
……そして、家族になれた。




